言論NPO学生インターン企画:東大生100人アンケート   ―政治は若い世代に向き合っているのかー

2009年7月01日

 言論NPOでは、「自民党×民主党 政策公開討論会」の開催に併せて、選挙権を持つ東大生100人を対象に、政治に関する緊急アンケートを実施しました。
 東大生の9割が「日本の今の政治は、若者のための政策を実行していない」と答えており、政権を争う自民党と民主党については、「どちらも支持しない」との回答が約半数近くであるという結果になりました。
 このアンケートは、6月25日から29日までの5日間で実施しました。サンプルの所属は法学系25%、経済学系10%、文学系7%、公共政策22%、理学系2%、工学系19%、医学系4%、教養学系2%であり、学年は学部3年が25%、4年32%、修士1年が24%、2年10%、3年が3%、博士課程が 2%です。

アンケート結果をみる(PDF)


自民党と民主党 どちらも支持しない人が約半数

090630_01.jpg 政権交代が今回の選挙では大きな関心を呼んでいますが、東大生の44%の人が自民党と民主党の「どちらも支持しない」と回答しており、半数に近い人が二大政党のうちどちらも支持していないことがわかりました。ただ、自民党と民主党では、自民党を支持する人が32%で、民主党を支持する人の24%を上回りました。
 さらに「どちらも支持しない」人にその理由を尋ねたところ、「既存の政党に期待していないから」(27%)、「自民党と民主党の政策は人気取り施策ばかりで、現在の課題解決に向けた政策を競っていないから」(25%)、「どちらを支持したらよいかわからないから」(23%)との回答が上位に並びました。



東大生の約8割が 「将来に不安」。最も大きな不安は、日本の国際的地位の低下・財政破綻・雇用

090630_02.jpg 「将来に不安を感じる」と答えた人が78%でした。おもな不安は、「日本の国際的地位の低下」が28%で最も多く、次いで「財政破綻」が23%、「雇用」が22%、「少子高齢化」が21%で続きました。5番目には「政治の機能不全」(17%)が挙がりました。またこうした不安は今の政治が変わることで解消されるかどうかについては、「解消されないと思う」との回答が58%で、「解消されると思う」の42%を上回りました。


今回の選挙で政党に説明してほしいこと:「消費税増税」がダントツ1位 政治に解決してもらいたい問題:「日本の成長基盤の構築」と「財政破綻」

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今回の選挙で政党に説明してほしいことを2つまで挙げてもらったところ、「消費税増税(財源)」が47%で圧倒的に多く、「日本の外交戦略」が 32%、「雇用政策」が31%で続き、さらに「将来の年金給付」と「少子高齢化対策」が26%でした。東大生の約半数が消費税増税について政党に明確な説明を求めていることがわかりました。

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 また政治に解決してもらいたい問題としては、「日本の成長基盤の構築」(38%)や「財政破綻」(36%)の回答が最も多く、続いて「世代間不公平」(22%)、「セーフティネットの構築」(19%)、「少子高齢化・人口減少」(16%)、「貧富の格差」(15%)が続きました。



東大生の9割が「今の政治は若者のための政策を実行していない」と回答
その理由は「日本の将来像をはっきり語っていないから」「増税を先送りにして将来にツケを回しているから」

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 次に今の政治は若者のための政策を実行しているかどうか尋ねました。結果は、「思わない」との回答が9割となり、圧倒的多数の学生が、政治が若者に向き合っていないととらえていることがわかりました。その理由としては、「日本の将来像をはっきり語っていないから」が62%、「増税を先送りにして、将来にツケを回すような巨額の財政出勤が行われているから」が61%を占めて上位に挙がりました。次には「年金保険料は増額されるのに、将来の年金給付が期待できないような年金制度になっているから」が51%で続きました。学生は日本の将来像をきちんと語り、増税を先送りすることなく未来に対して責任を持つ政治を望んでいることが浮かび上がりました。



学生が望む日本の将来像 「再チャレンジできる社会」「努力した人が報われる社会」

090630_07.jpg ここでは10年後、20年後の日本はどうなってほしいかを尋ねました。結果は、「一度失敗しても再チャレンジできる社会」(36%)、「努力した人が報われる社会」(34%)の2つを望む声が最も多くなりました。次には「今ほど物質的に豊かでなくても、精神的に豊かな社会」(29%)、「格差が固定しない社会」(28%)。「お互いが助け合える社会」(20%)が続き、「政治には頼らず、個人が自立した社会」「負担は大きいが、給付も大きい社会」との回答は少ないという結果でした。




次の選挙 「マニフェストを読む」学生6割、「投票に行く」学生9割

090630_0809.jpg 次の選挙でマニフェストを「読むつもりである」学生は60%にのぼり、「読むつもりはない」と答えた学生の39%を大きく上回りました。学生がマニフェストを読むつもりがない理由は、「量が多くて読むのが面倒だから」が29%で最も多く、「マニフェストを読んでも政党間の違いが分からないから」(20%)、「テレビや新聞からの情報で十分だから」(14%)、「読んでもよく分からないから」(14%)が続きました。マニフェストそのものを知らないという学生はいませんでした。
 また、次の選挙で投票に行くと答えた学生は90%にのぼり、大半の学生が投票に行く意志があることがわかりました。



【政治家に聞きたいこと・政治家への要望】

・日本の将来像をどのように思い描いていますか。
・20年後、100年後の日本をどう変えていきたいと思っていますか。
・国民への政策の説明責任は十分果たしていると思っていますか。
・どういう若者に政治界に来てほしいですか。
・「国民のことを考える」ということと、「世論を気にする」ことをどう区別していますか。
・国民、または有権者の「質」について、不満や問題意識を感じることはありますか。あるとすれば、具体的にどのようなものですか。
・年金制度の将来予測が非現実的な数字をもとに制度は維持できると試算されていますが、問題を何とか先送りしようとしていませんか。
・今の若い世代が老世代と比べて著しく受益と負担のバランスがマイナスになっていることについて、納得できる説明してください。
・10年20年前に政治に対して発言する権利(投票権)を持たなかった現在の若者に、財源不足の負担が押し付けられようとしています。
過去十数年にわたり国会議員を務めていた政治家は、それに対して責任を感じないのですか。
・政治家の給料を上げてでもいいから、もっと国益全体を守るような政治家が多くいてほしい。

 言論NPOでは、「自民党×民主党 政策公開討論会」の開催に併せて、選挙権を持つ東大生100人を対象に、政治に関する緊急アンケートを実施しました。
 東大生の9割が「日本の今の政治は、若者のための政策を実行していない」と答えており、政権を争う自民党と民主党については、「どちらも支持しない」との回答が約半数近くであるという結果になりました。