2007.2.16開催 アジア戦略会議 / テーマ「アジア外交」

2007年2月16日

070216アジア戦略会議
 アジア戦略会議が再スタート。
 アジアの中での日本の将来像を描き、政治や国民に選択肢を提示するための議論を再開しました。第一回目は白石隆氏が日本の外交政策について問題提起しました。

白石隆氏スピーカー:白石隆(政策研究大学院大学副学長)

 2月16日に、言論NPOのアジア戦略会議(座長:福川伸次元通産次官)が再スタートしました。2002年に始められたこの会議は、既に4年以上にわたり、日本のアジア戦略を切り口に、様々な観点から幅広く日本の将来像などについて議論を重ね、言論NPOはその中から、東京-北京フォーラムや、国際シンポジウム、日本の将来選択の議論など、日本の議論形成の場としても様々なものを生み出してきました。
 この会議ではこれまで戦略形成の方法論に従い、日本の将来戦略を提示するためステップを踏みながら議論形成を進めてきました。

 言論NPOが開催した2005年の国際シンポジウムでは、日本の将来選択肢を自民、公明、民主の3党の政調会長をお招きして提案するなどいくつかの仮説を提示するに至っていましたが、昨年8月の東京で開催された第2回「東京-北京フォーラム」の準備のために中断、このほどこの会議が再開されたものです。

 この日の会議では冒頭に、言論NPOの代表、工藤から今後の議論の進め方として、
①日本の戦略形成の議論形成では、今年の参議院選挙を一つの軸にこれまでの議論を再び組み立て直し将来選択肢の提示を行いたい、
②同時に日本の外交政策に適宜、提案を行えるような体制を整備したい、
③今年の八月に北京で開催が予定されている東京―北京フォーラムの議論についてのこの場で準備と同時平行で検討したい、との説明がありました。

 会議では、こうした趣旨が確認された上で、当会議のメンバーである白石隆氏(政策研究大学院大学副学長)からの問題提起から、議論の口火が切られました。

 白石氏は、日本では冷戦の終結とそれによる国際政治の構造の変化がまだきちんと認識されていないとして、日本のアジア外交を考える論点を、日米グローバルパートナーシップ、東アジア共同体の構築、中国にどう関与するか、の3つの視点から整理しました。

 そして、「世界のアメリカ化こそがアメリカの安全保障の鍵」というヘゲモンを持つ国とどう付き合っていくか、日本のマーケットをどう活用して日本にもアジアにも利益となるシステムを地域化していくかといった点に日本の課題があるとしました。その上で、日米中の中で既に大国である日本は、外交面で米中のバランスに影響を与える行動はとらず、外から読める安定した存在として、日米同盟の枠内で中国の協調的な行動を東アジア共同体の中に徐々に引き出していくことが重要だとしました。

 これを受けて、メンバーの間では、グローバルなパワーバランスの問題、中国の変化、アジアにおける日本の役割やあり方、日本の存在感と国内改革との関係など、様々な論点にわたって活発な討議が行われました。また、第三回北京-東京フォーラムに向けて、日中世論調査の案なども含め、意見交換が行われました。

 その後、今年の東京―北京フォーラムで実施される日中の共同世論調査の文面に対して意見交換が行われました。

 アジア戦略会議は、今後、政策当事者も含めた各界の有識者に次々に参加を求めながら、アジアの中での日本の将来像をめぐって多角的な観点から議論形成を進めてまいります。

▼ 白石隆氏の発言要旨を読む(会員限定ページ)
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今回の出席者は以下の方々でした。(敬称略)

白石隆(政策研究大学院大学副学長)

福川伸次 (機械産業記念事業団会長 元通産省次官)
安斎隆(セブン銀行社長 元日銀理事)
小島明(日本経済研究センター会長)
周牧之(東京経済大学経済学部准教授)
深川由起子(早稲田大学政治経済学部・国際政治経済学科教授)
松田学(財務省〔東京医科歯科大学教授〕)、言論NPO理事
横山隆(三井物産株式会社食料・リテール本部長補佐)
工藤泰志(言論NPO代表)

アジア戦略会議が再スタート。
アジアの中での日本の将来像を描き、政治や国民に選択肢を提示するための議論を再開しました。第一回目は白石隆氏が日本の外交政策について問題提起しました。