言論NPOとは

言論NPO「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果に対する意見

言論監事 朝比奈 豊
長 有紀枝


1.言論NPO「非政治性・非宗教性評価」結果について

 国内外の様々な分野でこれまでの秩序に歪みが生まれ、協調よりの対立の傾向が強まり、多くの人がその立ち位置が問われる局面になっている。

 その中で、言論NPOが、自由とルールに基づく社会、多くの市民の自覚的な参加による民主主義の機能強化を立ち位置に、国境を超えた対話や言論の取り組みを、創業以来一貫として行い続ける姿勢自体が、偉業である。

 多くの行動が、政治的な主張に繋がりかねない局面で、特定の政治的、宗教的な利害に基づかないことを目的とした、「中立性及び非政治性・非宗教性」の評価は決定的に重要である。その中で、言論NPOが独自に作り上げた中立性の自己評価をこの22年間、継続的に公開を続け、活動の根幹に据えていること自体に敬意を表したい。これは、政治的な課題に取り組むこと自体を否定するものではない。政治課題に取り組むことと、政治的な活動を行うこととは明確に区別されるべきである、という点を昨年に続き記したい。

 そうした理解に基づいて、令和4(2022)年度、言論NPOの「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果に関して、言論監事の意見を次のとおり述べさせていただく。


 言論NPOは、第一号報告に記載された規定の評価方法に基づいて自己評価を実施しており、言論監事として、その全ての手法・プロセスに問題がないことを確認した。

 また、評価結果に関して、「非宗教性」、「非政治性」を完全に満たしていると判定した。

 以上から言論監事として、手法・プロセスに加えて、結果についても問題がない、と判断している。


2.今後の課題

 コロナ禍の影響で、言論NPOの活動自体が制約を受け、寄付や会費などの減少から、かなり経済的に厳しい状況に直面していると聞いている。

 その中でも、分断に向かう世界に協力を呼びかける「東京会議」を、3月には世界10カ国のシンクタンクの代表や、世界のオピニオンリーダーが3年振りに東京に集まる中で成功させ、その主張をG7議長の岸田首相に提言し、その後、国際協調の流れに大きな役割を果たしたと聞いている。「東京会議」を軸に寄付が大きく増加し、これに起因して、法人会員も増加しており、支援が広がり始めたことは明るい兆しと考える。さらに、令和四年度は「ふるさと納税」を利用した寄附も2700万円を超える寄付額に達し、年々増加していることも一つの成果と言える。

 こうした支援基盤の広がりと多様化は言論NPOの活動の持続性にとって極めて大きく、今後も注力すべき課題である。ただ、それにも増して大事なのは、多くの人たちの共感であり、その輪を広げることにある。

 そのためには、言論NPO自らが取り組みの達成状況を幅広く市民に知らせる必要がある。こうした努力を更に計画的に広げ、より多くの人に言論NPOが何に取り組み、何を実現したのか、これから何に取り組もうとしているのか、という点について理解を広げることは、日本社会の未来と健全な言論空間の発展にも不可欠と考える。民主社会が世界中で後退し、国際社会が不安定化する今だからこそ、言論NPOの活動とその初心そのものが問われているとも言える。設立時のミッションの実現に向けて、幅広い市民や有権者の支持を集める、日本を代表するシンクタンクへの発展を引き続き期待している。