小倉 和夫

小倉 和夫氏発言

言論NPOに期待するもの

「世論」をこえた「言論」を
言論NPOには、先ず、現代日本を覆っている「世論」という名の劇場政治の論理と倫理を越えた、真の言論(別の形の劇場政治のテクニークになりがちな、いわゆる正論をこえた真の正論)の発信を期待します。

明日の市民との連携を
市民の声や市民の目線という言葉の下に実のところは、目先の短期的な利益、それも選挙目当ての短絡的施策が強調されやすい今日、「今日」の市民ではなく、「明日」「明後日」の国民のためのメッセージの発信が望まれます。

マスコミをこえたクチコミ
マスコミ公害といわれるように現代の第四・第五の「権力」ないし権威となりつつあるマスコミの商業主義とセンショーナリズムを越えて、心ある人々がクチコミで正しい意見を、そして意味のある論争を提供できる触媒になることが言論NPOの1つの大きな役割ではないでしょうか。

小倉 和夫
独立行政法人国際交流基金 理事長


 1938年生まれ。東京大学法学部卒業(法学士)、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業(経済学士)1962年外務省入省、文化交流部長、経済局長、外務審議官等を歴任。また駐ベトナム大使(1994-95)、駐韓国大使(1997-99)、駐フランス大使(1999-2002)。外務省を2002年11月に退官後、総合研究開発機構客員研究員、青山学院大学教授(現在同大学特別招聘教授)を経て2003年10月に国際交流基金理事長に就任、2009年4月より立命館大学客員教授。
 主な著書に『東西文化摩擦‐欧米vs.日本の15類型』(中央公論社 1990年)、『パリの周恩来‐中国革命家の西欧体験』(中央公論社 1992年/吉田茂賞受賞)、『「西」の日本・「東」の日本‐国際交渉のスタイルと日本の対応』(研究社出版 1995年)、『中国の威信 日本の矜持』(中央公論新社 2001年)、『吉田茂の自問』(藤原書店 2003年)『グローバリズムへの叛逆』(中央公論新社 2004年)など。