長 有紀枝
令和6(2024)年度、言論NPOの「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果に関する言論監事の見解を述べさせていただきます。
まず、この自己評価は第一号報告に記載された規定の評価方法に基づいて行われており、その全ての手法・プロセスに問題がないことを確認しました。また、評価結果に関しても、その内容から、「非宗教性」、「非政治性」を完全に満たしています。
以上から言論監事として手法・プロセスに加えて、結果についても問題がないと判定します。
次に、監事意見を申し述べさせていただきます。
戦後、欧米が主導した自由で開かれた世界は不安定化し、多くの民主主義国がポピュリズムの試練に直面しています。其の中で、日本が掲げるべき国際協調を世界に向けて発信し続け、世界やこの国の未来に向け言論空間の立て直しに取り組もうとする、言論NPOの活動自体に敬意を表したいと思います。
創業から24年間、この不安定な局面でも活動の中立性を見失わないのは、立場や取り組みの目的を一貫して明確に示し、その方針の決定に関わるガバナンスの透明性が担保されているからだと考えます。
この間、言論NPOの民主主義の価値を尊重し、ルールに基づく自由な世界や多国間の協力を守ろうとする姿勢は一度も揺るがず、まさに今のこの不安定な世界でそれが実践されています。
特に注目すべきは3月の「東京会議2025」で、トランプ大統領の施政方針演説が終わり、翌日の中国の全人代の開幕を待つばかりの間に、「今こそ多国間主義を守り抜くために、世界は結束すべき」との議長声明を採択し、この日本から強いメッセージを発信したことです。この発言が外国メディアで取り上げられる等、世界でも注目されたのは、この立ち位置こそが世界の多くの人の声を代弁したからではないでしょうか。
言論NPOの活動自体は経済的にも依然、厳しい状況にあると伺っていますが、多くの人の共感の力を大切に経営の安定化に努め、世界を代表する行動するシンクタンクとして、どのような困難があろうと課題解決に向けて揺るぎない意志を持ち、声を上げ続ける、唯一無二の存在になることを心から期待しています。