日本の将来を提言する

2016年参議院選挙 マニフェスト評価(少子高齢化・人口減少社会)

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評価の視点

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少子化

 2015年国勢調査の速報では、15年10月1日時点で外国人を含む日本の総人口は1億2711万47人と、10年の前回調査に比べ94万7305人減少した。国勢調査で総人口が減るのは1920年の調査開始以来、初めてとなった。

 一方、今年5月に厚生労働省が発表した2015年の合計特殊出生率は1.46となり、2年ぶりに上昇した。ただ、現在の人口を維持できる合計特殊出生率の目安は2.07とされており、それを大きく下回る水準であり、人口減少の基調は変わらない。

 例えば、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2012年1月推計)をもとにした内閣府の試算によると、中位推計では2050年には9708万人となり、さらに2100年では4959万人と5000万人を下回ってしまうということになる。

 また、労働力人口も、経済財政諮問会議の「選択する未来委員会」の推計によると、2013年には6577万人、2030年には5683万、2060年に3795万人というように、総人口の減少速度を上回る大幅な減少が予想される。

 人口減少は労働力不足、消費市場の縮小などにつながり、我が国にとっての大きな課題である潜在成長率の引き上げを実現するためには大きなマイナス要因となる。

 さらに、社会保障の持続可能性という観点からも大きな問題がある。前述の内閣府の試算によると、高齢化率は2050年には38.8%、さらに2100年には41.1%と4割を超える。しかし、その一方で社会保障を支える労働力人口は大幅に減少していくわけであるから、15歳から64歳の現役世代が65歳以上の高齢者を支えるという財政構造を前提とした現行の社会保障制度は破綻を余儀なくされる。

 こうした現状の下、各政党はその選挙公約において、どのような問題意識に基づき、少子化対策を打ち出しているのか。例えば、若者が結婚し、子どもを産み、育てていくことを促すような環境をどのように整備しようとしているのか。また、子どもの数が減るなか、一人ひとりの能力を十分に伸ばせるような教育の保障に向けて、具体的な対策があるか。

 社会保障費の配分が高齢者向けのものに偏る現状において、若者や家族向け支出に対してどのように財源を確保していくのかなど、こういった視点で評価していくことにする。

高齢化(介護問題)

 前述のように、少子化と同時に高齢化が進展していくことが予想されているが、そこで特に重要になってくるのが介護の問題である。2025年には団塊の世代が全て75歳以上となり、介護のニーズは今後ますます増えていく。しかし、介護給付費総額は現在の約10兆円から25年度には約20兆円への倍増が見込まれるなど、制度の持続可能性が問われている。さらに、人材不足も深刻である。2011年6月の「社会保障改革に関する集中検討会議」に提出された「医療・介護に係る長期推計」によると、2025年には全国で約38万人の介護人材の不足が見込まれる。

 特に大きな問題が生じるのが、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)である。高度成長期に流入した人口が75歳以上になる結果、東京圏の後期高齢者(75歳以上)は2015年から2025年の10年間で175万人(全国の増加数の3分の1)まで増えることになる。

 その中で特に、施設の不足の問題は大きい。昨年6月に日本創成会議が公表した「東京圏高齢化危機回避戦略」によると、介護保険施設・居住系サービス・サービス付き高齢者住宅等の定員数は、現在のところは東京23区のマイナス分を近隣県のプラスで補っているものの、2025年、2040年の人口をベースに推計すると、全ての地域で大幅な不足が生じることが予想される。

 こうした現状の下、医療・介護に係る施設やサービス、マンパワーの確保について、各政党はどのような見通しを持ち、どのような政策を打ち出しているのか。そして、それは社会保障財政の持続可能性を前提としたものになっているのか、財源はどのように確保するのか、さらには介護保険制度自体の持続可能性をどう維持するのかなど、こういった視点から評価をしていくことにする。


【 評価点数一覧 / 自民党 】

項 目
自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
16
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
10
課題解決の妥当性(20点)
7
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
17
合 計
33

【評価結果】自民党 マニフェスト評価   合計 33 点 (形式要件 16 点、実質要件 17 点)

【形式要件についての評価 16 点/40点】

少子化
 自民党はその政権公約で、少子化対策に関連するものとして、「一億とおりの輝き方を支援します。」という理念を掲げた大項目の中に、「子育て世代」、「若者」の2つを、さらに付属の「政策BANK」の中でも、「女性活躍」という項目で、「女性活躍を支える子育て・介護基盤の拡充」を掲げたり、「安全安心」という項目の中で「雇用と所得の拡大」、「子育て支援」、「未来を築く教育」などの項目を設けるなどしている。
 個別の政策としては、「保育の受け皿を50万人分」増やすことや、保育士の処遇改善、幼児教育の無償化、給付型奨学金の創設、「同一労働同一賃金」の実現による「正規・非正規の格差」是正、若者の就職、雇用安定と所得向上、総労働時間の短縮などが記載されている。
 しかし、どの項目も達成時期、財源、工程などは何も明らかにされていない。

高齢化(介護問題)
 高齢化対応については、「一億とおりの輝き方を支援します。」という大項目の中で「介護・高齢者」を、付属の「政策BANK」の中でも、「安全安心」という項目の中で「持続可能な社会保障性の確立」を掲げている。
 個別の政策としては、「介護離職ゼロ」を目指すため、「介護基盤を50万人分」増やすことや、介護人材の確保と離職防止のため、キャリアアップの仕組み構築と月額平均1万円の処遇改善、医療・介護・予防・住まい・生活支援が確保された「地域包括ケアシステム」の構築などが打ち出されている。
どの項目も達成時期、財源、工程などは何ら明らかにされていないのは少子化対策と同様である。

【実質要件についての評価 17 点/60点】

少子化
 公約からは中長期的な日本の人口減少傾向についてどのような問題意識を有しているのかは読み取れない。しかし、政策は網羅的に記載されており、一定の課題抽出はできているといえる。
 例えば、少子化の要因の一つには、若年層に非正規雇用が拡大したことにより、賃金が低下し、結婚や出産に踏み切れない人が増えたことがあるが、同一労働同一賃金や若者の雇用の安定化に言及しているのは課題認識の表れと見ることができる。
 また、「保育の受け皿50万人分」という目標を掲げているが、厚労省の集計によると、各自治体が2013、14年度に増やした保育の受け皿は21万8687人分で、これに2017年度末までの増加の見通しを加えると45万6606人となり、50万人分あれば吸収できることになるため、目標設定としては妥当であろう。
 さらに、2015年1月に政府が出した「保育士確保プラン」では、新たに6.9万人の保育士が必要になるとしているが、公約ではその確保策として保育士の処遇改善を打ち出しているのも方向性としては妥当である。
 ただし、財源に関する言及はない。関連する記述らしいものとしては、「赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り社会保障の充実」があるが、実際の確保策については何ら言及されていない。また、「一億とおりの輝き方を支援します。」の中で、「『経済のパイ』拡大の成果を子育て・介護など社会保障分野に分配」との記述があるが、これは安定的な恒久財源とは言えない。
 子ども・子育て支援新制度には1兆1000億円の財源が必要とされていたが、確保できたのは消費税10%への増税を前提とした7000億円だけであったように、これまで子育て関連予算の確保には苦慮してきた。その10%増税が再延期され、しかも介護など他の社会保障分野の充実も図る必要がある中、さらに財源確保が難しくなるが、どこまで少子化対策に財源を投じられるのか、その見通しは示せていない。したがって、公約からは政策実行の指導性が見出せないし、説明責任の観点からも問題がある。

高齢化(介護問題)
 こちらについても一定の課題認識はしているものと思われる。例えば、「介護基盤を50万人分」と記載してあるが、特別養護老人ホーム(特養)入所待機者は2013年度で約52万人に上るなど、施設のニーズは確かに依然として大きい。
 もっとも現在、介護職員の人材不足が顕著である。介護職員の確保ができなければ介護施設を増設しても、介護の質や介護職員の処遇が悪化しかねないが、公約では人材確保の必要性に言及しているものの、恒久的に必要となる人件費を確保していくための財源は示していないなど具体策に欠ける。
そもそも、自民党はこれまで「施設介護から在宅介護へ」という方向で介護政策を進めてきた。今回の介護施設の拡充方針は、これまでの政策体系をどう整理しながら進めていくのか判然としないが、これに対する明確な説明はなされていない。
 「地域包括ケアシステム」についても、今後高齢者人口が増える中で、高齢者が安心して、住み慣れた地域で連携がなされた医療・介護を受けながら生活できるようになるシステムが本当につくられるのかは判然としない。というのも、本来、そうした医療・介護提供体制を築くというのは、特に地域医療提供者に変革を迫る厄介、かつ地道な作業のはずであるが、政権与党としてイニシアティブを発揮して、そうした作業に取り組んでいこうという姿勢は、簡潔な公約の記載からはうかがえないからである。
介護に関する制度全体の課題として、社会保障費削減が進む中、持続可能な制度とするためには税や保険料の負担増など痛みを伴う施策が必要になってくるが、それについての言及もない。昨年6月閣議決定の「骨太の方針」には、介護について「負担能力に応じた公平な負担」が検討課題として盛り込まれたが、公約ではその検討が深化している様子はうかがえない。
 さらに、「評価の視点」で示した通り、喫緊の対応が迫られているのは東京圏であるが、それを意識している様子は見られないのもマイナス要素である。以上のことから、全体として政策実行の指導性が見出せない公約となっている。

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【 評価点数一覧 / 公明党 】

項 目
公明党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
1
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
14
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
5
課題解決の妥当性(20点)
8
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
13
合 計
27

【評価結果】公明党 マニフェスト評価   合計 27 点 (形式要件 14 点、実質要件 13 点)

【形式要件についての評価 14 点/40点】

少子化
 公明党は「重点政策」において、少子化対策に関して、「若者・女性が活躍できる希望社会へ」という理念を掲げた独立した大項目を設けている。
 その中で示されている個別の政策としては、「長時間労働の是正、有給休暇の取得促進」、「仕事と子育て・介護の両立を進める環境整備と職場復帰支援」、「保育所、放課後児童クラブの待機児童ゼロの推進」、「結婚支援、新婚世帯の生活支援」などが掲げられている。
 ただ、別の大項目である「景気に力強さを。実感を『地方』『中小企業』『家計』へ」にも「子育て家庭への支援(負担軽減策を拡充)」があったり、「安心できる社会保障実現へ」の中にも「保育や介護従事者の賃金引き上げなど処遇改善、キャリアアップ支援」があったりと体系的な公約になってはいない。
 さらに、達成時期、財源、工程などは明らかにされていない。

高齢化(介護問題)
 高齢化対応に関連するものとしては、「安心できる社会保障実現へ」という大項目が掲げられ、その中に「介護離職ゼロに向け、介護従事者の待遇改善や再就職支援、介護福祉士養成や学生等に対する支援などで必要な人材を確保」や、「地域包括ケアシステムの構築」などの政策が盛り込まれている。
 そして、達成時期、財源、工程などは何ら明らかにされていないのは少子化対策と同様である。

【実質要件についての評価 13 点/60点】

少子化
 「重点政策」では、その冒頭で、「人口減少・少子高齢化という日本の構造的な問題に立ち向かわなければなりません」とあり、「評価の視点」で示したよう問題意識を有していると思われる。
 もっとも、連立を組む自民党とほぼ同様の問題点が見られる。すなわち、政策自体の方向性は総じて妥当であるが、財源の手当てが何ら示されていないため、政策実行性に疑問が残るものとなってしまっている。
 ちなみに、公明党の山口那津男代表は6月14日、報道各社のインタビューで、2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2年半延期する方針を受け、社会保障の充実にあてこむ新たな財源は参院選後に具体化する考えを示した。政策の実効性を担保する財源については、本来、国民に対する約束である「公約」で示し、国民の信を問うのが筋であるが、それを放棄し、課題を選挙後に先送りするのは説明責任の観点からいっても大きな減点要素である。

高齢化(介護問題)
介護施設需要の急速な増大に対して、公明党は連立を組む自民党のような施設拡充方針は明確に示しておらず、「地域包括ケアシステム」の構築に重点を置いている。自民党も「地域包括ケアシステム」自体は掲げているため、両党間の認識に完全に齟齬があるわけではないが、選挙後の政策遂行で軌を一にできるかどうかは定かではない。
財源に関しては、「介護人材のすそ野を広げる取り組み」のために「地域医療介護総合確保基金」を活用する方針を明示している。現在、介護職員の人材不足が顕著であるため、方向性自体は妥当である。もっとも、同基金は消費税増収分を用いたものであるが、前述のように10%への増税は再延期されている。その中でどこまで財源を確保できるのかは不透明である。また、負担増と給付の抑制など国民に「痛み」を強いる政策は何ら示されていないため、政策の持続性も定かではない。

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【 評価点数一覧 / 民進党 】

項 目
民進党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
13
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
8
課題解決の妥当性(20点)
4
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
12
合 計
25

【評価結果】民進党 マニフェスト評価   合計 25 点 (形式要件 13 点、実質要件 12 点)

【形式要件についての評価 13 点/40点】

少子化
 民進党は、その「国民との約束」において、少子化対策に関するものとしては、「チルドレン・ファースト子ども第一」という理念を示した大項目を掲げ、それを実現するための政策として「保育園・幼稚園で働く人の月給を5万円引き上げる」ことや「返済不要の給付型奨学金創設」、「保育・医療等の自己負担軽減」などを打ち出している。
 また、「働く人を守る、働き方を変える」という別の大項目では、「非正規・正規の賃金格差解消」や「長時間労働をなくすための法律をつくる」ことを掲げている。
 財源の裏付け、目標の実現に向けた工程などは明らかにされていない。

高齢化(介護問題)
 高齢化への対応については、「シニア世代の安心を守る」という大項目を設け、その政策として「介護職員等の給与引き上げ」や「医療・介護の自己負担軽減のための総合合算制度の創設」などを打ち出している。
 財源の裏付け、目標の実現に向けた工程なども明らかにされていないのは少子化対応と同様である。

【実質要件についての評価 12 点/60点】

少子化
 「国民との約束」では、その冒頭で「分岐点に立つ日本」と題した一文の中で、「急激な人口減少」に言及しており、この問題がまさに日本の将来課題であると認識していると思われる。政策も課題に対応したものが打ち出されており、一定の課題抽出はできているといえる。
 例えば、少子化の要因としては、若年層に非正規雇用が拡大したことにより、賃金が低下し、結婚や出産に踏み切れない人が増えたことや、長時間労働慣行があるが、民進党が打ち出している政策は、その対策のために法制化を明言するなどそれらの課題に対応していると評価できる。
 他方、「保育園・幼稚園で働く人の月給を5万円引き上げる」など巨額の財源が不可欠なものに対しては、何ら財源が示されていない。別の項目で「次世代にツケをまわさない」という独立の大項目があるが、そこで示されているものは、負担増と給付の抑制など、社会保障の各制度が抱える構造的な問題にメスを入れるのではない。行政事業レビューを法定化し、税金のムダづかいをなくす「行政改革実行法」を掲げるなど、旧民主党政権下で挫折した「事業仕分け」による財源確保の発想から抜け切れていない印象があり、全体として政策の実現可能性に疑問が残るものとなっている。

高齢化(介護問題)
 「評価の視点」で示したような問題意識を有しているかどうかは「国民との約束」からは読み取れない。介護施設について何ら方針は示されていないし、かといって在宅介護についても何の言及もない。
 記載されている「介護職員等の給与引き上げ」や「医療・介護の自己負担軽減のための総合合算制度の創設」は、方向性自体は妥当だとしても少子化対策同様何ら財源が示されていないため、実現可能性が定かではない。給付と負担の関係を見直すような方針も特にないため、政策の持続性にも疑問が残る公約になっている。

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【 評価点数一覧 / おおさか維新の会】

項 目
おおさか維新の会
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
13
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
10
合 計
23

【評価結果】おおさか維新の会 マニフェスト評価   合計 23 点 (形式要件 13 点、実質要件 10 点)

【形式要件についての評価 13 点/40点】

少子化
 おおさか維新の会は、その公約において、少子化対策について、「待機児童問題の抜本解決、子育て政策」という独立した項目を設けている。
 その政策としては、「認可保育所設置基準を原則として条例で決められるようにする等分権化を徹底」や、「保育サポーター制度の導入」、「保育士要件の多様化」、「社会福祉法人と株式会社のイコールフッティング」、「社会福祉法人の『一法人一会計』制度導入」、「保育士給与に関する官民格差是正、正規・非正規職員間の同一労働同一賃金」、「私立、無認可の保育給与の待遇改善」、「保育バウチャー導入」、「保育を含む幼児教育の無償化を憲法に規定」、「子どもの数が多い(特に3人以上の場合)ほど税負担の軽減が大きくなる『N分N乗方式(世帯単位課税)』の採用」などを様々なメニューを提示している。
 ただ、これらの政策がどういった理念に貫かれたものなのかは定かではない。財源、実現のための工程についても何ら明記されていない。

高齢化(介護問題)
 介護問題への対応については、「社会保障制度改革」という独立した大項目の中で、「地域における医療と介護の切れ目ないサービス提供」や、「特養待機問題等の介護施設不足を解決」、「介護サービスでの地方分権と規制改革」、「介護と保育に関するニーズの変化に柔軟に対応するため、老人ホームと保育所を一体化させた複合施設の設置基準は、自治体が決定できるものとする」などが掲げられている。
 少子化対策同様、財源などに関する言及は見られない。

【実質要件についての評価 10 点/60点】

少子化
 中長期的な日本の人口減少傾向についての問題意識は明示されていない。ただ、政策が羅列され、体系的に整理されているとは言えないものの、課題に対応した政策も見られるため、一定の課題抽出はしていると思われる。
 もっとも、「規制緩和」を重視しているが、その場合「保育の質」をどう確保するかということは大きな課題になる。しかし、それに対する答えはそれぞれの政策の簡潔な書きぶりからは明らかになっていない。
 また、「幼児教育の無償化」を掲げているが、「憲法改正による教育無償化、道州制実現を含む統治機構改革、憲法裁判所設置」という、公約の筆頭に掲げられている別の大項目を見ると、これは教育の全課程、すなわち保育園(保育料のうち教育費相当額)だけでなく、大学、大学院、職業訓練学校まで含めたものである。しかし、幼児教育の無償化に取り組んでいる現政権が、3~5歳の無償化にかかる7900億円の財源確保の見通しすら全く立てることができていない状況の中では、実現可能性は乏しいと言わざるを得ない。
 この点、「機会平等社会を実現し、多様な人材を育てる教育改革」という教育政策に関する項目を見ると、「教育予算の対GDP比を他の先進国並みに引き上げる」としている。具体的には教育予算を3.7兆円増やして、OECD諸国並みの対GDP比5.7%にするとのことである。
 しかし、単純にOECDデータを参照することには疑問がもたれる。例えば、日本の子供(在学)数がデータの試算に反映されていないが、それを反映すると日本の順位は9位に位置することになる。在学者一人あたりの公財政支出もOECD平均を上回り13位となる。適正な数値のもとで、予算額ありきとしない政策設計が必要ではないか。
 掲げられている理想が高いだけに、なおさら実現までの道筋をある程度明らかにする必要があるが、それがないため政策実現に向けた指導性は感じられない。また、「社会福祉法人と株式会社のイコールフッティング」など一般の有権者から見れば、何が問題の所在なのか、分かりにくいと思われる専門的な課題についてもキーワードを掲げるだけであり、説明責任の観点からも問題がある。

高齢化(介護問題)
 こちらも政策が羅列されており、あまり体系的に整理されているとはいえないが、介護施設不足解決を打ち出すなど一定の課題認識はしていると思われる。
 財源に関する記述はないが、社会保障制度全体についての考え方として、受益と負担のバランスや、高齢者向け給付の適正化などが盛り込まれているように、高齢化対応への意識が明確であるのは評価すべき点である。
 もっとも、その実現に向けた具体的道筋は描かれていない。高齢者の負担増に関しては、それを実際に高齢者に説明して納得を得なければならないが、この作業は相当地道で大変なはずである。しかし、それについては何ら言及がなされていないため結局、政策の実現可能性が不透明なものとなっている。



【 評価点数一覧 / 共産党 】

項 目
共産党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
7
達成時期(8点)
0
財源(7点)
3
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
18
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
5
課題解決の妥当性(20点)
5
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
10
合 計
28

【評価結果】共産党 マニフェスト評価   合計 28 点 (形式要件 18 点、実質要件 10 点)

【形式要件についての評価 18 点/40点】

少子化
 日本共産党はその「参議院議員選挙政策」において、少子化対策に関して、「第2のチェンジ――税金の使い方を変える 社会保障、子育て、若者に優先して税金を使う」という大項目を掲げている。
 その政策としては、「30万人分(約3000カ所)の認可保育所を緊急に増設」や、「保育士の賃上げ(月10万円)、配置基準の見直しで労働条件を改善」、「子どもの医療費無料を国の制度に」、「給付制奨学金の実現」などを打ち出している。
 また、「第3のチェンジ――働き方を変える ブラックな働き方をなくし、人間らしく働けるルールを」という大項目でも、「残業時間を法律で制限し、長時間労働を是正」、「雇用のルールを強化し、非正規から正規への流れをつくる」などを掲げている。
 そして、それらを実行する財源については、「消費税にたよらない別の道」で確保するとしている。その第一は、富裕層への課税を強化など「『税金は所得や資産など負担能力に応じて』の原則をつらぬく税制の改革」によって、約20兆円の財源を確保するとしている。
 その第二は、「国民の所得を増やす経済改革で、税収を増やすこと」で、大企業の内部留保の一部を還流し、大幅賃上げと安定した雇用を増やし、下請け企業の納入単価引き上げなどをすすめるなど、国民の所得を増やす経済改革にとりくみ、税収や社会保険料収入を増やすとしている。そして、「先進国では普通の『名目2%』程度の経済成長を実現し、「10年後には20兆円以上の税収を増やす」ことで「社会保障の財源を確保」すると書かれている。
 
高齢化(介護問題)
 高齢化対応については、「第2のチェンジ――税金の使い方を変える 社会保障、子育て、若者に優先して税金を使う」という大項目の中で、「特養ホームなど介護施設の抜本的増設で、待機者問題を解消」、「介護保険料・利用料の負担減免をすすめ、削減された介護報酬を引き上げ、介護・福祉労働者の賃上げと労働条件の改善」、「国の責任で、高すぎる医療費の窓口負担、国民健康保険料(税)の軽減を進める」、「後期高齢者医療保険料の値上げに反対し、高齢者差別の制度を廃止する」を掲げている。
 財源確保については少子化対策と同様である。

【実質要件についての評価 10 点/60点】

少子化
 給付増と負担減という党としてのスタンスは明確にされている。また、「評価の視点」で示したような中長期的な日本の人口減少傾向について、どのような問題意識があるのかどうか判然としないものの、政策手段は課題に対応しているといえる。
 しかし、その財源確保については、形式要件で示したような具体的な提案は確かにあるものの、日本の経済システム全体にきわめて大きな変革を迫るものであるにも関わらず、どのようなプロセスで実現するのかを示していないため、政策の実行可能性に疑問がある。しかも、成長戦略らしきものが見当たらないが、その中で「2%台の名目成長」が可能としていたり、社会保障を大幅に拡充している政策を打ち出している一方、「2030年頃までには基礎的財政収支を黒字化」できるとしているなど、総じて見通しも甘い。
 そもそも、財源確保額は具体的に示しているものの、上記政策に必要な予算の見積もりについては全く示していないため、実際にこの財源の範囲内で支出が収まるのか検証することもできない。

高齢化(介護問題)
 介護施設増設という方針ははっきりしており、一定の課題認識はしていると思われる。
 もっとも、それを実現するための財源面の提案に関する問題点は少子化対応と同様であり、毎年増大を続ける社会保障関係費をどのように削減していくのか、という日本が直面している課題に正面から向かい合っているとはいえない公約となっている。
 なお、後期高齢者医療制度に関しては、これを「高齢者を差別する制度」との認識を示しているが、後期高齢者医療制度の財源は、9割が国と地方の一般会計および現役世代が加入する健康保険からの支援金で賄われており、決して高齢者差別ではない。むしろ、高齢化が進む中で、これからも現役世代が支え続けていけるのかといった観点から捉えられるべき問題であるが、共産党はまったく逆の認識をしている。こうした認識では、医療保険財政の持続可能性確保は難しく、課題抽出、課題解決両面で問題がある。



【 評価点数一覧 / 社民党 】

項 目
社民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
2
工程・政策手段(5点)
2
合計(40点)
14
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
10
合 計
24

【評価結果】社民党 マニフェスト評価   合計 24 点 (形式要件 14 点、実質要件 10 点)

【形式要件についての評価 14 点/40点】

少子化
 社民党はその公約において、少子化対策に関しては、「アベノミクスによる国民生活の破壊を許さず、くらしと雇用を再建します」という理念を掲げた大項目の中で、「子ども、子育て支援」を掲げている。
 その政策としては、「保育の質の向上と量の拡大を車の両輪ですすめ、『待機児童ゼロ』を実現」や、「保育士等の給与を当面月5万円引き上げるなど、保育・幼児教育従事者の待遇改善」などを打ち出している。
 さらに、「人間らしい尊厳ある働き方を」の中では、「長時間労働を是正」や、「非正規・有期雇用から正社員への転換を促進」などに言及している。
 財源に関しては、「社民党の財源確保の考え方」という項目の中で、①経済や金融のあり方を変える(ボトムアップの家計支援を通じた景気回復による税収増、タックス・ヘイブン対策の強化など)、②税制の抜本改革(富裕層の所得課税強化[所得税の累進性強化、金融証券課税の強化等で年間約6兆円超]、大企業に対する課税強化[法人税減税の中止、法人税率〈中小企業を除く〉の引き上げ、課税ベースの拡大、政策減税の見直し等で年間約5兆円超]など)、③無駄遣いをやめて、使い道を変える(不要不急の大規模公共事業の中止など)を掲げている。
達成時期や、工程などを示しているものはない。

高齢化(介護問題)
 介護問題への対応については、少子化対策と同じ「アベノミクスによる国民生活の破壊を許さず、くらしと雇用を再建します」という大項目の中で、「安心の年金、医療、介護、福祉を」を掲げている。
 その政策としては、「介護施設を増設し、入所待機者をなくす」、「当面、給与の月1万円増など介護従事者の処遇を改善」、「訪問介護・通所介護については、サービス水準の低下や市町村格差を招かないようにする」、「介護保険利用料2割引き上げ対象者の拡大をストップ」などが示されている。
 財源確保についての考え方は少子化対策と同様である。そして、こちらも達成時期や、工程などを示しているものはない。

【実質要件についての評価 10 点/60点】

少子化
 公約からは中長期的な日本の人口減少傾向についてどのような問題意識を有しているのかは読み取れないが、政策手段は課題に対応しているため、一定の課題抽出はできているといえる。
 しかし、これらを実現する具体策は示していない。また、財源確保の見通しについても、実現可能性の薄いものばかりであるし、きわめて大きな変革を迫るものであるにも関わらず、どのようなプロセスで実現するのかを示していないため、政策実行の指導性にも疑問がある。

高齢化(介護問題)
 負担を抑制しつつ、これまでの介護サービス水準の維持することや、介護施設増設、介護従事者の処遇改善という方針ははっきりしており、現状についての一定の課題認識はしている。
 もっとも、財源面の提案に関する問題点は少子化対応と同様である。介護給付費総額は現在の約10兆円から25年度には約20兆円への倍増が見込まれる中、これをどう持続可能なものにしていくのかという日本が直面している課題に正面から向かい合っているとはいえない公約となっている。



【 評価点数一覧 / 生活の党と山本太郎となかまたち 】

項 目
生活の党と山本太郎となかまたち
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
3
合計(40点)
13
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
0
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
7
合 計
20

【評価結果】生活の党と山本太郎となかまたち マニフェスト評価   合計 20 点 (形式要件 13 点、実質要件 7 点)

【形式要件についての評価 13 点/40点】

少子化
 生活の党と山本太郎となかまたちは、その「重点政策」において、少子化対策に関しては「子育て・教育」という独立した大項目を設けている。そして、「子どもを産み、育てやすい環境づくりをします」という理念の下、「月額2万6千円の子ども手当を実現」、「保育士育成を充実させ、公的支援と民間活用に厚みをつけ、保育園待機児童ゼロを目指す」などの政策を掲げている。
 ただ、財源、工程などは何ら明らかにされていない。

高齢化(介護問題)
 介護問題については、「医療・年金・介護」という大項目の中で、「制度の充実に加え、地域で取り組む体制づくりをします」とした上で、「権限と財源を地方に移譲することで、介護を受ける人の環境と介護士の待遇を大幅に改善」、「健康指導、メンタルケア、軽スポーツなどを予防医療に活用」などの政策を提示している。
 財源、工程などはこちらも明らかにされていない。

【実質要件についての評価 7 点/60点】

少子化
 公約からは中長期的な日本の人口減少傾向についてどのような問題意識を有しているのかは読み取れないが、「重点政策」の筆頭に「子育て・教育」を位置付けているあたり、課題認識はしていると推察される。
 もっとも、その実現手段は不透明である。例えば、「月額2万6千円の子ども手当を実現」については、党代表の小沢一郎氏が民主党時代に提示していたものの焼き直しに過ぎないし、実現の方策についても何ら明らかにされていない。「保育士育成を充実させ、公的支援と民間活用に厚みをつけ、保育園待機児童ゼロを目指す」も具体策は明示されておらず、説明責任の点からも問題がある。
 そして、財源について一切言及がなされていないため、実現に向けた指導性も見出すことができない。

高齢化(介護問題)
 介護従事者の処遇改善という方針ははっきりしており、この点での問題認識はしている。
 しかし、政策をどのように実現していくのか、ということが何ら明らかにされていないことや、財源に関する言及は一切ないのは少子化対策と同様である。毎年増えている社会保障関係費について、党として国民に負担を強いていくのか、それとも負担増は避け、給付をカットしていくのか、ということも何ら明らかにされておらず、単なるメニューの羅列でしかなくなっている。




【 評価点数一覧 / 日本のこころを大切にする党 】

項 目
日本のこころを大切にする党
形式要件
(40点)
理念(10点)
5
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
2
合計(40点)
12
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
8
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
11
合 計
23

【評価結果】日本のこころを大切にする党 マニフェスト評価   合計 23 点 (形式要件12点、実質要件 11 点)

【形式要件についての評価 12 点/40点】

少子化
 日本のこころを大切にする党は、その「政策実例」において、少子化対策に関して、「我が党は、人口が減少する中で、子育て世代を支援し、安心して子供を産み育てられる環境の整備を目指す。」という理念を掲げた独立した大項目を設けている。そこで示されている政策としては、「保育士への支援拡大」や「労働時間の短縮」、「育児休暇制度等の制度・運用の充実」、「扶養する子供の数が多いほど税制上有利となる制度の検討等子育て支援制度の充実」、「税制・年金制度において非婚化・晩婚化対策を実施」などがある。
 ただ、財源、工程などは何ら明らかにされていない。

高齢化(介護問題)
 介護問題については、「我が党は、医療制度、公的年金制度、介護制度等の改革を行い、生涯に わたり安心して暮らせる社会保障制度を構築することを目指す。」という大項目の中で、「介護に携わる人全体の待遇を改善し、被介護者、介護者と地域社会に よる温かい、つながりの場を育てる」ことを打ち出している。
 財源、工程などはこちらも明らかにされていない。

【実質要件についての評価 11 点/60点】

少子化
  「人口減少」というキーワードが盛り込まれており、「評価の視点」で示したような問題意識を持っているものと推察される。提示した政策についても、「保育士への支援拡大」や「労働時間の短縮」などは課題に対応しているし、「扶養する子供の数が多いほど税制上有利となる制度の検討等子育て支援制度の充実」など独自色も出している。
  ただ、すべて政策の羅列にとどまり、具体的にどう実現していくのかは明らかにされていない。そして、最大の課題である財源についても示されていないため、結局、実現可能性も判断できないものとなっている。

高齢化(介護問題)
 介護従事者の処遇改善という方針ははっきりしており、一定の課題認識はしていると思われる。
 しかし、財源に関する言及は一切ないのは少子化対策と同様である。そもそも、「被介護者、介護者と地域社会による温かい、つながりの場」などあまりにも抽象的な理念が掲げられている以上、なおさら実現までの道筋をある程度明らかにしていく必要があるが、それがないため政策実現に向けた指導性は感じられない。


主要政党のマニフェスト評価

自民党
公明党
民進党
おおさか維新の会
共産党
社民党
生活の党と山本太郎となかまたち
日本のこころを大切にする党
人口減少
33
27
25
28
23
24
20
23
経済政策 30
28
15
18
11
4
4
8
財政政策 28
11
14
16
13
2
1
3
社会保障 9
10
7
9
8
4
2
6
外交・安全保障 51
29
31
26
27
17
6
17
地方再生と震災復興 21
20
15
12
17
12
10
16

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