日本の民主主義を立て直す

第5回エクセレントNPO大賞 「市民賞」講評

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1.審査の視点

 市民性の評価基準は、その活動がボランティアや寄付者による参加という形で多くの市民に開かれ、さらに参加する人々へ十分な配慮がなされているかという点を重視しています。審査にあたって、ボランティアについては、参加や活動を通じてかれらの成長につながるような工夫がなされているかということもポイントとなりました。寄付者については、寄付受領のお知らせや活動報告などが迅速、適切になされ、信頼を築くための努力がなされているかもポイントとなりました。そして、ボランティアと寄付者に対して、団体が取り組む社会課題の理解を促す努力も問われました。


2.審査結果

(1)ノミネート団体

「特定非営利活動法人高知こどもの図書館」

 高知こどもの図書館は、日本で初めてNPO法人が設立、運営する図書館として1999年12月に開館しました。ボランティアに依頼する仕事を「図書の装備」、「機関誌の発送作業」、「企画展の設営」など具体的に区分して募集されています。またボランティアの方たちと「図書館サービス・選書部会」、「広報部会」、「企画部会」、「バザー実行委員会」などを組織されていて、運営にもボランティアが積極的に関わっている様子が伺えます。ボランティアからどのような意見や提案が出されていて、それがどのように反映しているか書かれていればなお良かったです。

「特定非営利活動法人カタリバ」

 カタリバは10代の子どもたちへ教育支援を行うNPOです。全国で5000人以上のボランティアが活動しています。また学生ボランティアに関しては、活動が始まるときのスタートアップの会、企画が終了するごとに行う振り返りの会、年度末の「卒業の会」などを行い、手厚くケアされています。今後、学生ボランティアが、卒業後、社会人になってから、学生時代のボランティア経験を生かす場面があったかなども尋ねてみると、新たな発見があるかもしれません。

「特定非営利活動法人遠野まごごろネット」

 遠野まごころネットは、東日本大震災の発生直後、それぞれ独自に支援活動を開始していた遠野の市民団体5団体(NPO、株式会社等)が協調して未曾有の被害に対応するため、遠野市社会福祉協議会を中心に結成された団体です。東日本大震災の際の経験を生かして茨城、栃木、京都、熊本、広島、ネパールなどの自然災害被災地でも復旧復興支援を行っています。震災発生直後よりボランティアを積極的にホームページや新聞記事で募集し、これまでに国内及び世界20カ国以上から10万人以上がボランティアとして参加しています。さらに、ボランティア発案の復興支援チャリティイベント「サンタが100人やってきた!」を開催するなど、ボランティアを貴重な財産と捉えていることが良くわかります。多くのボランティアの方々に役割を与え、働けるようにするために舞台裏で様々な準備をしていたと推測されます。このあたりのノウハウについて、体系的に整理していただくと、他の団体にとっても貴重な情報となると思われます。

和白干潟を守る会」

 和白干潟を守る会は、1978年に市民の手での和白干潟(福岡県)の自然を守っていくことを目的に設立された団体です。広く市民に干潟で活動に参加してもらい、干潟保全の大切さを感じてもらうことで、干潟の役割、保護の重要性を伝えています。活動の最後にアンケートを書いてもらい、反省会を行うことで、浮かび上がった課題を次につなげている様子が伺えますが、ホームページなどにボランティアの内容について、より詳しい説明があるとさらに良かったです

「特定非営利活動法人アルテピアッツァびばい」

 アルテピアッツァびばいは、美唄市より指定管理者として市の芸術文化交流施設アルテピアッツァ美唄(彫刻家・安田侃氏が今なお創り続ける、大自然と彫刻とが相響する野外彫刻美術館)の維持・管理・保全をしているNPO法人です。同美術館は、入場料を取らない運営、彫刻に触れることも座ることも自由と、ユニークなミュージアムとして、四半世紀運営を続けています。年間を通じて草むしり、落ち葉集め、来訪者案内、イベント運営、鑑賞サポートなどボランティアの機会を計画的に設定し、ホームページに掲載しているほか、年3回の会員向け発送物700通では必ずボランティアの機会を紹介しています。そして、アルテピアッツァ美唄への思いを共通項として活動を支援してくださる方々を「アルテ市民ポポロ」と呼び、ともに管理運営を担う立場とするなど、活動への参加の機会が広く開かれていることが感じられます。入場料をとらずに、指定管理費や他の財源で運営されていますが、将来的に指定管理費の減少が想定される中、どのように資金調達するかは、課題かと思います。

(2)市民賞

 以上ノミネート団体の中から慎重に議論を重ねた結果、市民賞は「特定非営利活動法人アルテピアッツァびばい」に決定しました。市民性の評価基準で特に重視している、ボランティアと寄付者など、団体の活動に参加する人々への配慮が、特に丁寧になされている点が高く評価されました。


3.今後に向けての期待

 応募された団体は、いずれも寄付者やボランティアを資金や役務の単なる提供者としてだけではなく、団体の運営に不可欠な構成員として捉え、積極的に多様な役割を与えている様子が伝わってきました。今後に向けての期待として、ボランティアや寄付者が団体と関わることで、彼らがどう変化し、成長を遂げてきたかを体系的に整理していくと、団体にとって有益となるばかりでなく、他団体の参考にもなり、市民社会全体の発展にも資することになると思われますので、期待したいと思います。

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