「東京会議」参加シンクタンクのトップが感じた会議の意義と、今後の可能性

2017年3月04日

サミットの意義は、互いに知り合うことで価値の共有ができること



MHI_4600.jpgロヒントン・メドーラ
(カナダ・国際ガバナンス・イノベーションセンター総裁)


 

工藤:東京会議に参加してどうでしたか。また、この会議にはどのような意味がありましたか。


大成功だった東京会議

メドーラ:まず、東京会議は非常に成功したのみならず、意味の多いものだと思いました。理由としては、オーガナイズがうまくできていたということもそうなのですが、選ばれたテーマが重要であり、タイムリーであったと思います。世界中には、いろいろなフォーラムや世界の課題を語り合う場がありますが、今回、ここ日本において10のシンクタンクが集まり、しかも日本からも研究者や外交関係者がいらして、すごく話をできたことは非常に良かったと思います。

工藤:今回はG7に対する提案をまとめました。G7議長国は今年イタリアで、来年はカナダになります。我々がG7に対する意味付けをきちんと考え直した上で、それに対して提案することの成果をどのようにお考えですか。


G7で政治課題などについて議論していくことは非常に意義がある

メドーラ:非常に重要だと思います。G7、またG20もそうなのですが、どちらかというと経済関係の議論が多すぎるような気がします。「G7は意味がないのではないか」という人もいます。しかし、G7は前回、日本で開催され、今年はイタリア、来年はカナダで行われるという、この継続性ということも重要ですが、G7は国の数が少ない中で、同様の価値観を持っていた国々が話す場ですので、G20ができないような経済以外、例えば政治課題などに関して議論していくことは非常に重要だと思います。

工藤:今回はG7のメンバーが4人も交代します。自由や民主主義という規範を重要視した認識がなければ、このG7という枠組みが壊れてしまうのではないかという不安も一部にありますが、どうご覧になっていますか。


G7の意味は、同様の価値観を持つ人たちが集まるという柔軟性があること

メドーラ:民主主義というものは時に変化をもたらします。時には非常に過激な変化を起こすことになると思います。同様の価値観を共有している国々が集まる環境ですが、とはいっても、一部、長期にわたってG7に参加している人がいることが、G7を非常に強靭にすると思います。G7はこの間の歴史の中で、ずっと継続してきました。もちろん、始まった当初はG6というかたちで、そこからうまく拡大し、一度はG8になり、そしてまたG7に戻っているという柔軟性、同様の価値観を持つ人たちが集まるという柔軟性があるから、G7はこれからも大丈夫なのだと思います。

 いろいろな指導者が集まって、お互いのことを知らないかもしれないのですが、サミットの意義は、彼らがお互いを知り合うことだと思います。価値の共有にとって一番いいのは、お互いのことを知り合って話をすることです。

工藤:そうですね。そういう意味では、日本とカナダ、私たち同士もいろいろ協力していきたいと思います。

メドーラ:こういう会議では、これからも協力が絶対に必要な条件になってくると思います。確かにG7にも参加歴が長い人とそうでない人の違いは出てきますが、我々は一緒にやっていきたいと思います。


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