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第6回エクセレントNPO大賞「組織力賞」講評

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1. 審査の視点

 「組織力賞」では、組織の使命や目的が文書に明示され、その課題や方針が明確になっているか、事業の成果がホームページなどで公開されているかなど、情報開示、資金調達の多様性や透明性などの点を中心に審査を行いました。また、活動に見合った運営の独立性や中立性を維持しているか、使命を持続的に遂行できる基盤を十分に持っているのか、という面からも審査しました。


2. 審査結果

(1)ノミネート団体

「がんサポートコミュニティー」

 がんサポートコミュニティーは、首都圏で生活するがん患者やその家族のために心理社会的支援活動として、医療・看護・社会福祉や臨床心理等の専門家を交えて、自分と似たような境遇にある人たちと語り合うことで、自分が決して独りではないことや、自分らしく生きていくことの大切さに気づくための機会を提供しています。特定の勢力からの人材関与、特定の勢力からの資金流入を回避することを目的として、理事会内に指名・報酬委員会と監査委員会を設けている点、高額な資金調達のプロセスが公募制になっている点など、活動・運営の中立性・透明性を維持するための仕組みづくりの面で評価させていただきました。また、世代交代を見据えた人材育成・運営などサクセッション・プラン(後継者育成計画)を実施しています。NPO法20年を経て、大きな課題となっているのが世代交代です。そうした意味でも、この取り組みは多くの団体に重要なヒントを提供してくれるものと思います。


「八東川清流クラブ」

 八東川清流クラブは、八東川(はっとうがわ)の水質汚染問題に対して活動しています。①きれいで安全な水の確保②魚や水生生物が豊かに生息できる環境の確保③人の心に潤いをもたらす景観や憩いの場の創出、という三つのテーマを掲げて、団体を設立し、その実現に寄与する活動を、地域住民の参画を得ながら取り組んでいます。資金源について、行政補助ではなく、民間助成金・自主財源(会費・受託収入等)・寄付金(企業・個人)と多様な資金源を確立できている点、また寄付金を受け取る際の中立性を維持するための内部方針を明確に持っている点を評価させていただきました。


「ブリッジフォースマイル」

 ブリッジフォースマイルは、児童養護施設等から社会に巣立つ子どもたちが、「自分の努力と周りの人の支えがあれば、自分のハンディキャップは乗り越えられる。失敗してもやり直せばいい」と、勇気を持てるように、児童養護施設の退所者の自立支援に特化した活動をしています。組織としての独立性・中立性を確保するための監査体制作り、資金調達における透明性の確保するための仕組みとして、直接訪問による寄付の意図の確認を行い、その上で、担当や代表個人の判断ではなく、執行部会で協議している点を評価させていただきました。


「ミュージック・シェアリング」

 ミュージック・シェアリングは、「世界中の子どもたちに本物の音楽を届けたい」という思いを土台に、全国の小学校、こども病院、児童施設等での無料コンサートを実施しています。2006年からは活動をベトナム、カンボジア等、アジア諸国への広げています。パンフレットやHPにおいて、法人理念、事業内容、資金源等の情報を丁寧に掲載している点、資金源について、個人からの寄付金・助成金・協賛金・コンサートのチケット収入と多様な資金源を確立できている点を評価させていただきました。


(2)組織力賞

 以上ノミネート団体の中から慎重に議論を重ねた結果、組織力賞はがんサポートコミュニティーに決定しました。組織力の評価基準で重視している、団体の独立性、中立性、多様性を強く意識した運営に特に努めている点、並びに、世代交代に向けた後継者育成計画を作りそれを実施しているという点が高く評価されました。

 財源の多様化に向けた試みの最中におられると思いますが、そのための計画・施策づくり、またその試行を継続されていくことを期待しています。
受賞には至りませんでしたが、ノミネートされた他の3団体も受賞に匹敵するような高い組織力を持っています。


3. 今後に向けての期待

 現在、人材採用や育成は、応募の際の自己評価基準にはなっておらず、今回は審査していませんが、効果的かつ持続的な事業推進の観点からは、組織運営を担う人材の採用や育成は、重要な課題となります。現在取り組まれている組織力向上のための仕組みや考え方を、インターネット等で対外的に公開していくことで、将来の事業推進を担う人材の採用に繋がりうると思いますので、より一層の情報公開を期待していきたいと思います。

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