「東京会議」参加シンクタンクのトップが感じた会議の意義と、今後の可能性

2017年3月04日

深刻な問題が起きた場合に、各国が協力できる体制を作ることが急務



MHI_4600.jpgフィリップ・ベルモンテ
(インドネシア戦略国際問題研究所所長)


 

工藤:ベルモンテさん、今回はどうもありがとうございました。私もベルモンテさんの発言に非常に共感することがたくさんありました。東京会議は成功したのでしょうか。

ベルモンテ:すごく成功したと思います。それにはいくつかの理由があります。まず、今回の会議はG7という1つのイベントに向けて設計されているところです。参加者全員がディスカッションをするにあたって、実践的な提案をするということを念頭に置くことができました。

工藤:ベルモンテさんは、今の世界がどういうチャレンジを受けていて、その中で我々が何を考えないといけない局面になっているとお考えですか。


国内問題に取り組むことで余裕がなく、共通課題に取り組めない現状

ベルモンテ:今のチャレンジは本当にたくさんあります。国内問題もあれば外から来るチャレンジもあるし、いろいろな問題がいろいろな場所で起きています。ただ、一番のチャレンジは、こういうことが一度に押し寄せてくるがゆえに対応できなくなるというところだと思います。共通の問題が起きたとしても、それぞれに国内問題を抱えているところが多いので、それだけ対応できる人もいない、余裕がない状況です。なかなか共通課題に取り組めない。

 したがって、今こそ、G7でもG20でもG10でも国連でもそうなのですが、それぞれリーダーがしっかりとまとまっていかなければいけないと思います。深刻な問題が実際に起きてきた場合にはどうするか。特に今、アメリカの新大統領によって、アメリカが国際関係から手を引く可能性が残されているという状況です。もし問題が浮上した際に、世界で別のメカニズムとして、深刻な問題に協力できる体制がとれるかが問われていると思います。

工藤:そういう意味では、私たちとインドネシアは、アジアの中で民主主義を考える国としていろいろな対話を進めています。そちらの方も、ぜひ協力して進めていきたいと思います。それについて一言、決意をお願いします。


引き続き、言論NPOとの協力体制を続けていきたい

ベルモンテ:決意というかコミットメントということになりますが、CSISはインドネシアの中でもシンクタンクとして最も歴史が長いですし、特に、安全保障問題とか政府に対する政策提言などをやっているところです。したがって、民主主義とか地域の安全保障は非常にプライオリティの高いテーマです。その意味では、今後も引き続き、言論NPOと皆さんでつくられたネットワークには協力していきたいと思います。


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