「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」が発足しました

2016年2月10日

 言論NPOは2月10日、世界が直面する地球規模的な課題の解決に向けた日本国内の議論形成、およびその解決策を東京から国際社会に発信するための有識者会議「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」を発足させ、その第1回会議を開催しました。

 会議には、言論NPO代表の工藤泰志のほか、東京大学東洋文化研究所教授の田中明彦氏、武田薬品工業取締役会長の長谷川閑史氏、元文化庁長官の近藤誠一氏、前駐米大使で上智大学国際関係研究所代表の藤崎一郎氏、野村資本市場研究所社長の岩崎俊博氏、大和総研専務取締役の岡野進氏、東洋英和女学院大学教授の滝澤三郎氏、共同通信編集委員室長の杉田弘毅氏の9氏が参加し、活発な意見交換が行われました。

 まず、言論NPO代表の工藤が、米国の外交問題評議会が設立した世界の有力シンクタンクの会議であるカウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)に2012年から参加し、議論を重ねてきた経緯を説明した上で「世界の課題解決に関する日本の国際発信力は弱いものに留まっており、日本国内において議論する言論空間が少ないと痛感した。世界に課題に日本が挑み世界に発信するためには、こうした問題について議論を継続的に行い、海外発信を行う舞台が日本に必要だと判断した」とWAC設立の理由を述べました。

 その上で、①日本国内の主要シンクタンク、メディア、研究者らと連携し、世界の課題を継続的に議論し、多くの人が世界の課題に対する考えるための舞台をつくり、日本の主張を形成すること、②世界のシンクタンクと連携して、国際社会におけるソリューションの形成に主体的に参加すること、③これらの課題解決の議論を東京発で世界に発信すること、の三点を現時点で目指していると説明し、事業に対する協力をお願いしました。

 その後、一時間にわたって委員との意見交換が行われ、WACの今後の活動方針を合意したほか、世界の課題に関する議論が行われ、主要な国際課題として国際秩序の不安定化や、大国による力での現状変更や、世界の民主化と民主主義の正当性の問題、中国経済の失速を軸とした世界経済システムの動揺、サイバーや技術発展に伴う決済システムへの参加者に対する国際的な枠組みや、G7,G20などのプラットフォームのあり方など幅広い議論が交わされ、今後継続してこうした課題の議論を行うことを確認しました。

 また、WAC設立のキックオフとして、本年3月27日(日)に、「国際秩序の不安定化と平和構築」(仮称)をテーマに、世界5~6ヵ国の有力シンクタンクの代表者が東京に集まり、日本の有識者とこうした課題を議論する「ワールド・アジェンダ2016」を開催することを決めたほか、2017年春には、世界の主要シンクタンクと連携し、世界の課題を議論し、その解決を世界に提案する「東京会議」(仮称)発足を目指し、準備を開始することも合意しました。