グローバル課題専門家アンケート:コロナ禍でのグローバル課題と国際協調をどう見るか半数の専門家が「国際協調体制は崩壊しつつある」と回答

2020年9月18日

 言論NPOは、コロナ禍において、気候変動から核不拡散、国際開発など様々なグローバル課題への国際協調、国際協力が進んでいるのか、また、それぞれどのような課題があるのかについて専門的な認識を確認するため、8月末から9月上旬にかけて、国内の各分野の専門家・研究者にアンケートを実施しました。

 今回の調査は、言論NPOが2015年から実施している、地球規模課題の評価・オピニオン発信の取り組みの一環。各分野を研究する専門家を分野横断型でつなぎ、多分野の専門家の知見・主張を融合し多層的な対話の場を設けることで国際秩序の不安定化が進む中、グローバル課題への日本の発信力強化と国内の理解促進を目指しています。

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アンケート結果の主な内容は以下の通りです。

  • 現在の国際協調体制について、半数以上が「国際協調体制は崩壊しつつある」と回答。「何とか機能している」とのご回答は3割である。その理由として、多い回答は、「米中ロなどの大国間対立の激化」、「米国のリーダーシップの低下と単独主義」、「イニシアチブを取る国の不在、自国優先主義の拡大」。
  • 一方で、コロナ後の国際協調がどうなるかとの問いでは、9割以上が「さらに発展させるべき」、「進められる分野から進めるべき」と回答。危機の中でこそ、国際協調の重要性を示した。
  • 現在最も懸念している問題は、米中対立の激化、国際協調への懐疑心の高まりやグローバル課題への関心低下、そしてこのような世論が国内政治に与える影響。
  • 今月75周年を迎えた国連の役割、9割とほとんどの方が「一部の分野では機能している」と回答。その理由は、「安保理は機能していないが、一部はよく機能している」、「合意形成できなくても、少なくとも意見交換の場、またはグローバルな課題への関心を喚起の面では機能」といった声が多い。


調査概要

調査対象者:日本
回答者:気候変動、国際開発、核不拡散・核軍縮、国際保健、テロ、紛争、経済・金融システム、貿易などのグローバル課題を専門とする大学・研究機関・民間調査機関の専門家20名
実施期間: 2020年8月21日~9月3日