2014年衆議院選挙 マニフェスト評価(環境・エネルギー政策)

2014年12月11日

評価の視点

これまで原子力発電を基幹エネルギーとして位置付けてきた日本のエネルギー政策は、2011年3月の福島第一原発事故を機に、大きな変容を迫られている。4月11日閣議決定のエネルギー基本計画においては、原子力を「重要なベースロード電源」と位置付けて再評価し、九州電力の川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)が来年早々にも再稼働する見通しである。しかし、原子力リスクは多くの国民が感じており、また、現状では新規増設が困難なことや、「40年運転制限制」を考えると、中長期的に原子力への依存度を低減していくことは避けられない。

そのような状況の中、党として原子力発電をどう位置付けているのか。そして、それに対応するためにどのような政策体系を打ち出しているのかを見ていく。その際、単に時期やスローガンを競うのではない、冷静な議論によって脱原子力依存への道筋を示している政策かどうかしっかり吟味していく。

また、代替エネルギーとして、再生可能エネルギーを拡大することは各党とも主張しているが、それを具体的にどういう形で拡大するかをきちんと示しているかどうかも評価のポイントになる。

さらに、説明責任を果たしているかも重要な評価ポイントとなる。エネルギー問題を考える際には、どのような政策を採用するにしても、その影響が広く大きくかつ長期に及び、また、プラス面とマイナス面がともに存在するため、その全体像がわかりにくい。有権者に対して、政策の直接的効果のみならず、波及的効果、副作用、コスト負担も含めて政策の実現可能性についてわかりやすく説明していくことが求められる。それに加えて、今後の日本の電源構成をどうするのか、安定的なエネルギー供給のために電力システムをどう改革していくべきか、なども含めた長期的なエネルギー政策のビジョンを描き、それに向かってどのような道筋で進んでいこうとしているのかについての説明も不可欠である。

一方、環境問題とりわけ地球温暖化対策も重要課題である。現在、2020年以降の地球温暖化の防止に向けた京都議定書に代わる新枠組みについて、2015年末にパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)での合意が予定されている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次報告書の「地球温暖化を2度以下に抑制するシナリオ」実現に向けて、EUさらには、米国と中国も動き出す中、日本はどのような目標と貢献策を打ち出していくべきなのか。党としての方針を明確に打ち出しているかを評価のポイントとする。






【 評価点数一覧 / 自民党 】

  項 目
自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
8
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
5
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
13
 合 計
21


【評価結果】自民党 マニフェスト評価   合計 21 点 (形式要件 点、実質要件 13 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

自民党は「政権公約」において、エネルギー政策について独立した項目を設けていない。「経済再生・財政再建」という大項目の中の一項目として、「責任あるエネルギー戦略を」を掲げ、その下に11の政策課題を列挙している。

個別の政策を見ると、まず最初に、エネルギーミックスの将来像を速やかに示し、新しい「エネルギー基本計画」に基づいた責任あるエネルギー政策を構築することを目標として掲げている。

続いて、原子力発電については、「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」との位置付けの下、活用していく方針を明記。さらに、再稼働については従来通り、原子力規制委員会の安全基準に適合した原発から進めていく方針を示している。そして、原発依存度については、「再生可能エネルギーの最大限の導入」などによって「可能な限り低減」するとしている。

その再生可能エネルギーについては、「系統制約問題を克服し、再生可能エネルギーの最大限、かつ持続的な導入促進と国民負担の可能な限りの抑制とを両立させていく」としている。

その他には、「電力システム改革を完遂し、エネルギー供給構造の一体改革」やメタンハイドレート等の「国産エネルギー・鉱物資源開発」、「海洋資源開発関連産業の育成」、「北米からのシェールガス輸送、北極海航路等エネルギー輸送ルートの多様化に対応した安定的輸送の確保」などを打ち出している。

このように様々な目標を打ち出している一方で、達成時期に関する明確な記述は見られない。エネルギーミックスについては「速やかに」示すとしているのみであり、再生可能エネルギーの最大限の導入についても、2013年の参院選における公約で見られた「3年間」という期限は今回は盛り込まれていない。さらに、目標実現に向けたロードマップらしきものも見当たらない。


環境政策に関しては、「暮らしの安全・安心、教育再生」という大項目の中の一項目として、「地球環境への貢献を」が掲げられている。

目標としては、「2020年以降の約束草案をできるだけ早期に提出する等、2015年に合意予定のポスト京都議定書の国際枠組みづくりに貢献」すること、及び、「攻めの地球温暖化外交戦略の推進」が掲げられている。

ここでも目標のみの記述で、「できるだけ早期に」の一文が示す通り、期限が盛り込まれていない。工程についても特段明らかになっていない。


【実質要件についての評価 13 点/60点】

エネルギー政策については、「責任あるエネルギー戦略」という理念の意味するところが判然としないが、仮にこれまで同党が政権公約で掲げてきた「エネルギーの安定供給の確保」を意味するのであれば、掲げている政策もそれに沿うものになっており、体系性はあるといえる。

ただ、具体的な方針や制度設計については深められていない。例えば、原発活用の方針を明記しているが、「40年運転制限制」を考えると、新規増設をしない限り、いずれ原発はゼロになる。将来的にも活用を続けるのであれば、この点についての方針を明確にすべきであったが、特段の説明はない。さらに、使用済み核燃料の再処理や最終処分場に関する方針についての記載もない。

再生可能エネルギーに関しては、現在の系統システムは再生可能エネルギーの大規模導入に対応しうるものになっておらず、さらに国民負担増大の問題があるため、これらの点について言及しているのは、課題抽出として一定の妥当性はある。しかし、課題抽出で終わっており、再エネ普及拡大に向けた具体的なロードマップが示されているわけではない。

ベストミックスについては、いつまでにどの程度原発が再稼働できるか見通せないという理由で具体的な議論に入れていないなど、同党がこれまで2年間の政権運営の中で、まったく進めることができなかったものである。そうである以上、これからの4年間でどう実現するのか、具体的な道筋を示さない限り、説得力はないが、ここでも何ら方針は示されていない。

原発事故後の公約で初めて「原発活用」を掲げて、党としてのスタンスを明確にした点は、説明責任の観点からは評価できる。しかし、上述のように長期的なビジョンが求められるエネルギー政策において、目標実現に向けたロードマップが示されていない点は減点要素である。


一方、地球温暖化をはじめとする環境政策については、「暮らしの安全・安心、教育再生」の中に位置付けられているなど、体系性は皆無である。

また、削減目標についての言及もない。すべての国は2020年以降の削減目標をつくり、可能な国は2015年3月末までの提出を求められているが、これまでの2年間、自民党政権下で議論は進んでこなかった。背景には、原子力発電所の再稼働が遅れているため、温室効果化ガスの排出量を左右するベストミックスが決められないことがあるとされているが、40年運転制限制を考えると2030年に稼働している原発は20基程度と予想されるので、それを織り込んだ形で目標設定をしていくことは十分に可能である。
したがって、具体的な目標を掲げていないことは減点要素である。さらに、温暖化対策における長期的なビジョン(省エネ、再生エネの戦略的な推進策など)に基づくロードマップも示せておらず、この点でも説明責任上の問題がある。

 


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【 評価点数一覧 / 公明党 】

  項 目
公明党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
6
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
11
 合 計
17


【評価結果】公明党 マニフェスト評価   合計 17 点 (形式要件 点、実質要件 11 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

公明党は「重点政策」において、原子力政策については、「当面する重要政治課題」という大項目の中で、「原発に依存しない社会・原発ゼロへ」を掲げている。

そこでは、再稼働については容認する一方で、「原発の新設を認めず、原発の40年運転制限制を厳格に適用」した上で、原発への依存度を可能な限り減らしていくという目標を明記している。

その低減のための方策としては、4月閣議決定のエネルギー基本計画で示された、「省エネルギー・再生可能エネルギーの導入」を挙げている。

さらに、使用済み核燃料の再処理については、「見直しを検討」、最終処分問題については、「国が責任を持って解決の道を検討」するとしている。

その他のエネルギー政策については原発とは別のページにある大項目「持続的経済成長のための成長戦略」の中の一項目として、「エネルギー・環境分野の育成」を掲げている。

その内容としては、「再生可能エネルギーの最大限の導入」や「省エネ導入の促進」、「水素社会実現に向けた関連インフラの整備」、「バイオマス発電・地中熱など地域資源を活用した取り組みを支援し、地域主導の自律・分散型低炭素エネルギー社会への変革」を掲げている。

この中で、再生可能エネルギーに関する政策手段としては、接続保留問題への対応策(全国的な融通拡大、送電線の強化など)及び、固定価格買取制度の見直しによる国民負担の抑制などの抜本的な対策をしていく方針を示している。

その他には、「中小企業支援」の項目の中で、環境・エネルギー分野におけるイノベーション加速化や、「エネルギー等価格高騰対策」の項目の中で、省エネ、再エネに対する投資や導入の支援策を掲げている。

このように様々な目標を打ち出している一方で、達成時期に関する記述は一切見られない。さらに、エネルギー政策全体を貫く長期的なビジョンも見当たらない。


環境政策に関しては、大項目「持続的経済成長のための成長戦略」の中の一項目として、「エネルギー・環境分野の育成」の中に言及が見られる。

ここではまず、「我が国の先進的な技術を通じて世界の課題解決に貢献する」ための手段として、「高効率火力発電や優れた省エネ機器、再エネ発電システム等を新興国に積極的に輸出すること」を掲げている。

さらに、「地球温暖化問題に関する2020年以降の新たな法的枠組み」が、実効的なものになるように戦略的な取り組むという方針を示しているが、取り組みの具体的な内容については言及されていない。

ここでも温室効果ガスの削減目標など具体的な数値目標や、期限などの目標は示されていないし、環境政策における長期的なロードマップも掲げられていない。


【実質要件についての評価 11 点/60点】

原発については、再稼働に関する考え方から、最終処分問題まで網羅されているので、具体的な掘り下げはなされていないものの、体系性はあるといえる。

ただし、公約の本気度には疑問が残る。「原発ゼロ」と党の方針を明確にしているものの、政権与党である同党は、エネルギー基本計画において、原発をベースロード電源とし続けることを認めていた。連立を組む自民党はその政権公約において、原発に関しては、エネルギー基本計画通りの方針を打ち出している。この齟齬について、どのように整合性を持たせるつもりなのか、全く示されていないため、説明責任の観点からは大きな問題がある。

再生可能エネルギーに関しては、現在の系統システムは再生可能エネルギーの大規模導入に対応しうるものになっておらず、さらに国民負担増大の問題があるため、これらの点について言及しているのは、課題抽出として一定の妥当性はある。

しかし、課題抽出で終わっており、固定価格買取制度をどのように見直せば、普及と国民負担の抑制のバランスがとれるのか示されていない。また、再エネ普及拡大に向けた具体的なロードマップも示されていない。

独自のビジョンである「地域主導の自律・分散型低炭素エネルギー社会」についても、その具体像が示されていないなど、全体的にエネルギー政策におけるビジョンが示されていない点は説明責任の観点からは減点要素である。


一方、地球温暖化をはじめとする環境政策については、上述の通り、削減目標についての言及がない点は減点要素である。将来的に「原発ゼロ」にするのであれば、それを織り込んだ形で目標を設定することは可能なはずである。

また、世界への貢献策として、「高効率火力発電や優れた省エネ機器、再エネ発電システム等を新興国に積極的に輸出すること」を掲げているが、このうち「省エネ、再エネ」に関しては妥当であるといえる。

しかし、石炭火力発電のCO2排出量は、高効率のものでも液化天然ガス(LNG)火力発電の倍以上ある。しかも、建設後40年は運転が見込まれ、高い排出が続く懸念があるため、中長期的な温室効果ガス削減目標を実現する政策手段としてはやや疑問がある。

さらに、温暖化対策における長期的なビジョンに基づくロードマップも示せておらず、この点でも説明責任上の問題がある。

 


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【 評価点数一覧 / 民主党 】

  項 目
民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)
1
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
2
合計(40点)
8
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
4
課題解決の妥当性(20点)
4
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
9
 合 計
17

【評価結果】民主党 マニフェスト評価   合計 17 点 (形式要件 点、実質要件 9 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

民主党はその「マニフェスト」において、原発・エネルギーに関する政策については、「地域の声に耳を傾け、ふるさと再生」という大項目の中で言及している。

そこでは原発に関しては、「責任ある避難計画がなければ、原発を再稼働すべきではない」としている。

その他のエネルギー政策に関しては、まず、再生可能エネルギーについて、「最大限導入」という目標と、そのための政策手段として、「分散型エネルギー推進基本法」を制定することを掲げている。さらに、電力会社による接続保留問題について、「原則、即時の接続保留解除を求める」としている。

他には、「省エネ技術の飛躍的な普及」や、電力の安定供給を図りつつ、安価な料金、消費者の選択肢拡大を実現するために「電力システム改革を進める」ことを掲げている。
ただ、期限や工程についての記載は見られない。

なお、マニフェストに付属している「民主党の主要政策」という政策集の中にも、「原発・エネルギー」に関する項目がある。そこでは、上記政策が改めて掲載されているが、それに加えて、「『40年運転制限制を厳格に適用する』『原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする』『原発の新設・増設は行わない』の3つの原則を厳格に適用する中で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という重要な方針がここで示されている。

地球温暖化対策については、上記の「民主党の主要政策」の中で、「分散型エネルギー推進基本法」の制定を、地球温暖化対策をさらに進めるための方策と位置付けている。
しかし、温室効果ガスの削減目標や、期限、数値目標についての記述はない。


【実質要件についての評価 点/60点】

原発・エネルギー政策が、「地域の声に耳を傾け、ふるさと再生」という大項目の中に位置付けられていたり、「3つの原則を厳格に適用する中で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」という極めて重要な方針が、別のページの目立たないところに記載されていたりと、全体的な体系性が不明瞭になっている。

それでも原発に関しては、3つの原則を提示し、党としての認識を示したことは評価事由となる。しかし、民主党政権時に建設が容認されていた大間原発、島根3号機についても、厳格に3つの基準を適用するのか、その点については何ら明示されておらず、政策の一貫性などについて疑問がある。さらに、「2030年代に原発稼働ゼロ」という目標は、次の総選挙の際に、達成度を測定することが困難なものである。だからこそ明確な工程表を提示すべきであったが、それがなかった。そのため国民に対して説明責任を果たしているとはいえない。

再生可能エネルギーについては、普及拡大という方針は明確に示されているが、現在の系統システムが再生可能エネルギーの大規模導入に対応しうるものになっていないことや、国民負担増大の問題をどう考えるのか、など現行の課題にどう取り組むか正面から答えておらず、課題抽出としても不十分である。

電力システム改革については、掲げている目標自体は妥当なものである。ただ、電力システム改革は現在、自公政権下で進められているが、それとどう違うのかは示されていない。現行の改革に問題点があり、その代替案として提示しているのであれば、その問題点を示すべきである。


地球温暖化対策については、民主党政権時に決定された温室効果ガス削減に関する2020年25%目標についての言及が全くない。党としてこれをどのように考えているのか。変更するのか、しないのか。変更するにしても、どのように目標を変更するのか、国民に説明する必要があるが、何ら説明がなされていない。温暖化対策として掲げている「分散型エネルギー推進基本法」もその内容は、「環境に優しいエネルギーの地産地消を進めるために、地域の中小企業を支援し、地域活性化・雇用創出を図る」というものであり、地域産業政策の色彩が強い。「地域の声に耳を傾け、ふるさと再生」という大項目の趣旨には合致するかもしれないが、地球温暖化対策にどうつながっていくのか、そのプロセスは明確に示されていない。

エネルギーでも温暖化対策でも、全体的に政権与党時代のマニフェスト内容から大幅に後退した感があり、国民に対する説明としても不十分な内容である。



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【 評価点数一覧 / 維新の党

  項 目
維新の党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
4
達成時期(8点)
1
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
2
合計(40点)
10
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
5
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
9
 合 計
19


【評価結果】維新の党 マニフェスト評価   合計 19 点 (形式要件 10 点、実質要件 9 点)

【形式要件についての評価 10 点/40点】

維新の党はその公約で、エネルギー政策に関しては「原発フェードアウトと『自然エネルギー立国』」という独立の項目を設けている。

そこでは原発に関しては、まず再稼働について、「核のゴミの最終処分の解決なくして再稼働なし」との方針を明記。そのための政策手段として「原発再稼働責任法」の制定を掲げている。そして、「過渡期マネジメント」を確立した上で、「原発依存から脱却」を目指すとしている。そのプロセスとしては、「電力自由化を推進」し、電力市場の競争環境を整えた上で、再生可能エネルギーやコージェネレーション等の導入を促進した結果、原発は市場競争に敗れて「フェードアウト」するというものである。

一方で、廃炉技術や次世代原子炉の研究は継続するとしている。

再生可能エネルギーに関しては、自然エネルギー立国のための推進法を制定することを掲げている。

このように手段や工程についてはある程度示されているが、数値目標や期限などについての記載はない。

他方、環境政策については、特段の記載はない。

 

【実質要件についての評価 点/60点】

原子力政策の抜本的見直しに関しては、時間軸、論点項目が網羅的に示されていることは評価できる。また、現在政府が行っている電力システム改革の問題点を指摘した上で、党としての改革方針を示しているのも加点ポイントである。

ただ、電力システム改革を行い、市場競争を徹底した結果として、脱原発になるとしているが、代替エネルギーとなるであろう再生可能エネルギーについては、推進法の制定を掲げているのみで、具体的な普及策は示されていない。そのため、本当に「フェードアウト」させることが可能なのか説得力を持った内容になっていない。

そもそも、「結果としてフェードアウトする」という表現では、政策から成果に至るまでのプロセスがまったくわからず、ガバナンスや責任の所在も不明確になっている。

また、脱原発をするのに、何のために次世代原子炉研究を継続していくのか、その理由を示していないので、政策の整合性に疑問の残るところもある。


一方、温暖化対策については、一切の言及がなく、国際的視点(温暖化の国際交渉、国際貢献)に欠け、内政志向が顕著であるため、この点についても課題抽出が不十分であるし、公党としての指導性や責任にも問題がある。

 



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【 評価点数一覧 / 共産党 】

  項 目
共産党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
2
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
9
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
6
 合 計
15


【評価結果】共産党 マニフェスト評価   合計 15 点 (形式要件 点、実質要件 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

共産党はその公約で、エネルギー政策に関して、「原発再稼働ストップ 「原発ゼロ」の日本をつくろう」という大項目を掲げている。その内容としては、「即時原発ゼロ、即時廃炉プロセス入り」、「今後5~10年程度、過渡的な措置として火力により電力を確保した上で、再生可能エネルギーを大規模普及させる」などである。しかし、全体的に政策について詳細な説明がなされていないし、紙面の大半を政権批判に割いている。

環境問題については、特に言及はない。


【実質要件についての評価 点/60点】

原発即時ゼロと即時廃炉を前提とした内容であり、党としての方針が明確なのは評価できるが、公約では政権批判に終始し、具体的にどう取り組み、どのような工程で進めれば実現可能なのか、ということは示していないため、実現可能性は不透明である。 例えば、再生可能エネルギーに関しては、安定供給のために広域的な送電網の整備を掲げるなど課題を抽出できている部分もあるが、その一方で国民負担の増加についての問題意識は見られない。公約では、再エネ拡大の成功例として、ドイツを紹介しているが、そのドイツでも国民負担が想定以上に膨らみ、固定価格買取制度の見直しに向けた議論が激化している。

また、再エネ先進国のドイツでも電源構成における再エネの割合は28.5%であるのに、日本がここから5~10年程度で再エネの大規模な普及と低エネルギー社会への移行をすすめる、としているなど見通しも甘いし、再エネ以外のエネルギーも必要になるはずであるが、電源構成も示されていないなど、説明責任という観点からも問題は多い。

一方、地球温暖化をはじめとする環境問題については、一切の言及がない。国際的視点(温暖化の国際交渉、国際貢献)に欠け、内政志向が顕著であるため、この点についても課題抽出が不十分であるし、公党としての指導性や責任にも問題がある。

 


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【 評価点数一覧 / 社民党 】

  項 目
社民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
1
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
8
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
3
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
6
 合 計
14


【評価結果】社民党 マニフェスト評価   合計 14 点 (形式要件 点、実質要件 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

社民党はその公約で、エネルギー政策に関して、「原発再稼働は認めず、脱原発社会目指し再生可能エネルギーを促進します」という独立した項目を設けている。

そしてその下に、「原発再稼働は一切認めず、新増設は白紙撤回」、「脱原発基本法の制定」、「電力会社の発・送・配電の所有を分離し、完全な自由化」、「再生可能エネルギーの促進」などの方針を打ち出している。

ただ、脱原発基本法など手段の提示は見られるが、その具体的内容は明らかにしておらず、工程も不明である。


一方、環境問題については、記載がない。


【実質要件についての評価 点/60点】

脱原子力を前面に掲げ、党としての方針を明確にしている点は評価できる。しかし、その政策手段である脱原発基本法については何の説明もないため、その実効性を評価できない。
また、同党の公約は、脱原子力の代替措置・政策に工程や効果の具体性が乏しく、エネルギー需給の全体像を意識し、責任をもって取り組める現実性を実感することができない内容になっている。「再生可能エネルギーを促進」するといっても、具体策は皆無であるし、電源構成上どこまで拡大するのかも示していない。

 一方、地球温暖化をはじめとする環境問題については、一切の言及がない。国際的視点(温暖化の国際交渉、国際貢献)に欠け、内政志向が顕著であるため、この点についても課題抽出が不十分であるし、公党としての指導性や責任にも問題がある。

 



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【 評価点数一覧 / 生活の党 】

  項 目
生活の党
形式要件
(40点)
理念(10点)
2
目標設定(10点)
3
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
5
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
2
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
5
 合 計
10


【評価結果】生活の党 マニフェスト評価   合計 10 点 (形式要件 点、実質要件 点)

【形式要件についての評価 点/40点】

生活の党はその公約で、エネルギー分野に関して、「脱原発。新エネルギー政策へ転換し自然エネルギー立国へシフト」というタイトルを掲げ、「原発の再稼働・新増設は一切容認しない」、「再生可能エネルギーを急ピッチで普及」、「エネルギーの地産地消を強力に推進」などの方針を打ち出している。

目標数値はなく、期限としては、上記のように「急ピッチで」など、期限としての体をなしていないものしかない。


環境問題についての言及はない。

 

【実質要件についての評価 点/60点】

原発について、党としての方針を明確にしている点は評価できる。しかし、脱原子力の代替措置・政策に工程や効果の具体性が乏しく、エネルギー需給の全体像を意識し、責任をもって取り組める現実性を実感することができない内容になっている。「再生可能エネルギーを促進」するといっても、具体策は皆無であるし、電源構成上どこまで拡大するのかも示していない。

一方、地球温暖化をはじめとする環境問題については、一切の言及がない。国際的視点(温暖化の国際交渉、国際貢献)に欠け、内政志向が顕著であるため、この点についても課題抽出が不十分であるし、公党としての指導性や責任にも問題がある。

 


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【 評価点数一覧 / 次世代の党 】

  項 目
みどりの風
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
2
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
1
合計(40点)
6
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
2
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
1
合計(60点)
5
 合 計
11





【評価結果】次世代の党 マニフェスト評価   合計 11 点 (形式要件 6 点、実質要件 5 点)


【形式要件についての評価 点/40点】

次世代の党はその公約で、エネルギー政策に関して、「安全かつ安定的なエネルギー政策(新エネルギーの開発・原子力技術の維持)、電源多様化による脱原発依存」という項目の下、「メガフロート上の洋上風力発電等により水素を生成し、燃料電池のエネルギー供給システムを構築、日本海におけるメタンハイドレートの開発」、「世界最先端の原子力技術の維持」、「発送電分離を含む市場改革を通じた自然エネルギーの活用の拡大」などを打ち出している。

数値目標や、期限に関する記載はなく、工程も示されていない。


環境問題についての言及はない。

 

【実質要件についての評価 点/60点】

脱原発依存を明記し、党としての方針を明確にしている点は評価できるが、原子力を代替する新エネルギーについての政策、工程、実現に向けた課題などの記載が少なく、実現可能性について説得性に欠ける。

一方、地球温暖化をはじめとする環境問題については、一切の言及がない。国際的視点(温暖化の国際交渉、国際貢献)に欠け、内政志向が顕著であるため、この点についても課題抽出が不十分であるし、公党としての指導性や責任にも問題がある。

 


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