【座談会】イラクの戦争が日本に問いかけたものは何か

2003年4月18日

shiozaki_y030416.jpg塩崎恭久 (衆議院議員)
しおざき・やすひさ

1950年生まれ。東京大学教養学部卒業、ハーバード大学行政学大学院修了(行政学修士)。75年日本銀行入行。93年衆議院初当選。大蔵政務次官、自民党法務部会長、外交部会長等を歴任。現在、自民党財務金融部会長。主な提言・寄稿に「日本版SECを創設せよ」「金融動乱第二幕は資産市場の再構築がカギ」等。

takemi_k030416.jpg武見敬三 (参議院議員)
たけみ・けいぞう

1951年生まれ。慶應義塾大学法学研究科政治学専攻博士課程修了後、ハーバード大学東アジア研究所客員研究員、東海大学政治経済学部政治学科助手、専任講師、准教授を経て、95年4月より同大学教授。95年参議院議員に初当選、外務政務次官、外交防衛委員会委員長などを歴任。2001年に再選を果たし、現在、参議院厚生労働委員会理事、予算委員会委員、憲法調査会幹事を務める。

hayashi_y030416.jpg林芳正 (参議院議員)
はやし・よしまさ

1961年生まれ。84年東京大学法学部卒。三井物産を経て、94年ハーバード大学大学院修。95年参議院議員に初当選。91年に米国留学中、マンスフィールド法案を手がけた。現在、自由民主党行政改革推進本部事務局長。

概要

イラクの戦争の大義は何だったのか。この問いが与党の3人の論客たちに投げかけられて議論はスタートした。冷戦体制の崩壊後、安全保障の概念が本質的に変化する中で起こったこの戦争は、国際社会を大きく変える転機となるかもしれない。この中にあって、日本はその置かれた地政学的な状況の下でどのような国家路線を選択すべきなのか、戦略的なビッグピクチャーはどう描かれるのか。北朝鮮問題やアメリカとの関係、東アジア経済圏の考え方などを含め、政治家である3氏が広い論点にわたり密度の濃い議論を展開する。

要約

イラクの戦争の大義は何だったのか。与党政治家である三氏が、この問題を、冷戦体制崩壊後の安全保障や「脅威」の概念の本質的な変化の流れの中で捉えることから議論はスタートした。この中で、林氏は、未遂犯を警察が処罰する要件の最初の適用例との捉え方を示し、武見氏は、90年代以降、国家の軍事力以外に国境を超えた様々な脅威が新たに生まれる中で、国際社会が大量破壊兵器の問題にどう対処するかの最初の試練と位置付ける。また、塩崎氏は、ガバナンスが効かない破綻国家を世界はどう扱うかという問題を考えるきっかけと捉えた。

三氏は、その認定や取締りの主体としての国連の改革を重視し、日本がそれを主張するチャンスであることが指摘された。北朝鮮問題については、「抑止と対話」がポイントであり、対話の前提である「抑止」の構築こそが日本の課題である。日本では自立路線の議論も台頭しているが、やはり「日本への攻撃は核を含むアメリカの報復を招く」との認識が抑止の体系の基本であるとの冷静な現実の上に立って、対話に関わる外交政策のビッグピクチャーを描くことこそが求められる。その基本にあるものとして、塩崎氏は、政治主導の外交戦略や、人材を始め真に開かれた国づくりの必要性などを指摘し、武見氏は、日本の地政学的状況を踏まえたバランスオブパワーの追求、そのために必要な東アジア地域経済の活力の強化や、グローバリゼーションの中での国際社会の問題への日本の重層的な対処の必要性などを指摘する。国家路線のモデルについて林氏は、安保の面では「イギリス型」、経済面ではアジアでの「ドイツ型」の追及としての共通通貨への取組みとともに、「プラザ合意の日本版」を提唱する。そのためにも、日本に問われるのは高度な外交力や知的な創造力、戦略の構築である。議論は最後に、靖国や農業の問題にも触れたが、重要なのは、政治家やNGOを含めた多様なチャネルでのアジアとの対話の場の構築であり、三氏はそれに向けた現実の動きとその流れの強化の必要性を強調する。


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