言論NPOとは

言論NPOの「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果 - 2015年度版 -

1)ネガティブチェックリストによる評価結果

 ネガティブチェックリストによる評価では、平成27年度の言論NPOの活動を8分野144項目に分類し、それぞれの分野について、非宗教性と非政治性で評価を実施した。
 ①非宗教性については言論NPOの活動の8分野を12のネガティブチェックリストで自己評価し、全ての項目で「非宗教性」を完全に満たしていると判定した。
 ②非政治性については、言論NPOの活動の8分野を18のネガティブチェックリストで自己評価し、全144項目のうち130項目では「非政治性」を満たしていたものの、6分野14項目についてはネガティブチェックリストでは判断がつかないと判定した。この14項目の内訳は以下のとおりである。(評価結果の詳細は別紙2参照)

(1)「日本の将来を提言する」言論として実施する事業は4項目
(2)「日本の民主主義を立て直す」言論として実施する事業は2項目
(3)「言論外交の挑戦」として実施する事業は2項目
(4)「世界の課題に挑む」言論として実施する事業は2項目
(5)会員等向けフォーラムは2項目
(6)ウェブ論壇・海外発信は2項目

 この6分野14項目についてはネガティブチェックリストでは判断がつかないため、コンテンツ判定基準で再評価を行った。


2)コンテンツ判定基準方式による評価結果

 ネガティブチェックリストにおいて判断できないとされた14項目について、コンテンツ判定基準方式による評価を行った。その結果、この14項目はいずれも5つの評価項目でコンテンツ判定基準をクリアしており、「非政治性」を満たしているものとされた。5つの評価項目は以下のとおりである。

①活動の目的の明確性
②活動に当たって言論NPOが拠って立つ立場の明確性
③活動のターゲットの明確性
④活動に当たっての主要なコンテンツ形成活動に係る方法論の明確性
⑤活動の方針決定に係るガバナンス及び透明性

 これにより、言論NPOの8分野144項目の活動は、ネガティブチェックリストの全てで「非宗教性」が認められたことに加え、「非政治性」についてはネガティブチェックリストで判断ができなかった項目をコンテンツ判定基準で評価した結果、8分野全てにおいて「非政治性」に問題がないとの結論が得られた。

 従って、平成27年度における言論NPOの活動は、全てにわたり「非政治性・非宗教性」を満たしているものと評価される(評価結果の詳細は別紙1別紙3参照)。


「非政治性・非宗教性」に関する言論NPOの今後の取り組みについて

 「非政治性・非宗教性」の説明力をより強化するために平成28(2016)年度も下記の点について重点的に取り組む予定である。

(1)自己評価をわかり易く説明し、中立性の評価自体の意義を公開する

 言論NPOは、これまでホームページや団体パンフレット、年次報告書に、「非政治性・非宗教性」に関する自己評価や外部評価の詳細な結果を掲載し、幅広く社会に公開してきた。言論NPOが世界の有力シンクタンクの会議メンバーに選ばれた最大の理由であり、今後も、世界のシンクタンクと様々な形でネットワークづくりを進めていく上では、評価結果を公表し続けることは極めて重要である。
 今後は、評価結果の公表だけではなく、こうした中立性評価の必要性や、なぜこのような評価体系を開発したのか、など原点に戻ってわかりやすく解説するとともに、それらを英語で世界に公開していくなど、国内外への中立性評価の重要性を発信し続けていきたい。

(2)議論づくりや評価におけるプロセスの透明性を確保し、有権者の参加を促進する

 言論NPOの議論づくりや政策評価は、その結果と同時にプロセスがきわめて大切である。言論NPOが有権者の信頼に値する判断材料を提供するためには、そのプロセスが透明で多くの人に公開されていることが不可欠である。議論は単に公開するだけではなく、継続的に実施し、かつ事前に告知することで、より多くの人に知ってもらう機会が提供するべきである。こうした考えに基づき今後の運営を行っていく。
 また、政策評価に関するプロセスの透明性を高めるために、平成27年度に行った安倍政権3年の実績評価では、言論NPOが行った評価に加えて、各分野の専門家20人にも同様の基準で評価をしてもらい、コメントを公開した。さらに、評価会議やヒアリングなどを通じて、約50氏にご協力いただき、その名前を可能な限り公開するなど、評価の透明性を高める取り組みを行っている。今後、更なる有識者の方々に協力してもらう体制を整えていきたいと考えている。

(3)資金基盤の多様化を図る

 言論NPOが中長期的に安定して自由な言論活動を続けていくためには、個別事業を目的とする収入の他、言論NPOの活動全体に対する寄付金などを加えた、多様性のある資金基盤を確立することが望ましい。そのため、今後は会員の拡大や、個人向けの小口寄付キャンペーンの実施、個人・法人からの大口寄付の募集などを着実に実行して、より多様性のある資金基盤を実現したいと考えている。


1.評価の目的

 特定非営利活動法人が寄付金無税団体としての公益性を十分に満たす団体であるためには、その活動が特定の政治的ないしは宗教的な立場に偏らずに行われる必要がある。本評価では言論NPOの活動が「非政治性・非宗教性」(注1)を満たすものであることを示すため、前年度に引き続いて平成27年度の活動全体について自己評価を行った。

(注1)「非政治性・非宗教性」とは特定非営利活動促進法(NPO法)第2条第2項の二に規定された次の要件を満たす活動を行っていないことを指す:A.宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること。B.政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること。C.特定の公職の候補者、若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対すること。


2.評価対象

 平成27年度の言論NPOの活動では、新しい「4つの言論」の開始に伴い、昨年度以前の評価で使用していた「政策評価事業」「第10回東京-北京フォーラム及びその関連事業」「『世界とつながる』議論の一環としてマルチ外交チャネルを活用した議論形成」「『強い市民社会』に向けた議論形成への支援」の4つの事業区分を、下記(1)~(4)の通り、「4つの言論」の区分に沿ったものに変更し、「会員等向けフォーラム」「ウェブ論壇・海外発信」「出版・広報宣伝」と合わせた7つの分野で評価を行った。

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 (注)ここでは、「言論活動等」を次のように定義する。
(1)当該団体の正式な活動として設営する場や当該団体が管理運営する発信媒体上において、設営された場への参加者、社会の特定の層(当該団体の会員等を含む)、ないしは不特定多数の者に向けて発信することを想定して、当該団体関係者あるいはそれ以外の者が行う、①意見表明、講演、報告などの発言、②質疑応答を含む討論、③論文などの執筆、④これらの編集。
(2)当該団体以外の者が設営する場や当該団体以外の者が管理運営する発信媒体上において、当該団体あるいは代表者がその名の下に、設営された場への参加者、社会の特定の層(当該団体の会員等を含む)、ないしは不特定多数の者に向けて発信することを想定して行う、①意見表明、講演、報告などの発言、②質疑応答を含む討論、③論文などの執筆。
(3)上記(1)の内容を社会の特定の層(当該団体の会員等を含む)、ないしは不特定多数の者に向けて発信する活動。
(4)上記(1)の活動への参加を呼びかけ、場を設営するなど(1)の活動の準備を行い、あるいは議論を設計する活動。


3.評価方法

 自己評価は平成27年度における言論NPOの全ての事業について、最初に1)で説明するネガティブチェックリストによる第1次評価を行う。その要件で「非政治性・非宗教性」を満たすとするには疑わしい事業については、2)「コンテンツ判定基準」で再評価を行う。こうした2つの評価基準を組み合わせて評価を行った。各評価基準による評価方法は次のとおりである。(この評価手順は別紙4でも説明する)

1)「ネガティブチェックリスト」による評価

 米国IRS(内国歳入庁)作成のガイドラインに基づいて言論NPOが作成した「ネガティブチェックリスト」による客観的評価(「非政治性・非宗教性」を満たすためにクリアしなければならない項目に対する該当有無のチェック)を基本とする。

 言論NPOの平成27年度の全ての事業を対象に、このリストの項目毎に評価し、外形上から明らかにその活動が「非政治性・非宗教性」を満たす事業は「○」、「非政治性・非宗教性」を満たさない事業は「×」とした。外形的な判断のみでは評価できない事業は「△」とした。(評価結果の詳細は別紙2参照)

 ネガティブチェックリストのチェック項目は「禁止項目」と「注意を要する項目」の2つに分けられる。前者は「非政治性・非宗教性」を満たすために必ずクリア(「○」)しなければならない項目で、後者はその要件を満たすことが望ましいが、その要件を満たさなくとも、直ちに「非政治性・非宗教性」を満たさないとは言い切れない項目である。

 「△」とされた事業(例えば別紙2のチェック項目2-1の(1)政策評価事業)であっても、その詳細を更に追加のチェック項目(例えば同表 項目2-1-1)で検討し、その要件を満たすとされた場合には、ネガティブチェックリストによる対象事業の評価は「○」として、救済することとする。なお、別紙2において、このように追加の項目で更に詳細をチェックした事業は、「△」との混同を避けるため「▽」と表記し、追加項目の行で「○」「△」「×」による評価を行っている。

2)「コンテンツ判定基準」に基づいた評価

 ネガティブチェックリストにおいて、いずれの事業も各チェックリスト項目が全て「○」の場合は、平成27年度の言論NPOの活動は「非政治性・非宗教性」が完全に満たされているとする。一つでも「×」があった場合は、「非政治性・非宗教性」が完全には満たされていなかったものとする。

 ネガティブチェックリストにおける要件で救済されない事業(「△」が一つでもあった事業)が残った場合は、その事業についての評価は「コンテンツ判定基準」に委ねることとする。「コンテンツ判定基準」による評価とは、個別の事業の形成プロセスを、5つの客観的な基準(①目的の明確性、②立場の明確性、③ターゲットの明確性、④コンテンツ(事業)形成に係る方法論の明確性、⑤方針決定に係るガバナンス及び透明性(詳細は別紙3別紙4参照))により、評価することである。ネガティブチェックリストでは評価できない事業についても、「コンテンツ判定基準」によって、個々の事業の形成プロセスが「非政治性・非宗教性」を満たすと判断できる場合には、最終評価としてその事業の内容自体も「非政治性・非宗教性」を満たすとみなすことができる。

3)自己評価結果の理事会での議決、言論監事による判定を経て、通常総会に提出

 以上の評価は、言論NPOによる事後的な「自己評価」であり、これを毎年度、理事会で議決の上、通常総会に提出する。通常総会への提出にあたっては、この自己評価について言論監事による判定を行い、その結果を通常総会に報告する。

4)公表

 評価の信頼性を最終的に担保するものは、公開の原則に基づく評価のアカウンタビリティーである。

 評価の公表は、インターネットなどにより行い、自己評価結果と、その根拠に係る概要、及び、言論監事による判定を公表する。また、公表に際しては、評価結果について疑問等がある場合には評価根拠の公開申請を受け付ける旨を明示し、一般から公開申請があった場合には、ウェブ上に評価結果の根拠をより詳細に公開する。