言論NPOとは

平成18年度 言論NPO事業計画

平成18年度事業計画

 私たちの活動は、日本の民主主義のあり方を問うものであります。ワンフレーズで多くの人を動かす、直接的で薄い民主主義を全て否定するものではありませんが、私たちは議論を積み上げ、その中で日本の政策形成を動かしていくような、強い民主主義のダイナミックな動きが必要だと考えています。そのためには有権者が自ら政策を判断し、政治を選ばなくてはなりません。私たちの全ての活動のユーザーは社会一般の有権者であり、マニフェスト評価や様々な議論の提案はユーザーへの判断材料の提供を目的にしたものであり、それこそが私たちの活動の柱になっています。

平成18年度は昨年同様、8月に二つの事業を予定しています。自民党総裁選に向けた国政の評価作業です。マニフェスト政治は党内の党首選から始まるものであり、今年はここから評価作業を行い、その作業プロセスを可能な限り公開する必要があります。

 「北京-東京フォーラム」は8月3日から二日間の予定で、東京で開催する予定です。このフォーラムは言論NPOにとっては、議論の舞台をアジアに広げる第一歩となるものですが、現在の日中関係の悪化を考えれば、日中間に民間主導の新しいコミュニケーションチャネルを作り出す大事業です。このチャネルを第二回目となる今回の東京大会で成功させ、政府外交を補完する民間のトラック2に発展させていきたいと考えます。

 平成18年度の事業はこの夏の二つの事業を中心に運動を組み立てることになります。その中で私たちが特に重視して取り組まなくてはならないのは、昨年度着手した
1)議論の発信力の強化
2)質の高いコンテンツ作りを安定的に継続的に行える体制作り
という2つの課題に再度重点的に取り組み、克服することです。

発信力の強化について

 平成18年度はウエッブの昨年に続く強化とフォーラムと書籍の発行に重点的に取り組みます。ブログは「メディア評価ブログ」を5月に立ち上げた結果、議論のブログは「言論ブログ」「マニフェスト評価ブログ」を含めて全て稼動しましたが、後は8月の「北京-東京フォーラム」に向けて独自サイトを立ち上げるほか、英語版のウエッブサイトの充実に取り組み、さらにコンテンツの質と議論の参加も促進するために努力します。

 フォーラムは会員だけでなく、一般の方との議論交換の場であり、またウエッブで行われる議論と連動して、参加型の議論を行うための場です。平成18 年度は継続的にフォーラムが行われる形にし、マニフェスト評価フォーラム、言論フォーラム、メンバーフォーラムなどを充実させます。

 また言論NPOの議論の報告集の形で平成18年度は①マニフェスト評価書②北京-東京フォーラムの報告書を年2冊発行するほか、言論ブログのテーマに合わせた小雑誌「言論ブログ」のほか、言論NPOの議論提案のテーマを軸にした書籍を複数冊、発行します。

言論NPOのコンテンツ活動

言論NPOのコンテンツ活動は政治や政策の評価を行う「マニフェスト評価」と 日本の将来戦略を提案する「アジア戦略会議」、 地方の自立再生のための提言を行う「地方再生戦略会議」、 さらにアジアの新しいコミュニケーションチャネルを構成する「北京-東京フォーラム」 の4つに分けられます。

マニフェスト評価活動

 9月の自民党総裁選に合わせて6月から評価作業を開始し、その過程は評価フォーラムで公開します。この評価フォーラムは政策決定の当事者の参加を求めて行うものであり、評価作業そのままのプロセスを公開する形で行います。  これらの評価に当たっては会員や有識者にアンケートを行い、評価作業になるべく多くの人の意見が参加できるようにします。評価作業はウエッブサイトの「マニフェスト評価ブログ」で公開し、12月にそれらをまとめた「マニフェスト評価書」を発売します。  言論NPOが行っているマニフェスト評価は、公約の達成に向けたプロセス評価にとどまらず、公約自体の妥当性やアウトカムを意識した、国内では例のないものですが、評価結果やプロセスの情報発信は十分と言えないため、多様な発信を検討します。また地方においてのローカルマニフェスト支援のための活動を検討します。

第二回 東京-北京フォーラムの成功

 この東京大会の目標は日本と中国の間に民間版の新しいコミュニケーションチャネルを定着化させることです。昨年の北京大会に続き、東京が成功することで、日中間の懸案に民間で解決を生み出すための議論を行うトラック2に発展させることへの道筋をつけたいと考えます。第二回東京―北京フォーラムは8月 3日、4日に都内のホテルで行い、現段階では日中で約80人を超す有識者が参加することが決まっています。  言論NPOはホスト側としてその成功に全力をつくしますが、同時に次の段階を視野に入れて検討を始めます。そこでは、フォーラム自体をアメリカや他のアジアが参加できるマルチフォーラムに変えること、さらにフォーラム自体を日常的に情報や議論の発信を行えるメディア化を図ることなども検討します。また「北京-東京フォーラム」を今後十年間実現するための体制作りについても検討します。

アジア戦略会議と地方再生戦略会議

 アジア戦略会議は平成17年度に提案した日本の将来構想に向けた選択肢、ならびに日本のパワーアセスメントの見直しを行い、平成18年度中に最終案の作業を開始します。また、将来構想の検討だけではなく、日本の外交について議論し、提案できる体制づくりを検討します。地方再生戦略会議は、すでに公表しているローカルマニフェストの評価基準の形式基準に加え、実質基準に向けた議論を行います。また平成17年度に北海道で共同の民間会議をつくり提案した北海道の自立再生提案をモデルに、他の地方との連携で政策提案を行う枠組みについて検討します。

言論NPOの組織課題

 言論NPOの事業は一般の寄付によって賄われており、そうした寄付は言論NPOに参加する基幹会員を中心とした多くのメンバーのご協力によって成り立っています。  日本の多くのNPO組織が補助金、助成金で行政依存を強める中で、私たちは民がパブリックを担うという強い意志を持って、NPOの経営を行おうと考えています。そのため、平成18年度はガバナンスの強化で二つのことに取り組んでいきます。  ひとつはこれまでの言論NPOのアドバイザリーボード(顧問)を拡大させ、言論NPOの活動に対する助言だけではなく、監視も行っていただきます。さらに、私たちが行っている言論活動が非政治活動、非宗教活動であることを評価するため、アメリカのIRSの評価手法を参考にした「自己評価システム」を日本で初めて取り入れ、その内容を会員以外の第三者の有識者である言論監事に判定していただくシステムを導入しました。 

 これは公益活動を寄付市場に開かれた自己評価で評価し、その判断を市場にゆだねるという日本では画期的なものです。今回の総会ではこの自己評価を初めて公開しましたが今後、この評価を適正に行っていきたいと考えます。

 私たちがこうしたガバナンス対応を重要視しているのは、言論NPOの活動が特定の政治などに影響を受けるのではなく、日本社会に健全で質の高い言論や政策論議を取り戻し、その内容を有権者に提供するという自発的で中立的なミッションに基づいていることを、ガバナンスの面でも設計思想を統一するためです。
 言論NPOの活動はこれで会計、業務、言論の3つの監事でチェックされることになり、さらにアドバイザリーボードから助言と監視を受けることになります。
 

主なスケジュール

平成18年4月
  報告書「第一回 北京-東京フォーラム報告書 2005」発行
5月
  メディア評価ブログ開始
  第二回 東京-北京フォーラムの概要発表の共同記者会見
  第二回 東京-北京フォーラムのアンケート、日中共同世論調査に着手
  2006年度マニフェスト評価 ブログ議論の開始
  マニフェスト評価フォーラム開始
  言論NPO総会
7月
  第二回 東京-北京フォーラムのアンケート、共同世論調査集計・結果分析
  日中ブログでの議論開始、言論ブログ英語訳ブログ開始
  マニフェスト評価:小泉政権の総括、総裁候補者の分析
  雑誌・言論ブログ発行(国と地方)
8月
  第二回 東京-北京フォーラム開催(8月2-4日パレスホテル)
  自民党総裁選候補評価公表
9月
  雑誌・言論ブログ発行
11月
  書籍発行
12月
  言論NPO 5周年記念パーティ開催
  国政マニフェスト年間報告書公表
  政治家評価の評価作業チームを設置
平成19年度1月
  報告書「第二回 東京-北京フォーラム 報告書 2006年 東京」発行
3月
  雑誌・言論ブログ発行