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【vol.50】 塩崎恭久×林芳正×渡辺喜美『自民党若手議員は小泉改革をどう評価したか(2)』

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.50
■■■■■2003/10/14
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●INDEX
■ 座談会 塩崎恭久×林芳正×渡辺喜美
  『自民党若手議員は小泉改革をどう評価したか 第2回』

■ アンケート『マニフェストおよび政策評価についてのアンケート vol.5』


●TOPIX
■ 記者会見「政策評価委員会」立ち上げ
■ 【総論】小泉内閣の政策評価書
■ 【緊急提言】マニフェストで明確にすべき争点
■ 評価会議:経済政策「小泉政権はマクロ政策をどう組み立てたか」他


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■ 座談会『自民党若手議員は小泉改革をどう評価したか 第2回』
  塩崎恭久(衆議院議員)、林芳正(参議院議員)、渡辺喜美(衆議院議員)
                       聞き手 工藤泰志・言論NPO代表
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次の総選挙の争点はどう描かれるのか。自民党の3人の政治家が今回の総裁選や小泉
改革を評価し、マニフェスト型政治を巡る議論に参加した。派閥政治についての見解
や日本の新しいガバナンスのあり方に加え、マニフェスト政治の実現に必要な条件
や、今後争点とすべき政策の柱について、3氏それぞれの主張をぶつけ合う。


●若手の出馬はなぜ不発となったか

渡辺 自民党の政治モデルを変えようという我々の動きは残念ながら不発に終わりま
   した。総裁選に立候補するには20人の推薦人が必要で、我々若手から出そうと
   いうことで18人まで集まりましたが、あと2人がどうしても集まらなかった。
   初めに誰を出すか決めずに21人が集まって、そこで誰を出すかを投票で決めよ
   うと考えたのですが、そのやり方は最後には踏ん張りがきかなかった。やはり
   候補がマニフェストを掲げて20人を集めるという正攻法でやりたかったという
   思いがしました。

   派閥は相変わらず高くて厚い壁であり、解体の方向に向かったのは橋本派だけ
   です。堀内派がそれに続きましたが、主流派と言われる森派、山崎派、加藤派
   は一致団結箱で1人の落ちこぼれもなく、我々のアタックを跳ね除けました。
   早い話が、橋本派、つまり旧経世会が権力の中心であったものが、森派(清和
   会)にその中心が移ったというだけです。

塩崎 私もお誘いは随分受けましたが、今、渡辺さんが言われたように、21人集まっ
   たら誰にしようか決めようという話が途中から出てきたところで、これはなか
   なか難しいと私は思いました。結婚することを決めて、ところで誰と結婚する
   かという話とこれではほとんど同じで、候補を立てることが目的となってし
   まっている。これではいけない。やはり理念がまず先にあってこの理念なら一
   緒にやろうというスクラムが組めなくてはならない。マニフェストというの
   は、元々そういうものだと思います。従って、例えば渡辺さんがマニフェスト
   を掲げて推薦人が20人集まるという形でやればよかったと思う。集まって最後
   に投票で決めようということでは力が出ない。

渡辺 7月7日に政治資金パーティーを開いたのですが、そこでは出馬表明したわけで
   も何でもないのですが、次の日の新聞に出馬の意欲表明と書かれてしまった。
   その結果、私の友人たちが大変な弾圧を受けてしまった。特に選挙基盤の固ま
   らない当選1回組の人たちは、君は小泉総理と渡辺喜美とどっちをとるのか、
   などと迫られた人もいました。官邸筋からそういったお声がかかれば、皆さん
   躊躇してしまうわけです。「渡辺の推薦人になるのなら選挙の応援はないと思
   え」とはっきり言われた人もいる。手を挙げて20人集めるというやり方では弾
   圧に次ぐ弾圧で皆さん死んでしまうということが明らかになったわけです。

   そこで私は、死んだふりで成り行きに任せていたわけです。私の友人達は弾圧
   を受けないようにきれいに上手にやるには、とにかく世代交代、73歳比例区定
   年制、予備選挙導入といったハードルだけで集まって、その上で投票で候補を
   決めたらいいではないかと考え、青年局という党組織を使った運動に転換した
   というのが経緯でした。しかし、誰を出すかは投票で決めるというルールが
   ネックになって、最後の踏ん張りがきかずにあと2名、正確に言うと、あと1名
   足りなかったということでした。

林  私もお誘いがあったときに、塩崎さんが言われたこととほとんど同じことを申
   し上げました。まずマニフェストを掲げ、この人で戦うということでなければ
   ならない。誰でもいいから推薦人に名前を出すというのは、やはりできないと
   いうことがありました。20人というのは名前が出ますから、その他大勢とは違
   うわけです。今回、私は高村先生の選挙をお手伝いして「チーム」ということ
   が大切だと思いました。そうした言葉が選挙の中で出てきたのですが、これは
   親分というよりも、政権のチームということです。こうした言葉が出始めたこ
   とが重要で、これは田中角栄より前の派閥の原型に戻る過程かもしれないなと
   私は思っています。総理が1人決まってあとは何も決まってないというのはむ
   しろ恐ろしいこと。アメリカでも大統領が決まったときには政権チームを持っ
   てくるわけですね。総裁選挙が来月あるから誰にしようかということではな
   く、日頃から一緒に議論をし、同士的な結合があって、信頼関係がなければ、
   数のためにサインして、これでやってくれというわけにいかないと思います。
   そうした信頼関係がある人が10人~20人は必要ということではないかと思い
   ます。


●「派閥政治」は終わりつつあるのか

林  昔の派閥というものはそのような固まりであり、それ以外に全くどこにも入っ
   てない人も半分ぐらい自民党の中にいたというのが元々の姿だった。政治資金
   や候補者数、ポストを分配するという機能は、後からついてきた派閥の機能だ
   と思う。派閥は元々総理をこの人にしようと思って集まっていたところから始
   まったのであり、今の状況はその原点に戻っていく過程のような気がしていま
   す。河野グループや高村派というものは15人ぐらいしかいないのですが、その
   ような形で普段からずっと集まっていた。そういうセットが何セットか党内に
   いつでもあることの方が、やはり政権与党としては安定感があるのではない
   か。

   私が高村さんについて少し心配していたのは、海部さんのようになってしまう
   のではないかということでした。あの頃、海部さんは三木派で、総主流派体制
   に担がれ、当時の幹事長は「御輿は軽くてパアの方がいい」と言い放ってい
   た。彼は御輿に乗るしかなかったわけです。では、今度はどうかというと一番
   小さいグループから出た人が最大派閥と言われていた候補よりも善戦をすると
   いう状況があるわけです。そういう姿を我々若手としてどう受けとめるかとい
   う、いいプロトタイプになるのではないかと思います。

   マニフェストは大切ですが、それだけでもだめで、最後は任せるという部分が
   あると思います。数値目標や手段を描くという部分と、例えば外交問題など、
   どういう事態を想定するかわかりませんが、何かあったときには総理に任せる
   という部分とがある。つまり、これはトラスト(信託)です。そういう側面は
   マニフェストではカバーし切れない。そのためにも誰に任せるのかの個人の固
   有名詞、それに加えてマニフェストだと考えています。

工藤 渡辺さんは結局、派閥は森派主流なっただけとの指摘でしたが、それは新しい
   流れの一歩という認識ですか。

渡辺 今はその過渡期ではあるとは思います。しかし、小泉総理ご自身の頭の中は九
   割以上、派閥パラダイムなのです。今回も森喜朗さんが青木さんや堀内さんの
   取込みに動いて、小泉主流派体制の確立に大変貢献をされたわけです。結局、
   小泉氏自身も大蔵族的議員歴が示すように、竹下派とのつき合いが深かったわ
   けです。ですから、明らかに今までの派閥政治の延長線にあるのですが、格好
   だけは、派閥政治は壊れていると言っている。しかし、橋本派が相当解体過程
   に向かったという点で過渡期の流動化傾向が出てきたとは言えます。また、安
   倍幹事長の大抜擢や、派閥推薦を無視した同じ当選3回組の大臣起用で内閣支
   持率は再び暴騰しました。このことは、小泉新内閣が「世代交代」と「派閥解
   体」を国民向けに言い続けざるを得ない宿命をおびたとも言え、私のような当
   選2回の無派閥人間にとっては大歓迎です。

塩崎 林さんが、派閥について歴史的な考察も含めて指摘されましたが、これまでは
   選挙とカネと人事の三つが派閥の機能だと言われたわけです。その機能で見て
   みると、人事は明らかに残っている。カネは以前に比べるとはるかに関係なく
   なった。今回決定的に変わったのは選挙です。かつての中選挙区では派閥の応
   援で何とか当選するということが結構多かったのが、今はむしろ政権の顔の応
   援でなければ小選挙区では勝てないという状況になってきた。今回の総裁候補
   の組み合わせでは、誰がどう考えても、小泉さんの方が選挙にはいいように見
   える。いわば、派閥の目的である三つのうちの選挙の部分で、派閥にこだわっ
   ても意味がないということになったと思うのです。

   従って、選挙を見通せば、これは明らかに小泉さんを支持した方がいいと考え
   る人たちが派閥をはみ出たという格好になっている。ただ、実はそれが派閥の
   解体にそれほど大きな結果を生み出すことにはならず、また元のような形にな
   ると思っています。我々は、政治システム改革の中で党の人事委員会というも
   のを確立しなければ駄目だと言っていたのですが、今回も人事はやはり派閥が
   窓口になっている。無派閥であっては人事について何の希望も聞いてくれない
   ということになる。基本的にはそのような仕組みは変わっていないわけで、こ
   こで派閥が終わったと考えるのはまだ早いと思っています。

                          ──次号へつづく──

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■ 言論NPO政策評価委員会
  アンケート『マニフェストおよび政策評価についてのアンケート vol.5』
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言論NPOでは、政策評価プログラムの一環として、会員・一般の方々から広くアン
ケート調査を実施します。調査は全5回に渡って行われ、結果は今後の議論形成や、
「政策フォーラム」「ネット会議」の連動コンテンツに反映されます。


──社会保障・年金問題について
小泉内閣は、社会保障制度の改革について、「世代間・世代内の公平を図り、持続可
能で信頼できる社会保障制度に改革する(2003年6月骨太方針第三弾)」との基本方
針の下、(1) 社会保障給付費の伸び率抑制によって、国民負担率の上昇を極力抑制す
る、(2) 年金改革は、若年世代の負担が過重にならないよう給付と負担の改革を行
う、(3) 医療制度についても公的医療の伸びの抑制を図るべく「医療サービス効率化
プログラム(仮称)」を完全実施するとの方向を打ち出しています。


Q20 年金改革については、厚生労働省が(1) 将来の最終的な保険料率を20%で固定
   する、(2) 人口や経済状況の変化に応じて給付を自動的に調整する「マクロ経
   済スライド」を導入する、(3) 基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げなど
   具体的な改革の概要を明らかにしていますが、あなたはこうした改革プログラ
   ムをどう評価しますか。


Q21 医療制度の改革は、2002年度に「三方一両損」(注)の改革が実施され、今後は
   2008年度を目途に高齢者の保険料負担を一部財源とする新たな高齢者医療制
   度の創設や、保険者の整理・統合、診療報酬体系の見直しなどの改革が行われ
   る予定です。また、骨太方針では、医療サービスの効率化・適正化を通じて公
   的医療費の伸びを抑制する方向性が示されています。あなたはこれまでの改革
   および今後の改革の方向性について、どのように評価しますか。


──デフレ対策と構造改革について
Q22 小泉内閣の景気やマクロ経済に対するスタンスは、「改革なくして景気回復な
   し」との言葉が表す通り、日本経済の構造改革こそが持続的な経済成長の基盤
   を整え、景気回復に資するという考え方で貫かれてきたところですが、それが
   デフレを深刻化させ、日本経済を停滞させてきたとも言われています。この点
   について、あなたはどのように評価しますか。


──総評
Q23 小泉内閣あるいは小泉改革についてあなたのご意見をお書きください。


──今後の日本の争点
以上のような各分野にわたる小泉内閣の政策の評価も踏まえ、来るべき総選挙では何
が争点となるべきだとあなたはお考えですか。

Q24 財政運営を巡って

Q25 官分野の改革を巡って

Q26 社会保障問題を巡って

Q27 人材・労働分野を巡って

Q28 経済活性化を巡って


■その他の争点
Q29 先の小泉内閣の評価については、主として経済や行政システムなど、このアン
   ケート調査で取り上げた分野から描かれる争点を例示的に挙げたものですが、
   その他の分野について、今後、総選挙等などで上記のいずれよりも高い優先順
   位を置くべき分野があるとお考えの方は、それが下記のいずれであるかお答え
   ください。


○回答はこちらでお願いします。
https://www.genron-npo.net/forum/policy/031010.html

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●TOPIX

■ 座談会「海外メディアから見た小泉評価」
http://www.genron-npo.net/debate/contents/031007_c_01.html

■ 記者会見「政策評価委員会」立ち上げ
http://www.genron-npo.net/about/history/031008_press.html

■ 【総論】小泉内閣の政策評価書
http://www.genron-npo.net/forum/policy/031008_01.html

■ 【緊急提言】マニフェストで明確にすべき争点
http://www.genron-npo.net/forum/policy/031008_02.html

■ 「評価可能な政策プロセスへの政府への提案」
http://www.genron-npo.net/forum/policy/031008_03.html

■ 評価会議:経済政策「小泉政権はマクロ政策をどう組み立てたか」
http://www.genron-npo.net/debate/contents/031008_c_01.html

■ 評価会議:財政「財政健全化と三位一体改革を評価する」
http://www.genron-npo.net/debate/contents/031008_c_02.html

■ 評価会議:金融「小泉政権は不良債権処理の出口を描けたか」
http://www.genron-npo.net/debate/contents/031008_c_03.html

■ 評価会議:産業再生「なぜ産業再生は本格的に進まないのか」
http://www.genron-npo.net/debate/contents/031008_c_04.html

■ 評価会議:社会保障「国民に説明できない負担と給付の覚悟」
http://www.genron-npo.net/debate/contents/031008_c_05.html

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   シンポジウムなど、多様な活動を展開しています。

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   1. 現在のマスコミが果たしていない建設的で当事者意識をもつ
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   新しい日本の言論形成に、ぜひあなたもご参加ください。
   http://www.genron-npo.net/guidance/member.html
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