CoCアジアリージョナル会議にて尖閣問題を議論

2011年11月01日

工藤泰志 言論NPO代表の工藤は31日、シンガポールで開かれている米外交問題評議会(CFR)主催の国際諮問会議(カウンシル・オブ・カウンシルズ=CoC)の第1回地域会合であるアジアリージョナル会議のセッションにパネリストとして参加し、尖閣問題に関してのスピーチを行いました。

アジアリージョナル会議 パネリストには工藤の他に、米国、インドネシア、ベルギーの3か国のシンクタンクの代表が並び、会場には中国、韓国、ASEANの関係者が参加し、尖閣問題をはじめとした東シナ海、及び南シナ海での領土紛争、シーレーンの安全、海洋法の役割や行動規範(COC)の必要性について白熱した議論が展開されました。


 パネリストとして会議の冒頭でスピーチを行った工藤は、現在東シナ海の安全保障面で最も重要、且つ喫緊の問題となっている尖閣諸島をめぐる日中の対立について、日本・中国両国でのナショナリズムの広がりが両国関係のさらなる悪化につながっている点に強い懸念を示しながら、「日中双方が冷静になり、事態を鎮静化させ、領土問題が軍事紛争につながらないように管理し、封じ込めるべきである」と主張しました。

 会場の参加者の中で、日本との領土紛争を抱える中国、韓国、ロシアのシンクタンクの代表者から、工藤のスピーチに対してコメントと質問が相次ぎ、工藤は「ナショナリズムの広がりを抑えるためにも、領土問題に関する理性的な対話を民間側で先導しなければならない」と答えました。また、「両国政府間の交渉が止まっている中、日本政府は前提条件抜きで協議を行うべきであり、それが難しいのであれば、民間レベルでの協議を先導させたい」と語り、自身が8年にわたり日中間の対話(東京-北京フォーラム)を主導してきた経験を交えながら、諸問題の当事者として民間対話の役割についての意義と覚悟を伝え、会議は幕を閉じました。

アジアリージョナル会議 今回のアジアリージョナル会議は、工藤がスピーチを行った東シナ海、南シナ海での安全保障を議論するセッションのほかに、アジアでの金融の安定化、貿易の促進、核の安全保障に関するセッションなど全5つの会議が行われ、アジア太平洋地域の主要国・新興国だけではなく、ヨーロッパ、中東、アフリカの20カ国から約40名の参加者が集まり、各分野のイシューについてそれぞれの見解を発表すると同時に意見交換が行われました。


 会議の他にも、30日のシンガポールの外務兼法務大臣であるシャンムガム氏とのディスカッションに続き、アジアリージョナル会議シンガポール大使館無任所大使のトミー・コー氏を交えての対談も行われました。コー氏は「米中の平和的共存の可能性」と題された会議にて、中国が大国としての責任ある行動をする必要性について述べ、活発なディスカッションが行われました。


 この地域会合は年次総会に並ぶ、CoCのメイン・プロジェクトとして今後も継続して世界各地域で行われます。次回第2回目の会合は、今年12月12、13日の両日にわたりモスクワにてロシア・リージョナル会議が行われ、代表の工藤も日本代表のパネリストとして参加する予定です。今後のCoCでの活動は引き続きウェブサイトにて公開していきますので、是非ご覧ください。