「第13回 東京-北京フォーラム」記者会見 報告

2017年12月17日

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 フォーラム終了後、記者会見が行われ、今回から中国側の主催者を務めた中国国際出版集団の張福海総裁は、「今回は三つのチャンスを捉えた中でのフォーラムとなった。まず、日中国交正常化から45周年、第19回共産党大会終了後、そして習近平主席と安倍首相の会談があった節目に開かれ、国際経済秩序のあり方などいいテーマが選べたこと。全体、分科会を通じて掘り下げた議論で交流が出来、共通認識というコンセンサスが得られて、中日両国の平和、友好、発展が社会全体の共通認識となったことだ」と、挨拶しました。

a.jpg 日本側でフォーラムの指導委員会委員長の明石康氏(元国連事務次長)は、「北朝鮮問題とか国際平和への逆流の中で、日中は率直な相互信頼のある関係を打ち立てなければいけない。良き友人の間では、時には厳しくても良き対話が出来た。課題は多いが、私たちは一つ一つ問題を取り上げてきた。日中で海上メカニズム構築で合意出来、来年初めに機能出来るようになったのは、この問題に以前から取り組んできた我々の成果の一つだと思う。来年は日中友好条約締結の40周年、当時の鄧小平総書記は来日して新幹線などに触れられて、より一層の近代化が必要と感じられ、今では世界が驚嘆するような中国の発展ぶりを見せている。これに慢心することなく、より大きな協力関係の構築に向かっていきたい」と、フォーラムへの将来へ大きな期待をかけていました。

y.jpg 質問に移り、中国・新華社通信の記者は、フォーラムの新たな責任者の一人となった張総裁に、将来への展望をどのように考えているか問いました。「2005年に創設され、日中関係が悪い時も、ここまでハイレベルな民間対話の場へ発展させ、貢献してきた一人一人の関係者に敬意を表したい。その初心を忘れずに、その決意を伝承し、コンテンツ作りなどでイノベーションを図り、より多くの若者がフォーラムに参加出来るようにしたい。さらに、より大きな発展のためにブランド作りもやっていきたい」と、将来への抱負を述べました。

 日本のメディアからは、「鄧小平時代とは決別し、習近平主席は自信を持って強国を目指す、と変わっていく中で、フォーラムはこれにどう対峙していくのか」という質問が明石氏に投げ掛けられました。「私には鄧小平総書記と習近平主席の考え方、理念の違いを論じる資格はないが、より豊かな中国の近代化を目指した鄧小平氏と、グローバリゼーションの崩壊に与しないで、平和的グローバル・ガバナンスを大事にしながらやっていこうという習近平氏の姿勢、将来を見据えているのは一致しているのではないか。日中両国の昔の指導者の気持ちを忘れることなく、どれほど汗を流したか思い出し、日中は仲違いを避けながら、より大きな未来向きの利益ある両国関係を作っていきたい」と、明石氏なりの見方を示しました。

2.jpg 中国・人民日報の記者は、"一帯一路"の具体的行動について質問、山口廣秀・元日銀副総裁は、「枠組みの中での、これからの議論になるが、第三国での協力とか、民間企業同士の話し合いがあるのでは」と、話すにとどまりました。o.jpg一方、小倉和夫元駐韓国大使は、「大国になるということは、国際的責任を負うということ。格差、政治不信が広まっていく中で、どうするのか、日中が考える必要があり、その危機感を共有しなければいけない」と、双方に警告するようで記者会見を終わりました。

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