「第15回東京-北京フォーラム」第1回実行委員会 報告

2019年2月22日

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 今年で15回目を迎える「東京―北京フォーラム」(主催:言論NPO、中国国際出版集団)の第1回日本側実行委員会は19日、東京・中央区の言論NPO事務所で開かれ、実行委員約20人が顔を揃えました。

 同フォーラムの日本側指導委員長の明石康氏(元国連事務次長)は開会の挨拶で、「昨年のフォーラムでは、日中双方が率直にモノを言える達成感があったが、今の世界はそれ以外の関係の影響を受けている。朝鮮半島、米中関係に留意しながら準備を進めていきたい。世界の不安定さを、どう日中対話に反映させるかが課題になる」と述べました。

 言論NPO代表の工藤泰志は2月中旬に中国・北京を訪問し、中国国際出版集団の関係者と顔を合わせ、今年の開催時期やフォーラムの全体テーマなど全体の方向性について協議を行ってきたことを報告。開催時期については10月下旬から11月初旬で合意しつつあること。全体テーマについても、今後更なる検討を要するものの、日中の新たな協力発展を志向するという点では双方の考えは共通する部分が多いため、こちらについてもじきに合意に至るとの見通しを示しました。

 実行委員同士の意見交換に入ると、議論テーマとしてデジタル経済を推す意見が多く寄せられました。中国が世界を先導するデジタル経済については、昨年の14回フォーラムの特別分科会でも話し合われましたが、「13.8~13.9億人の大マーケットの中国で、デジタル経済・技術のスピードとパワーはものすごく、全産業に影響を与える」、「まるで19世紀の英独鉄鋼競争のように、ITの競争は熾烈になって、お互い陣地の囲い込みが激しくなる」、「若い世代のデジタル経済人交流を意識したほうがいい。一回だけで終わるのはもったいない」などとして今年も議論すべきとの意見が相次ぎました。

 全体会議と分科会それぞれのテーマについては、今後中国側と協議を進め、4月の日中実行委員会で正式に合意されることになる見通しです。


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 意見交換では中国の現状分析も相次ぎました。「中国経済の先行きについては、やや悲観的。輸出が低迷し、成長モデルに限界がきているのではないか。知的財産権を巡って技術革新のコピーができにくくなっているし、金融・財政投入しても実体経済が反応していない。経済のポテンシャルが落ち、中国経済の弱さがよりはっきりしている」と声があがれば、「そうなれば、ますます中国は(交渉で)降りてくる」との分析も寄せられました。

 最後に工藤代表は、「中国の不安定化の中での対話の意味はますます大きくなってきている」と今年のフォーラムの意義を語り、実行委員会を締めくくりました。