学生たちがみた「第2回 東京-北京フォーラム」

2006年9月21日

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第1部: 「本音の日中関係に触れたという実感」

工藤 学生は東京-北京フォーラムをどうみましたか。北京からの連絡では、あちらでも非常に大きな反応があったということです。まずは運営に携わってみて、会議を見て、何を感じたかということの感想からはいりましょう。

鈴木 私は、大学時代に、アジアの地域の勉強や地域研究をしていて、中国に留学もしていました。だから平均の大学生より、日中関係に理解をしていたつもりですが、ただ、実際日中関係に対して貢献や改善という意味では、論文を書くなどでしかアプローチができていませんでした。このフォーラムでは、日本と中国の政府間ではないですが、それに準じた人たちが集まって、きちんとした議論をつくることができました。今までの勉強とは全く違う次元で日中関係に関わることができたので、三日間だけではなく、その前の準備を含めてすごく充実した日々でした。

是枝 もちろん準備はてんてこ舞いだったのですが・・・。僕は、個人的には中国の歴史に興味があるし、中国関連の本も好きです。それで一番自分で感じたのは、隠れた偏見の強さについてです。

 フォーラムで具体的な問題を議論しているのを見ていて、「参加者の方々は日中の理解を深めようとしているんだ」と分かっているつもりでも、中国側の話を聞くと、本当にこんなこと考えているのかなと疑っている自分がいました。日中フォーラムで、前向きな議論になると思っていたのに、やっぱり自分は偏見をもっていたと気づかされました。

工藤 フォーラムでは何をしてたんですか?

是枝 環境・エネルギー分科会の記者です。

小堤 僕は歴史問題の分科会に出ていたのですが、その中で一番感じたのは、やはりお互いのことを何も分かっていない、認識の違いがあるということです。靖国参拝について、中国は靖国参拝がいけないんだと言っていて、僕の印象としては中国は靖国参拝を政治的に利用しているんだろと思っていたのです。しかし意外とフォーラムでは靖国参拝をやめればいいと言っていて、自分の認識と違っていました。歴史問題の一環ではなく、靖国問題を独立の問題だと中国が発言しているように感じたんです。自分の今まで考えていたことと、実際に議論して違うということがあるんだなと、感じることができたというのが、一番大きかったですね。

山下 僕はこの5人の中では資料つくることはなかったし、一番外部というか、客観的に・外部に近い形で見ていました。このフォーラムを通じて、言論NPOというのはトラック2として機能しているという気持ちで参加させていただいていました。ですが、実感としては、政府間の外交に限りなく近いものになりつつあるという点で、それが善いか悪いかはわからないですが、NPOとしては稀有な存在であると思いました。具体的な提言や提案が政府の政策や方針に生かされる可能性が高い。言論NPOの面白さを実感しました。

 またメディアの分科会に出ていましたが、そこでは認識のギャップを実感しました。メディアの役割がいかに大きいのかということに気づきました。

渡辺 僕はメディア分科会の記者と全体会議の記者をやっていました。僕は関わって1ヵ月半で当日になったんですけど、最初は右も左もわからず言われることをやるという感じでした。けれどもやっていくうちに、自分から関わっていくというか自分たちがつくっているという感覚がしました。資料作成にしても、仕事を分担して自分が来れる時間に来ていたので、自分から何かをする場であるなと思って。

 最初来たときは、もっと大きなところを想像していたんですけど、事務所は結構小規模で人数も少人数でやっていて、びっくりしました。その中でも支援者や会員のリンクを通じて、今回のフォーラムのような大きなことができたことがすごいと感じました。それは会議の参加者を見れば分かりますし、言論NPOが持っているリンクを通じてできることを最大限やったということを感じました。

工藤 皆さんが今回一番感じたのは、手作りなのにもかかわらず、時代を作れる・動かせるということでしょう。ちょっとしたことでできるんですね。偉い人たちも全部ボランティアでおなじ立場。みんながやれば、何かできるのではないかということです。

 是枝君が言ったように、矛盾が表面にも見れたというのもあります。時代というのは、遠いように見えて近い。その感覚というのはないですか?自分がこういう問題に関わったということと、今まで思っていたことと、何か違うものを感じたと思うんだけれども。

鈴木 私は去年から関わっていました。ただ今回は1ヵ月半くらいずっと資料作成をしていて、直前の直前まですごい人がどんどん参加することが決まっていって、ふたを開けてみると大きな規模になったので、驚きました。安倍さんがきてたくさんの報道陣がきて私も記者会見にでて、新聞社の方やテレビの方が取材をして、そのすぐあとに報道されましたよね。新聞なりインターネットなり。そこで初めてこのフォーラムは大きいものになったんだと気づきました。資料作成しているときは全く実感としてどこまで大きいかわかっていなかったんですけど、新聞・特集での扱われ方を見て実感が湧きました。

工藤 日中間が喧嘩でどうしようもない状態なのに、なかなかこのフォーラムのような試みをやる人がいなかったんですね。どういうわけか。でも、今回わかったのは何かにまかせていたら何かできるというわけではなく、自分たちが何かをやれば、何かを作れるということです。それは自分ではわからないけど、表の反響でわかる。

鈴木 たくさんの方が参加したのも、個々人が危機感をもっていたからでしょう。それは、日本だけじゃなくて、中国側もそうなんだなと思いました。中国の一人一人も危機感を持っていたから、こうしたフォーラムができたのだと思います。

工藤 それは身近さというものが、やはり関係してきますね。つまり、時代というのはひょんなことからつくれる・始まる、と感じたでしょう。正直で純粋であれば伝わるんです。そしてさらにみんな色んな人が協力しあった。学生の生活ではそういう経験ありますかね?身近さというか、自分たちがちょっと動けば大きなことができるということを、皆さんはどう受け止めたのかということです。さっきの話にもありましたけど。

是枝 学生だと、自分が何をしたいかいつも考えているのに、それをうまく伝えられなくてどうしようみたいなものがあると思います。そういうなかで今回のフォーラムで思ったのは、どんな人でも考えていることがぜんぜん180度違うということはなくて、一対一で話せばどこかしら違うことがあるけれども、かなりのところまで話せるんじゃないかということです。もちろん日本人と中国人が全員話すなんてことは無理ですけど、そういう雰囲気をつくっていけるような場だったと思いますし、当たり前だけれども、一対一の話ができるような雰囲気をつくっていけば広がっていくんじゃないかと。

工藤 テレビに出るような人がいっぱいいました。話しかけたら普通に答えてくれたでしょう。誰か話しかけてない?

学生 そんな余裕は...(苦笑)

工藤 すごく身近に感じたよね。

是枝 自分から話してくれそうな、そんなオープンさは感じました。

工藤 全体的にフラットというか、水平的な感じがした。年齢や役職が違っても、会話できそうでしたね。

渡辺 毛沢東元主席の通訳さんがいましたよね。僕そのとき知らなくて、後で先生に言われて知ったんですよ。工藤さんYouTubeで話してましたよね?「気分が高まる工藤さん」って。(笑)

工藤 うるさいよ(笑)でも、毛沢東研究をするならあの人にヒアリングすれば、何かできたかもしれないね。

鈴木・渡辺 もったいない!

工藤 参加者は男が多かったですね。でも、別に若い人や女性をはずそうと思ったわけではないんですよ。それでも少なかったですね。これからの課題です。いろんなことをやって話しあうことができればね。

鈴木 学生セッションとかあれば...。

工藤 そう学生セッション。安倍さんみたいなすごい人たちが、すごく身近に感じられるでしょう。そういうプラットフォームです。学生からやってほしいね。


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コーディネーター

工藤泰志  言論NPO代表

学生

鈴木麻衣子 東京大学公共政策大学院
小堤音彦  慶應義塾大学総合政策学部
是枝宏幸  東京大学文学部英語英米文学科
渡辺佑樹  慶應義塾大学総合政策学部
山下泰静  東京大学公共政策大学院


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