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2017年10月28日

北朝鮮問題の解決に向けた環境づくりが民間でも始まった
~「日米中韓4カ国対話」を終えて~

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北朝鮮の核問題解決に向けて、政府間外交に合わせて言論NPOも動き始めた

MHI_0470.jpg 総選挙も終わり、私は北朝鮮の核問題の解決に向けた作業を再開させている。

 総選挙の総括は別の機会に報告するが、中国共産党大会が終わり、11月初旬からトランプ大統領は日中韓を訪ね、北朝鮮に対する政府レベルの取り組みが本格化する。

 これに合わせて、私たちの取り組みも急がなければと考えた。

 解決といっても、私たち民間にできることは限られている。

 しかし、少なくても関係する周辺国でこの解決に向かって政策協議を進め、この内容を多くの人に公開する、必要がある。

 それが、このアジアでトラック2やトラック1.5の民間外交を進めてきた私たち言論NPOの役割である。


日米中韓4カ国で「北朝鮮の核保有は認めない」と合意できたのは大きな収穫

MHI_0809.jpg 昨日、10月27日に行った日本・米国・中国・韓国の4カ国の議論は、非公式会議と公開セッションを併せて、朝から夕方まで6時間余りになったが、公開された動画やテキストから、いくつかのことを気付かれた方も多いと思う。

 私たちはまず、周辺国が実現すべき目標で足並みを揃えることが不可欠だと考えている。そこで、27日の会議ではしつこいくらいに何度も私は目標を確認している。

 北朝鮮の問題で実現すべき目標は、北朝鮮の核保有は認めない、ということだと私は考えている。

 議論では何とか、その目標で4カ国の出席者は足並みを揃えることはできたが、温度差を感じた人もいるだろう。

 すでに核兵器を保有してしまった北朝鮮からそれを取り上げるためには徹底したプレッシャーから、外交プロセスの可能性を引き出さなくてはならない。

 それが本当に可能なのか。すでにそれが不可能なのであれば、実現すべき目標は別のものでもいいのではないか。最近、メディアなどで見られる論調の一部にはそうしたぐらつきがある。

MHI_0544.jpg しかし、北朝鮮の核保有を認め、例えばICBMの米本土阻止を目標にする、ということにでもなってしまえば、この地域に平和は永続的に不安定化するばかりか、核の世界的な拡散を容認することになる。出席者の一人は、それは地獄への扉をあけることだ、と言っていたが、私も同じ理解である。


北朝鮮の核保有を認めず、軍事行動も避けるという目標の両立は可能か

 ただ、私たちが目標に据えたいのはそれだけではない。

 どうしても貫かなくてはならないのは、軍事行動は可能な限り避ける、ということだと私は考えている。

 北朝鮮の核保有が認めないが、軍事行動も避ける。

 この難しい連立方程式の解を導くシナリオをどういう形で描くのか。答えはあるのか。それが私たちのもう一つの強い問題意識なのである。


これまでにはなかった新しい「日米対話」が始まる

 10月30日(月)はいよいよ日米の専門家で協議を行う。この難しい協議に米国から6氏の代表的な専門家が参加し、私たちの言論NPOの安全保障会議から5氏が参加する。

 多分、今の難題に最もふさわしい陣容だと思う。

 議論は非公開と公開の2つで行われるが、公開セッションは動画で中継することになっている。

 2013年に私たちは、尖閣諸島での対立で民間レベルではあるが中国と「不戦の誓い」を合意した。しかし、当時とは比べ物にならない緊張感が今の私にはある。

 北朝鮮問題が解決できない限り、この北東アジアの平和を実現することもできない。政府外交はそのすべてを握っているが、解決のための環境づくりに民間も本気で全力を尽くす局面なのである。

 30日の日米対話を踏まえ、来週は中国で議論を行うことになる。

 米国との間では現在、北朝鮮の核脅威の解決で共同の世論調査も行っている。

 私たちの取り組みのプロセスは可能な限り、皆さんに公開したいと考えている。

10月27日(金)「日米中韓4カ国対話」参加者は以下の通り

日本 工藤泰志(言論NPO代表)
   香田洋二(元海上自衛隊艦隊司令官)
   中谷元(元防衛大臣)
   西正典(元防衛事務次官)
アメリカ ジム・ショフ(カーネギー国際平和基金日本部長)
   ザック・クーパー(戦略国際問題研究所シニアフェロー)
   ブルース・クリングナー(ヘリテージ財団シニアフェロー)
中国 呉莼思(上海国際問題研究所シニアリサーチフェロー)
韓国 李相賢(世宗研究所安全保障プログラムディレクター)
   ジョン・ジェソン(ソウル国立大学教授)

▼北東アジアの平和構築に向けた多国間協議の第一歩が始まった
  ~「日米中韓4カ国対話」公開フォーラム 報告~

 
▼北朝鮮を核保有国として認めない点では一致するも、具体策は各国で対応が分かれる
  ~「日米中韓4カ国対話」非公開会議 報告~


mainimg_2.jpg

「日米対話」概要
テーマ:「北朝鮮の核脅威の解決と北東アジアの平和をどう実現するのか」
日 時:2017年10月30日(月)14:00~17:30
助 成:ヘンリー・ルース財団(米国)
参加者:
 日本 工藤泰志(言論NPO代表)
    香田洋二(元海上自衛隊艦隊司令官)
    徳地秀士(元防衛審議官)
    西正典(元防衛事務次官)
    宮本雄二(元駐中国大使、宮本アジア研究所代表)
 米国 ダグラス・パール(カーネギー国際平和基金副会長)
    マーク・リパート(前駐韓米国大使)
    ジム・ショフ(カーネギー国際平和基金日本部長)
    ブルース・クリングナー(ヘリテージ財団シニアフェロー)
    ジェニー・タウン(ジョンズホプキンス米韓研究所副所長、「38ノース」編集長)
    シブリー・テルハミ(メリーランド大学クリティカルイシュー世論調査ディレクター)

▼10月30日(月)14時から「日米対話」をネット中継します
 YouTube Live https://www.youtube.com/watch?v=YDM_d2_mmgU

投稿者 genron-npo : 19:50 | コメント (0)

2017年10月 9日

総選挙公示にあたって考える
今、問われているのは民主政治自体の危機なのではないか

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民主主義の立て直しに向けて、作業を開始します


kudo.jpg 突然の解散で、私たち言論NPOも時間の全てを選挙の対応に集中させている。

 一強といわれる自民党に対して3つの極が生まれ、メディアは政権選択が可能となったとはしゃいでいるが、それらの政党から、日本が今最も直面する困難、北朝鮮の核問題や日本の急激な高齢化と人口減少に対して有効な対策や考えが提示されているわけではない。

 危機は目前に迫っているのに、それが争点化されず、何を求めて政権を競うのか、それが分かりにくい。多くの有権者が困っているのは、そのためだ。
私が、今回の選挙で最も気になっているのは、日本の民主主義の問題である。選挙は国民が政治に参加する重要な機会だが、選ぶはずの政治に信頼が持てない。そこに、政党政治の危機の本質が、見られるからだ。


政党と有権者の間に、埋めがたい距離を感じる今回の選挙

 俄かに信じられなかったのは、政策がこれまでと全く異なる政党に100人を超える政治家が、大挙して踏み絵を踏んで移動したこことだ。投票した有権者のことなど、この政治家たちの頭には全くないのだろう。この人たちは有権者の投票の重みをどう考えているのだろうか。ある政治家はこんなことも言っていた。政策がどんなに良くても、数が集まらなくては政権を取ることはできない、と。

 さらに言えば、メディアの多くの議論はそんなことお構いなしに政党の組み合わせを評価し、その物差しの一つとし、憲法や安保法制を争点化させようとしている。

 私は、憲法や安保法制のことが重要ではない、と言っているのではない。また、安倍政権の長期化には権力に配慮する様々な弊害があり、政権選択が可能な受け皿ができることも魅力である。だからと言って、自分を国政に送り出す有権者との関係を無視していいはずがない。ここで考えるべきことは政党と有権者の間の埋めがたい距離のことなのである。

 政治が有権者に支えられない社会ではドイツやフランスがそうだったように、政党からの市民の退出が進み、政党の力は大きく崩れることになる。政治はますます国民の不安に迎合するポピュリズムや、強いリーダーに期待する傾向が強まることになる。今回の政治の光景を見て、日本の政治がその方向に向かっていないとは誰がいえようか。


有権者が将来を不安視するのは、課題解決を先送りし続けてきた政党への失望

 実は私たち言論NPOがこの7月に実施した日本とインド、インドネシアなどアジアの民主化国で実施した共同世論調査では日本の国民の半数が日本の将来を不安視し、また全体の6割がその解決を政党に期待できないと答えている。

 なぜ、期待できないのか、その理由もこの調査では明らかになっている。9割が回答したのは、急速に進む高齢化や人口減少に政治がそれに対して有効な対策をしていないことである。経済や財政破綻の行方に続いて、北朝鮮などのアジアにおける安全保障への不安も急増している。国民が将来に不安を覚えているのは、こうした課題解決に日本の政治が競わず、むしろ先送りし続けているからなのである。

 今回の選挙は、政権選択選挙とメディアは言っている。私も政権選択と言われると、単純に心もワクワクするが、自民党も含めて全ての政党がこの選挙で、課題を競い合っているわけではない。

 2025年問題とは、団塊の世代の大きな塊が75歳となり、後期高齢世代に突入する問題だが、この目前になっても急増する社会保障関係費を誰がどう賄うのか、それを説明する政党はないし、北朝鮮の核保有を止めさせるために与党以上に行動し、新しい軸を提起できる政党は見当たらない。

 日本の政党は課題解決を曖昧にし、返済不可能なレベルまでに将来世代へのつけを増やし続けている。選挙の度に、現役世代に対して、財源も示さず政策として練られていない思い付きのようバラマキ案が出るのもそのためだ。


有権者一人ひとりが主権者としての自覚を取り戻し、政治に向かい合う必要がある

 もう13年も前から、言論NPOは選挙の度に毎回、各党のマニフェストの評価を行い、政権の実績評価と合わせて公表しているが、最近ではほとんどの党の点数が100点満点で20点にも届かなくなった。多くの政策は課題解決のプランとして体系性や具体性もなく、スローガンやウイッシュリスト化しているからだ。
選挙はイベント化し、政治家にとって有権者が怖い存在にならなくなった。これまで小選挙区制で当選するためには、多くの民意を集めなくてはならなかったが、投票への棄権が多くなり有権者数ではわずか十数パーセントで当選する政治家も存在する。国民の代表としての政治家の存在が薄くなり、そうした人が自分に投票した有権者を見切り、別の政党に移ることも珍しくなくなった。

 これで代表制民主主義が機能していると言えるのだろうか。

 しかし、私たちがより考えなくてはならないのはこうした政党不信や民主主義の機能不全の傾向は、日本だけの傾向ではないことだ。
世論調査で見られた日本の比率は突出しているが、ほかのアジアの国でも同様に政党は国民の信頼を失い始めている。それと合わせてどの国でも国会の信頼も異常に低い状況になっている。選挙で一票を投じても、投じる先の政党や国会を信頼できない。私たちが直面しているのは、民主政治の危機なのではないか。それが、今回の選挙を迎えるにあたって私が思っていることである。

 そうだとしたら、今回の選挙は日本の民主政治を考える上で極めて重要な意味を持つことになる。流れを変えるためには、私たち自身が主権者としての自覚を取り戻すしかない。そして、政党が課題に向かって競い合うような政党政治の実現を迫る強いプレッシャーをそれぞれの選挙区で、候補者の一人一人にかけ続けるしかない。

 それが今回の選挙で、私が皆さんに提起したい問題意識である。

 言論NPOは選挙期間中、様々な判断材料を提供していきます

 いよいよ公示である。私たち言論NPOにとって、平和の実現と民主主義の促進は創設時からのミッションである。私たちもその初心に戻らなくてはならない。今回の選挙の意味は、政党と有権者との間に緊張感を取り戻すことである。

 まず、そのためにできる限りの材料や議論を、明日から毎日、皆さんに提供することから始めたいと考えている。

投稿者 genron-npo : 22:34 | コメント (0)