言論外交の挑戦

「第10回 言論NPO会員フォーラム」を開催

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2005/1/14 (金)
「第10回 言論NPO会員フォーラム」報告

場所:日本財団2階 会議室

日中関係構築に何が妨げになっているか」
言論NPO、中国日報社の日中議論交流提携踏まえ初フォーラム

言論NPO(代表・工藤泰志)は1月13日に行った中国日報社との日中議論交流提携に関する記者会見に続いて、翌1月14日(金)午後6時半から午後8時過ぎまで東京港区赤坂の日本財団ビル2Fの大会議室で、今回の提携の中国側代表である中国日報のチャイナデーリー・インターネット版社長の張平氏、北京大学社会科学部長の程郁綴氏、周牧之東京経済大学准教授、それに言論NPOアジア戦略会議メンバーで、アイワイバンク社長の安斎隆氏(元日銀理事)の4氏とコーディネーターの代表工藤とで「日中関係構築に何が妨げになっているか」というテーマで議論交流しました。会場には最近の日中問題に関心を持つ100人を超す人たちが参加しました。

まず、冒頭、代表工藤から、前日の記者会見で発表した中国日報社との提携内容、提携の意味合いなどについて、説明がありました。

代表工藤は、その中で、「いま、日本と中国との間で、経済面での強い結びつきとは対照的に、一部で相互理解が十分に進まず、しかも残念なことに感情的な反発も出たりして、相互の関係がいいとは言えません。むしろ両国の間に意識や認識の面、さらにはコミュニケーションの面でギャップがあり、それが拡大しているようにも思える。相互の議論や意見交流で、そのギャップを埋められないか、という問題意識に立ち、かねてから、シンポジウムなどを通じて議論をしてきた中国日報社インターネットメディアの張社長さんらに働きかけたところ、全く同感だという問題意識の共有が出来、それをきっかけに、今回の提携に至りました」と述べました。

また、これを受けて、中国側の張社長も、ほぼ同じような問題意識から提携に至ったこと、新しい議論交流のパイプを広げたい、と述べました。

このあと、討論形式のフォ―ラムに入り、代表工藤の指名で、まず、周東京経済大学准教授が、いま、日中関係をどう位置付けるか、考えを述べました。

周氏は、「いま、日中関係は、政冷経熱という形で表現されているように、政治的には国交正常化以来、最悪の関係にあり、本来のパートナーシップが活かされていないのが残念だ。しかし、この最悪の関係をそのままにしていいはずがない。我々は、今回の言論NPOとの提携によって、とくに言論NPOの会員メンバーである経済界、政界、言論界、あるいは官界などの優れたリーダーたちと個人ベースでの議論交流を続けることで、相互にネットワークをつくりあげ、それによって相互の認識ギャップなどを解消することは可能だ」と述べました。

また、安斎氏は、「日中間のギャップを埋めるには忍耐が必要だ。建前の議論でなくて本音で話し合えば理解しあえる、といった見方があるが、現実問題として、本音ベースといっても、夫婦間でも本音を出すことでかえってギクシャクすることだってある。むしろ、互いにいたわりの気持ちでつきあうことが夫婦間で必要であると同時に、日中間も、そうした姿勢で臨めば、かなり状況が変えられる。まずは、互いにいたわりあうという気持ちを持つことが出発点だ」と述べました。

続いて、程氏は「私は、北京大学で文学に携わっているが、日本の文化や文学に関しては、率直に申し上げて学ぶべきこと、教わることが多い。私は、日中関係については、厳しく受けとめていない。むしろ、今回の言論NPOと中国との議論交流や共同しての意識調査などを通じて、理解を深めることで、必ずや関係改善が進むと思っている。私は、繰り返しだが、日中関係の将来については、心配していない」と述べました。

このあと、工藤氏が、出席者に質問することで問題の所在を浮き彫りにするスタイルで議論を進め、張社長に対して「靖国神社参拝問題が解決すれば、日中関係は大きく変わると思っているのか」「同じく台湾問題については、どうみているのか」「日中間には、越えきれない感情の高まりがなぜ、あると思うのか、何が障害になっていると思うのか」といった質問を投げかけました。

張社長は、中国のインターネットメディアを通じて、中国の世論動向などを見ている立場から、質問に対して、率直に答えましたが、「私は、率直に言って、日中間のいまの現状は相当に感情的な対立があると言わざるを得ない。みなさんはなぜ、と思うかもしれないが、やはり最大のポイントは、小泉首相の靖国神社参拝だ。日本人の歴史認識はどうなっているのか、なぜ、戦争犯罪人の東條英機元首相を祭っているところに行くのか、と反発する。中国では、この問題に敏感になっている」という中国の現状を述べました。

ただ、張社長は、言論NPOとの議論交流などを通じて、少しずつ認識あるいは意識のギャップは変えることは可能だと付け加えました。

また、会場からも質問を受け、フォーラムに参加していただきましたが、会場からの質問は、張社長に集中し、「中国が領海侵犯した原子力潜水艦の問題について、日本では大きく報じられたが、中国では報じられたのか、もし報じられたのならば、どういった形だったのか」「中国のネットメディアは、どういった編集方針で報道に携わっているのか」などの質問がありました。

この原潜問題については、張社長は、直接言及せず「ネットメディアは、それぞれ編集方針を持っている。ただ、国の利益と調和をとったものにする」とだけ、答えました。

それに対して、代表工藤が会場の質問を紹介する形で、「世論は中国の政策形成に影響を与えるのか」といった質問を行いましたが、張社長は「そう、ネットメディアがいまでは、政策形成に影響をあたえるようになっている。インターネットは、新しい媒体だが、民意を反映するようになっている」と述べました。

このほか、今回のフォーラムのテーマである日中関係構築の妨げになっているものは何か、という点について、いろいろな意見が出されました。

このあと、パネリストと会場の参加者を囲んでの意見交流のための懇親会も行われ、盛況でした。

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