「第5回日中共同世論調査」結果 記者会見

2009年8月26日

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090826_01.jpg 8月26日、言論NPOと中国日報社は、今年で5回目となる日中共同世論調査の結果を、北京市内のホテルで発表しました。

 この世論調査は、言論NPOと中国日報社が2005年から共同で実施しているもので、今年は日中両国の一般市民と日本の有識者、中国の大学生を対象に5月から6月にかけて実施されました。会見には、中国メディアだけでなく日本も含めた海外のメディアなど30社以上が参加しました。

090826_kudo-gao.jpg まず、会見の冒頭に言論NPO代表の工藤泰志と、中国日報社秘書長の高岸明氏が発言しました。ここで工藤は、「東京-北京フォーラム」の意義を説明した後、「両国の国民の意識を議論に反映させることがこの世論調査の目的である」と述べました。そして、両国のメディアが国民の相手国に対する認識の大部分を構成していること、依然として両国民の間には認識のギャップがあることを指摘し、「この機会に、メディアのみなさんも両国民の相互理解について考えてほしい」と述べました。

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 次に、中国側の世論調査の結果を発表した北京大学社会調査研究センターの王韧副主任は、中国人の日本に対する認識について、「安定しながら徐々に好転しているが、構造的な問題も残っており、改善していく必要がある」と指摘しました。

 その後、工藤が日本側の世論調査の結果を分析しました。そのなかで工藤は、日本人の大部分は依然として中国との直接的な接触がなく、認識の形成を日本のメディアに依存している構造が変化していないことや、中国に対する基本的な認識が不足していることを指摘しました。また、現在の日中関係については楽観的な見方が多いものの、近年相次いで行われている日中首脳会談については「具体的な成果がない」と評価していない層が4割いること、中国の経済的な発展に注目する傾向が強まっているとも述べました。


090826_02.jpg その後の質疑応答の中では、今回の調査で特に印象に残ったこととして、工藤は「中国人は日本の過去から今の日本人を見ている。一方、日本人は生活者の視点から、そして中国の未来を考えながら現在を見ていると感じた」と述べました。また、2005年と比べると日中関係はある程度改善したものの、その度合いも一定の限界に達してきており、その原因は両国間の民間交流の圧倒的な不足に原因があると指摘しました。そして、「これはマイナスの問題ではあるが、両国が取り組むべき時期であり、(今回の調査で)課題が鮮明になったと思う」と述べました。


 言論NPOと中国日報社は、今年11月初旬に大連で「第5回 東京-北京フォーラムin大連」を開催します。フォーラムの常設分科会であるメディア分科会では、この世論調査結果に関して日中両国のメディアのトップが議論を交わす予定です。言論NPOは今後も、「第5回 東京-北京フォーラムin大連」の準備の進捗状況を随時、ホームページにてお知らせしていきます。

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文責: インターン 水口 智(東京大学)

8月26日、言論NPOと中国日報社は、今年で5回目となる日中共同世論調査の結果を、北京市内のホテルで発表しました。