民主主義を強くする

2008年のような「熱意」がなければ、民主党は厳しい状況に/前嶋和弘(上智大学総合グローバル学部教授)

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maejima.jpg前嶋和弘(上智大学総合グローバル学部教授)

バイデン氏の復活の背景には、サンダース氏の政策への危機感も

 最初のアイオワ州の党員集会で、バイデン氏は本来勝たなければいけなかった、あるいは最低でも2位が必要でした。にもかかわらず、世論調査の結果などから勝てると踏んで、あまり選挙戦を重視しなかったのです。その結果、アイオワ州を重視して勝利を狙っていたブティジェッジ氏に中道の票が流れてしまいました。その流れで、バイデン氏はニューハンプシャー州も負けました。この時点で、バイデン氏は非常に厳しい立場に立たされました。そこから何とか立て直して、ブティジェッジ氏やクロブシャー氏へ流れた中道票がバイデン氏に戻ってきた。その後、ブティジェッジ氏やクロブシャー氏が撤退を表明し、バイデン氏を支持する側に回り、その結果、バイデン氏が1位で、サンダース氏が僅差の2位で追っている、という昨年12月頃の世論調査結果に戻った感じだと思います。

 その背景には、サンダース氏の革命的な政策への民主党内の危機感があったことも要因として挙げられます。そもそも、バイデン氏が中道で豊富な経験がある一方で、サンダース氏の政策には夢があるものの、その実現性が不透明ということで、民主党側には危機感があった。それが1位と2位の差に表れていましたが、バイデン氏が選挙戦当初に大失敗したために、サンダース氏が逆転していた、という状況だと思います。しかし、サウスカロライナ州以降、民主党支持者のサンダース氏に対する警戒感が、トランプ大統領により勝てる候補としてのバイデン氏を応援し始めた、という感じだと思います。


2016年の再来。民主党内で候補者を一本化するのは困難か

 スーパーチューズデーが終わった時点での代議員の獲得数はバイデン氏が566人、サンダース氏が571人(リアルクリアポリティクス調べ、日本時間5日夜現在)で、野球でいえばまだ3回か4回。民主党の予備選挙は、代議員総数の3979人の過半数1991人を採れるかどうかの争いですから、今のままでいけば、バイデン氏にとってはかなり厳しい戦いになると思います。

 今回のスーパーチューズデーでバイデン氏は復活したものの、今のままいけば、決選投票、ブローカード・コンベンション(協議と代議員の複数投票で決める方法)になる確率は高くなったと思います。

 民主党の候補者は、最終的にトランプ大統領に勝たなければいけない。では、最終的に民主党は一本化に向かうのか。

 現時点では、2016年の大統領選に類似していると思います。当時も民主党はヒラリー・クリントン氏になかなか一本化できなかった。サンダース氏に降りろという流れになってきたものの、ヒラリー・クリントン氏を勝たせようとしたエスタブリッシュメントの動きは許せない、とサンダース氏は最後まで降りなかった。今回もエスタブリッシュメントはバイデン氏を応援している状況ですから、サンダース氏としてみればなかなか降りにくい。人々の心はバイデン氏に一本化しつつあるかもしれないが、サンダース氏が離脱しないとなると、なかなか民主党内で候補者を一本化するというのは難しいと思います。


2008年のような「熱意」が民主党に出てこない限り、
 現時点でトランプ大統領に勝つのは難しい

 今後、民主党候補がトランプ大統領に勝てるかどうかは、若者を含めてどれだけ盛り上げられるかにかかっていると思います。

 昨日のスーパーチューズデーを見ていても、正確な投票率は出ていませんが、投票率、あるいは参加者があまり多いとは言えない状況です。つまり、2008年のオバマ大統領が誕生した時のような民主党の「熱意」が感じられません。今回のスーパーチューズデーを見る限りでは、バイデン氏、もしくはサンダース氏が候補者になったとしても、なかなかトランプ大統領には勝てないのではないかと思います。

 しかし、野球でいえばまだ4回です。残りの5回でうまく盛り返す可能性はあると思います。今回のスーパーチューズデーでバイデン氏の復活という大きな流れがあり、次の選挙戦の結果がどうなるかで決まると思います。これから大きな代議員を抱えているのは、4月28日のニューヨーク州、また3月17日には、フロリダ州とオハイオ州等、激戦州で投開票があります。この辺りの選挙戦で、民主党の予備選がどれだけ盛り上がっているか、またバイデン氏の人気がこのまま圧倒的になるかどうか、にかかっていると思います。

 しかし、今のままの政治ではダメだ、ということでサンダース人気に火が付いて、若者の危機感が前面に出てくるようになればバイデン氏は難しい。ここ数週間が大きな熱意をみるための分岐点になると思います。

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