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被災地のため、僕らは何をするべきか


被災地のため、僕らは何をするべきか

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工藤: 今日は、阪神淡路大震災の時に、「被災地の人を応援する市民の会」の事務局長を務めた早瀬さんが、東京に来ておられたので、急きょ、事務所に来てもらって、お話をお伺いしようと思っています。僕たち、東京の人間も被災地の人たちを応援したいと思っているのですが、なかなか現地に行けないし、状況もわからない。こういう風に、応援したいと思っている人が沢山いる反面、受け入れるということがなかなかできない。それは初めてのことだししょうがないと思うのですが。こういう時には、何を考えなければいけないのか、ということを昔の経験を踏まえて、教えてもらいたいのです。今回の地震の状況とか、阪神淡路大震災との違いをどうご覧になっていますか。

阪神淡路の経験と東北太平洋地震は何が異なるのか

早瀬: 今回の地震が阪神淡路大震災と違うのは、1つは被災地の広さです。数え方にもよりますが、5県にまたがって被災しているわけです。阪神淡路大震災の時は、阪神間と淡路島という狭い地域でした。それから、阪神淡路大震災の時は、震災の翌日には被災地に電車で入ることができました。翌日の1月18日には阪急電車の始発が、西宮北口という被災地のど真ん中の駅に入ることができました。電車で行けるということは非常に重要なことで、被災地に負荷をかけずに大量のボランティアが入れました。

ところが、今回の場合には、ご存知のようにボランティアは一般道でしか入れないので、国道4号線を使うのですが、今は大渋滞です。実際には被災地に向かって、食料やガソリンを運んでいるのですが、その中にボランティアの車が入ってしまうと、その分だけ被災者の皆さんに負荷をかけるわけですね。その点で、今は、ボランティアは入ってはいけないということになっています。電車が使えない、つまりアクセスが難しいということは、もの凄く重大な問題です。

 それから、基本的に災害の中でも震災と水害では全然対応が違います。しかし今回は、津波による水害と両方あります。その点においても厳しいのと、「根こそぎ」の被害という特徴があります。阪神淡路大震災当時は、例えば、救援物資を配ると、被災地の店舗の復興が妨害されるという問題を気にしながら、我々は活動していました。ところが今回は、店そのものがない状態で、その辺りが全然違うところですね。

工藤: こういう場合に、救援するときには、基本的には、まず被災地に受け入れる人がいないとどうしようもできないわけですよね。

早瀬: もちろんです。

工藤: その状況が、はっきり言ってどういう状況になっているかわからないですよね。

まだ混乱はあるが、まもなくボランティアに扉が開かれる

早瀬:だから、結局、いま現地に入っているのは、海外協力系の団体、要はお医者さんのグループとか救援医療をしているグループとか、専門家達なのです。一般のボランティアを募っての活動ではない。そういう専門家による活動はできます。ただ、一般のボランティアが入ろうと思うと、ボランティアコーディネーターという存在が絶対に不可欠なわけです。ボランティアコーディネーターがいて始めて、うまいマッチングができるわけですが、その配置が今できていません。多分、宮城県か仙台市のどちらかは、確か、今度の連休明けにボランティアセンターを開けるはずです。ボランティアコーディネーターが配置され始めれば、だいぶ状況は変わってくると思います。

工藤: ボランティアコーディネーターというのは、基本的には現地の人ですよね。

早瀬: いや、現地の人ではなくてもいいです。災害ボランティアコーディネーションの経験がある人だったら、いいですね。

工藤: そうですか。今、現地の受け入れ先というのは、県の色々な協議会の...

早瀬: 社会福祉協議会か何かのボランティアセンターですね。

工藤: ホームページを見ると、まだ今日はやっていません、という話になっていて、どこに行けばいいかわからないという状況になっていますよね。

早瀬: だから、まず、今、一般の市民の皆さんが被災地にボランティアに行こうとされる場合は、そもそも今、どのプロの団体も止めています。具体的に、バスなり何なりでプロのスタッフと一緒に、4泊5日なりで現地に行くという募集がまずあって、それで初めて行けるのであって、それまでは後方支援としての動きに限られてしまうと思います。

工藤: つまり、行くときは募集して、それに応募するという分かる形でコントロールしないといけないのですか。

これまでは救助の段階で、後方支援を固める時期

早瀬: そこは、今回の厳しいところで、つまり、阪神淡路大震災の時には、我々は、事前登録は一切不要、とにかく来たいときに来て下さいということでやりました。なぜそれが重要かというと、一見、矛盾したような話をしますけど、「登録」ということをこういう時にしたらダメなのですね。なぜダメかというと、「登録」というのはどういうことかというと、どこかの指揮下に入るわけですよ。仙台市なら仙台市が募集し、登録します。ということは、仙台市の指揮下に入ることになります。仙台市の指揮下に入るということは、仙台市が指示をしなければいけなくなり、ボランティアを指示待ちにさせることになります。しかし、指示は出せないので、結局、動かなくなってしまうのですよ。阪神淡路大震災当時、我々は事前登録を不要ということにしたのは、そのためであって、いつでも来て下さいということにしたのです。

 しかし、今回は、そもそものアクセスのインフラがないので、そうなると大型バスで行くパターンが一番被災者に負荷をかけなくてすみます。もちろん、みんなで募って大型バスをチャーターしてもいいのだけど、その時に、受け入れ先にボランティアコーディネーターがいないと困ります。阪神大震災の経験も踏まえて、確か、仙台市のある宮城県は一般にオープンなボランティアセンターをつくろうとしています。そういうある程度きちんとした受け入れ先が分かったら、そこに対して、みんなで大型バスをチャーターするか、1人や2人で行くのではその分だけ被災者に負荷をかけることになりますので、最低でも自家用車なら5人満杯で乗っていく。もちろん、ガソリンは持参していくなど、色々な準備も必要です。

工藤: なるほどね。そうすると、今のフェーズはどういうところですか。

早瀬: 今はまだ、レスキュー期です。復興ではないです。

工藤: つまり、これまで住んでいた人たちがどこにいるかわからない、そういう状況なので、そういう人たちの食料とか、生活を安定に...

早瀬: よく72時間と言われますが、その数字は、水が無いときの話なのですね。水があれば72時間以上生きられるので、5日経っているけど、まだレスキュー期です。昨日だって、2人見つかったでしょ。だから、水があれば、まだ生き延びている人がいることもあるし、そもそも被災者の状態が全く分かっていません。ボランティアの人たちは、生活復興の時に関わっていく存在ですから、その点で言うと、今は義援金系の話と、支援金の時期ですね。言い方ははっきりしていないのですが、僕たちの中では、義援金は被災者に配るお金で、支援金は現地をサポートするNPOに対してのお金であって、この2つの仕分けをしながら資金的にサポートしていくことが、今は必要だと思います。ただ、現実には、今、被災者がお金をもらっても、店がないので何の意味もありません。

工藤: そうすると、現実的には現物...

早瀬: 将来的に言うとね。

田中: それと、そういう支援ができる団体に寄付をする方がいいですね。

寄付はどのように使われるのか

工藤: なかなかどの団体に寄付をすればいいかわからないですよね。

早瀬: わかりませんね。わからないのですが、例えば、市民社会創造ファンドとか、日本NPOセンターで、そういう市民活動団体を応援する基金をつくろうとしていて、そこに託せば、各団体をきちんと評価して、優先するということになるでしょうから、そういう方法がいいと思いますね。

 一方で、義援金は非常に大切なので、まったく否定するつもりはないので、誤解せずに聞いて欲しいのですが、ヤフーの募金が、今日中に10億円を超えるか超えないかというところまできています。それ以外にも、昨日、朝日厚生文化事業団の人とも話をしていたら、現金書留が1日に1000通ぐらいくるらしいです。もう億円単位でボンボン増えるという感じだそうです。素晴らしく集まってくるのです。例えば、災害で一番多くの現金が集まったのは阪神淡路大震災で、1700億円以上集まりました。被災者にどう配られたかというと、分子は大変大きかったのですが、分母となる被災者の数も大きいので、結果的には最も沢山の現金を受け取ったのが、親を亡くされた子どもさんで、100万円でした。2000億円近いお金が集まっても、被災者となる分母が多すぎるから、結局は、1人10万円という世界でした。

 今回の地震では、阪神淡路大震災よりも被災者の方が多いので、そうすると募金をしてくださるのは非常に重要なのですが、根本的な生活支援となると、やはり政府の仕事ですよね。例えば、被災した土地を個人の復興に任せるということはできないと思うので、国が収用、つまり買い取るべきですよ。だから、今回は、被災地を土地収用法で収用してしまって、政府の責任で整備をしていくことを考えないといけないわけです。もちろん義援金を否定している訳ではありませんが、生活の基本的な支えに関しては国の仕事だと思います。その点で言うと、支援金というNPOに対するサポートの方が、直接的にすぐに生きやすいということはあり得るだろうと思います。

田中: 確かに、義援金は誰が被災者かを認定するために1年ぐらいかかりますよね。

早瀬: そうですね。実際に、阪神淡路大震災の時には、1月17日に地震が起こって、29日に第一次を配りました。凄く早いでしょ。三次まであったのですが、第一次で、全壊家庭に対して10万円、半壊家庭に対して半額の5万円を支給しました。これがまた大変だったのですが、罹災証明を出すために大混乱が起きました。今おっしゃったように、行政はどこまでいっても公平原理なので、公平にやろうとすると今みたいなことが起こるわけです。次に、第二次を4月に配ったのですが、4月に先程言ったように子どもさんに100万とかいう話があって、これもずっと議論してきました。で、第三次は翌年の3月に払いました。

義援金は被災者に配られるが、支援金は現地の支援のNPOの活動を支える

工藤: 義援金というのは、誰が集めているのですか。

早瀬: 義援金というのは、ヤフーで集めているものも全部そうなのですが、まずは支援金という風にしますよ、ということを明記しているのか、そこにプログラムオフィサーなどがいる財団だったら別なのですが、一般的には、どこから受け付けても最終的には被災者義援金配分委員会というところに集約されます。

工藤: 配分委員会というものができるわけですね。

早瀬: これは必ずできます。で、事務局は日赤がやります。ただ、法律でも何でもありませんが、慣例でそれは決まっています。で、その配分委員会が配分することになります。で、どんどん集まってくるので、第一次、第二次、第三次と配分の決定を行っていきます。その時の配り方、実際の配るときのスタッフになるのは、自治体の職員がやります。つまり、配分委員会から、自治体に落ちるという構造ですね。

工藤: なるほどね。ただ、支援金というものは...

早瀬: 今度、支援金の方は、配分のルールがありません。もっと言えば、仕組みがないので、今までは個々の団体が自分たちで「我々の活動を支えて下さい」ということで、募集していました。だけど、それではあまりにもということで、今、言ったようなケアシステムをつくろうと、日本NPOセンターの山岡先生達が、今日、口座をつくると言っていました。なので、今日の午後には口座名も公開されると思います。

工藤: でも、現実的には何かもう始まっていますよね。

早瀬: そうですね、その人達は自前でやっています。個別にも集めています。
工藤: これ、先の話なのですが、最終的に決算とかどう使われたかというのは。

早瀬: もちろん、個々の団体でやることになります。

工藤: すると、今は、後方支援でそういうことをやる時期になっていると。どのステージから、みんなが行かなければいけないのでしょうか。

受け入れ態勢をどう整えるか

早瀬: 現地にボランティアセンターが開いてからです。

工藤: それは、まだ開店休業で...

早瀬: 1週間か、2週間はかかるでしょう。まず、インフラづくりですよね。

工藤: でも、1週間、2週間となると...今、現地からの報告を見ていると、かなり大変で、ギリギリの段階にきていると。それから、道路が空いているのに全く動けないので、一般の人たちの中には、なぜ車で来ないのだろうと思っている人たちもいるんですよね。

早瀬: 先遣隊で行ったメンバーから聞くと、4号線は渋滞が厳しいはずですね。高速道路は、緊急輸送だけにしています。ただ、今日、辻元さんに会うので言おうと思っているのですが、一般の乗用車はダメですが、10トン以上の大型トラックと、大型バスだけは通せるようにしないといけない。そうすると、逆に一般道が空き始めます。

工藤: そうなってくると、大型バスやトラックが必要になりますよね、いっぱい集めないと。

早瀬: そうそう。その上で、今も緊急輸送の許可証を持った人しか入れない。もちろん緊急時の輸送手段を確保することは重要なのですが、そうした状況を変えることが必要だと思います。

工藤: 阪神淡路大震災の時は、電車が通っていると言っていて、かなりアクセスができたと。しかし、今回はそれが無くて、色んなところがズタズタになっていて、受け入れ体制が整っていない。あまりにも被害が大きいので、かなり阪神淡路大震災の時のような状況ではないですよね。時間との戦いというところがありますよね。

早瀬: 復興支援はこれから何年も続きますから。逆に言うと、焦らない方がいいと思います。特に、ボランティアの方は、ですよ。だから、今おっしゃった時間との戦いというのは、病院に対して薬をどう届けるかとか、被災者の皆さんに対して、や食料が行き渡っていない状況をどうするかとか。

工藤: 行政や政府側に言うことってありますか。昨日、田中さんが言うには、企業が、電池がないだろうと思って、政府に持っていったら、それは受け取れないと...。

田中: 行政、自治体から要請がないから配っていないのだという政府の答えだったようです。


交通インフラが回復したら、積極的にボランティアに向かうべき

工藤: 地方と政府との情報コミュニケーションがほとんどうまくいっていない。

田中: 今日、NHKで朝やっていました。

工藤: かなり、そういう段階なのですね。

早瀬: 確かに、それはそうかもしれませんね。阪神淡路大震災の時の経験で言うと、僕らすぐに現地に入ったわけですね。

工藤: だから、全体のことが見えるのですね。

早瀬: ところが、結果的に言うと、4ヵ月間で2万1000人のボランティアが集まったのですが、普段、わざわざ事務所に来る人なんて200人、300人しかいなかった時代です。普通は電話ですから、現地まで来るなんて今までなかった。うちのスタッフで、コーディネーションをできるはずないのですね。ところが、出向いて現地に入ったら、現場に集中しているから、自分達の応援をしてくれというSOSを出す余裕すらないのです。我々も必死でやっていましたから、ある種、閉じた形だったのを開いてくれたのが、勝手にやってきた静岡県の人だったのですよ。静岡県のボランティア協会のスタッフが何かすることはないか、と勝手にやってきたのですね。それで、「そうだ、外側に頼めばいいのだ」と、それで気がついたのですよ。それぐらい、中に入り込んでしまうのですね。

工藤: なるほど、地元の人との関わりで、ですね。

早瀬: だから、要請がないからしないのではなくて、出向いていけばいいのですよ。

工藤: ある意味で勝手にね。

早瀬: ある意味では。但し、それは今のように交通インフラが一定回復したらの話です。

田中: はがゆいですね。

早瀬: そうなんです。

工藤: 交通インフラが一定程度回復したら、遠慮しないで「何かすることはないか」と言って行けばいいのですね。

早瀬: で、行って役に立たなかったら帰ればいいのですよ、ごめんなさい、お邪魔しましたと。

田中: 確かに、阪神淡路大震災の時も、沢山帰りましたものね。

早瀬: そうそう、それでいいのですよ。せっかくボランティアで来たのにと怒るのはおかしい。あなたの勝手できたのでしょ、ですからね。だから、本来であれば、ダメで元々でいいのですが、そこが特殊なのですよね。


大切なボランティア・コーディネーターの役割

工藤: ということは、今、ボランティアコーディネーターの人達も含めて、表の人達の力を借りるという形で、色々な工夫が必要になってきますよね。

早瀬: そうそう。色々な細かいことで言うと、ちょうど3月で異動期なのですね。で、ベテランのコーディネーターの異動を慎重にしろ、残せと。そろそろ3年になるから、異動しなさいと言われているけど、待ったをかける。そういう細かいことはいっぱいありますね。

工藤: ボランティアコーディネーターって...

早瀬: 社会福祉協議会なり、色々なボランティアセンターで働いているのですが、ちょうど異動の時期じゃないですか。ベテランの人ほど異動するのですよ。

田中: つまり、ボランティアコーディネーターって、一定の訓練を受けている人なのですね。

工藤: 訓練を受けている人達なのですね。

早瀬: そうそう、その人達が、異動だからといってまた別の所にいってします。

工藤: その人達は、全国にどれぐらいいるのですか。

早瀬: ボランティアコーディネーターは全国に元々2000人以上いたのですが、今は市町村合併で減っています。

工藤: そういう人達が、今回、活躍する舞台がいっぱいありますね。

早瀬: そうです。その人達の異動を止めろとか、細かい話ですよ。

工藤: ちょっと、異動を止めて下さい、止めてこの災害に集中してください。

早瀬: それから、ボランティア保険がこの3月末で切れるので、もちろん災害特約付ボランティア保険に変えるから、別ですけど、その辺の手続きを早くしろとか、細かいことは沢山あります。

工藤: 最後に、今回、かなり複雑な感じがありますよね。町全体が無くなってしまうというか...。行政とボランティアの役割をどう考えますか。

ボランティアこそ被災者一人一人の生活に寄り添える

早瀬: 1つボランティアに関して言うと、ボランティアの場合は、ボランティアは一体何をするのかという立ち位置をしっかりしなければいけない。今日、お配りしている資料は、これは震災の時につくったので、もう16年ぐらいになりますが、要は、ボランティアに一番大切なことは、一人ひとりにこだわることなのですよ。つまり、行政は、公平に対応するのですが、一人ひとりの生活に寄り添えるのはボランティアなのです。例えば、今回の場合は事態が違うので、一概には言えませんが、津波がなく震災だけだった阪神淡路大震災の時に、我々が被災地でやったことは、今日みたいな日だったら、被災者の皆さんが家に帰って、荷物を探しているわけです。そういう時に、ボランティアも一緒になって色々なものを探すのですね。へその緒を探したり、ああ、これはねとか、そういうような一人ひとりの生活に寄り添うことが、ボランティアの役目なのですよ。行政は、個別に対応することはできません。何百万人とか言うけれど、数ではなくて、全部一人と一人と一人の合計が、何百万になる。だから、一人の人に寄り添うということが、ボランティアの本来の仕事なのですよ。もちろん、救援物資の仕分けとか、ある種の兵隊的に動かないといけない面もありますが、元来のボランティアの最も大切な要素は、そこなのです。そこが活かされるような、コーディネーションをしないといけない。そのためには、ボランティアコーディネーターが必要だということです。

田中: 多分、今日のこの動画を見て始めて、ボランティアがそういうものだったのか、と思う人は多いと思います。というのは、ボランティアって、どちらかというと誰かのサポートをする、物を運ぶという、今おっしゃった兵隊の方をイメージしていたと思うのですね。

早瀬: もちろん、そういう役割は否定しないし、人手が足りなければ、それをやればいいのですが、ただ、行政とは違って、公平さを超えてできるのはボランティアなのですね。つまり、この人のために、という形でできるわけで、普段の暮らしと同じですよね。

工藤: 確かに、その通りだよね。そういう人いない。行政はできないわけだから。

早瀬: 早瀬:行政はしてはいけない、不公平になるから。それができるのは、ボランティアだけなのですよ。だから、そこを、我々は今後...はっきり言って、1ヵ月後ぐらいのフェーズですよ。段々、自分の生活を取り戻そうとされていくときに、その人達の暮らしのスタイルにどう寄り添える人達をつないでいけるか、それがボランティアの重要な役割です。

工藤: なるほど。つまり、今はまさにレスキュー期で、自分の家族がどこにいるかわからないとか、そういうレベルの話ですもんね。段々、その人達が、自分の生活を立て直すときが大変ですよね、孤独だし。そういう時に、やはり支えるという動きが必要ですね。

田中: ちょうど1ヵ月ぐらい過ぎると、メディアの報道が減ってくる。そうすると、ボランティアに対する熱とか関心が落ちてしまうので、そこをどうやって構築するかですかね。

工藤: しかし、今回は、かなり長期化、かなり時間がかかりますよね。どう考えても。

早瀬: 難しいのは、被災地が広いので、報道から洩れるということが沢山でてくるわけです。阪神淡路大震災の時には、やはり三宮に集中した。

工藤: それはあり得ますよね。市町村とか、町とかになると誰もこないとか。

早瀬: そうそう、だから、そこがまた重要じゃないですか。

工藤: それは、どうやって分配を...

早瀬: だから、まずね、昨日、今日の段階で厚労省が仕切っているのですが、全国のブロックがありますよね。各ブロックで、何県が何ブロックのケアに行くということを決めるわけです。社会福祉協議会というブロックは、何県がどこと全部埋めていくのですね。それはそれで、行ってきちんとやると思うのですが、これとは別に、外国人支援をしている団体は、外国人のことをやっていくと。阪神淡路大震災の時もそうだったのですが、多分、今回も、一元的にどこかの指揮下に入るのではなくて、並立して色々な団体が入ってくると思うのですが、多分、そういう構造になると思います。ただ、ベーシックなボランティアセンターについては、厚労省系の社会福祉協議会が面的には最低水準にならすと思います。


言論NPOは、必要な情報を共有するため、情報を発信し続けます

工藤: なるほど、色々な多種多様な人達が、それぞれの強みを活かしながらやっていかないといけない。しかも、かなり長期化する可能性があって、最終的には復旧、復興まで。

早瀬: だから、そのビジョンを持ちながら、被災者の人達と一緒にビジョンをつくっていく。

工藤: 被災者の人と一緒に考えないとね、という感じですね。今日は、早瀬さんに来てもらったのですが、僕たちはこういう情報を共有して、色々な声や情報を皆さんに伝えていくという役割をしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。 今日は、ありがとうございました。

(文章・動画は収録内容を一部編集したものです。)

言論NPOでは、今回の緊急対談を端緒に、現地の方の声を含め、 様々な情報を皆さんに伝えていく役割をしっかりと果たしていきたいと考えています。

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更新日:2011年03月18日
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