宮内 義彦

宮内 義彦氏発言

 工藤さんから『独立してNPO法人を立ち上げたい』というお話をお聞きしたことが昨日のことのようです。ジャーナリストとして言論を武器としてもっと社会のお役に立とうというもので、この考えは今日に至るまでいささかもぶれることなく「言論NPO」のバックボーンとなっています。初志を貫徹されている工藤様を初めとするメンバーの皆様に衷心より敬意を表します。

 ジャーナリズムの果たす役割はこの10年間でずいぶん変わってきました。活字または映像からインターネット、携帯に大きく振れ、言論を戦わせる場も変化し、今後も変化すると思います。メディアがどのようなものであろうとも、そこに流れる言論の質は常に問われなければなりません。この10年間、日本の言論の質が向上したとは決していえないと思います。その中にあって「言論NPO」の行ってきた活動、なかでも政治に対する公正な評価、日中パートナーシップの交流など、多くの活動がいずれも参加者やメディアに大きな刺激を与えてきたことは間違いありません。このような活動を更に広げていかれることを心より祈念いたします。

 この間、経営的には困難が続きました。それにめげず真摯な活動を続けられた「言論NPO」に対し経済人の一人として十分にサポートできなかったことを心苦しく思っております。この状況が今後も更に続くという前提の中で動いて頂かなくてはならないだろうと思います。どうかますます幅広い理解を求めて活躍されますことを心からお祈り申し上げます。


宮内 義彦
オリックス株式会社 取締役兼代表執行役会長・グループCEO