言論NPOとは

ごあいさつ

130919_kudo.jpg 私は2001年に、議論の力でこの国の閉塞した状況を変えようと、この言論NPOを立ち上げました。多くの課題が将来世代に先送りされ、既存メディアによる報道が批判のための議論に終始し、社会全体がこの国が抱えるより本質的で、長期的な課題に向き合っていないことに、危機感を覚えていたからです。

 立ち上げ以来、思いを共有する多くの方々にご参加いただきながら、言論NPOはまさにこの国とアジア、そして世界の抱える課題に真正面からぶつかってきました。

 その中で痛感したのは、世界や日本は歴史的な変化や困難に直面している、ということです。この不安定な状況は曖昧にすることは許されず、新しい仕組みに向けた努力が不可欠だ、ということです。

 私の決意は、自由や民主主義、さらには国際協調、平和はどんなことがあっても守り、むしろ発展させなくてはならない、ということです。私の言う自由とはルールや責任に基づく自由であり、私たちは自己決定できる社会こそ守るべきです。その強い思いから、私たちの取り組みは世界や、アジア、そして日本の将来に向かっています。

 日本を取り巻く北東アジア地域の将来は非常に不透明です。北朝鮮の非核化の先行きは見えず、中国の行動はこの地域の脅威を高め、米中の関係は瀬戸際の状況となっています。世界では、課題にリーダーシップを発揮する国は見えなくなりました。そして、民主主義国でも社会の分断が存在し、ポピュリズムが勢いを増し民主主義自体への懐疑が広がっています。

 私たちがその最前線で取り組みを進めているのは、この困難は強い意志と多く人たちとの連帯がなくては立ち向かうことが難しい、と考えるからです。

 私たちは自由と民主主義を守り、世界が課題に力を合わせるために世界を代表する、世界10か国のシンクタンクと協働で「東京会議」を発足し、世界で最も危険な地域といわれる北東アジアに持続的な平和を実現するための日米中韓の4か国で歴史的な作業を開始しました。そして、政治不信が高まり、政府機能が信頼を失い始めたこの日本では民主主義や統治の仕組みの総点検作業を始め、その取り組みや議論を幅広く公開しています。

 コロナウイルスの影響はこれまでの危機がそうだったように、その当時は考えもつかない変化を世界にもたらす可能性があります。

 私たちがここで学ばなくてはならないのは、パンデミックの対応に成功した国には共有の特徴があるということです。政府への市民の信頼と政治のリーダーシップ、そして危機に対応する国の能力とインフラの存在です。そこには体制の違いは大きな問題ではないということです。

 私が「勇気あるリベラリズム」という言葉に強い共感を覚えるのは、こうした局面で傍観や無関心は、それ自体が罪だと思うからです。私たちは、それに「言論の力」で立ち向かおうと思っています。当事者として向き合い、議論を通じて解決の方法を模索し、声を上げることが大切です。それこそが、社会を動かす健全な輿論(よろん)であり、この国を変える力となっていくのだと思います。

 この日本が未来に向かう新しい活力をどのように作り出すのか。そして、アジアや世界の課題にどのような役割を果たすのか。それに取り組むことが、私たち言論NPOの使命なのです。

2020年7月
言論NPO代表 工藤泰志
工藤泰志(くどう やすし) 1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程卒業。東洋経済新報社で『論争東洋経済』編集長を歴任。2001年10月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。その後、選挙時のマニフェスト評価や政権の実績評価、東アジアでの民間対話、世界の有識者層と連携した国際秩序の未来に向けた議論など、日本や世界が直面する課題に挑む議論を行っている。また、2012年3月には、米国の外交問題評議会(CFR)が設立した世界23カ国のシンクタンク会議「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」に日本から唯一参加している。
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