言論外交の挑戦

「第15回日中共同世論調査」結果

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認定NPO法人 言論NPO
【調査協力】
日本:輿論科学協会 
中国:零点研究コンサルティンググループ


調査の概要

 日本の言論NPOと中国国際出版集団は、日中の両国民を対象とした共同世論調査を今年9月に実施した。この調査は、最も日中関係が深刻な状況だった2005年から毎年継続的に行われているものであり、今回で15回目となる。調査の目的は、日中両国民の相互理解・相互認識の状況やその変化を継続的に把握することにある。

 日本側の世論調査は全国の18歳以上の男女を対象に9月7日から28日にかけて訪問留置回収法により実施され、有効回収標本数は1000である。回答者の性別は男性48.6%、女性51.4%。年齢は20歳未満が2.4%、20~29歳が11.9%、30~39歳が14.7%、40~49歳が17.5%、50~59歳が14.5%、60歳以上が39%。最終学歴は中学校以下が5.7%、高校卒が49.3%、短大・高専卒が20.6%、大学卒が21.7%、大学院卒が1.1%である。

 これに対して、中国側の世論調査は北京・上海・広州・成都・瀋陽・武漢・南京・西安・青島・鄭州の10都市で18歳以上の男女を対象に9月7日から20日にかけて調査員による面接聴取法により実施された。有効回収標本は1597である。回答者の性別は男性48.7%、女性51.3%。年齢は20歳未満が2.8%、20~29歳が20.2%、30~39歳が24.4%、40~49歳が26.2%、50~59歳が17.8%、60歳以上が8.7%。最終学歴は中学校以下が9.2%、高校・職業高校卒が32%、専門学校卒が30.9%、大学卒が25.6%、ダブルディグリーが0.6%、大学院卒が1.2%である。



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日中両国民の相手国に対する印象

 中国人の日本に対する印象の改善は進み、日本の印象を「良い」とする人は45.9%となり、2005年の調査開始以降で最も高い数値となった。
 日本人の中国に対する印象はわずかに改善しているが、中国に「良くない」印象を持っている人は84.7%と依然8割を超え、中国と対照的な状況となっている。中国に「良い」印象を持っている人もわずかに改善したが、15%に過ぎない。

相手国に対する.png


相手国に対する印象の理由

 日本人が中国に「良い」印象を持つ理由で最も多いのは、「観光客の増加や民間交流により中国人の存在が身近になっているから」の40%で、昨年の32.8%から大きく増加した。観光客の増加や民間交流の展開が中国に対するプラスの印象に寄与している構図は昨年と同様である。
 中国人が日本に「良い」印象を持つ理由は、「日本は経済発展を遂げ、国民の生活水準も高いから」が53.1%で昨年同様最も多い回答となった。「環境は美しく、自然が風光明媚で、温泉等の観光地が多いから」(49.7%)、「日本製品の質は高いから」(49.4%)、「日本人は礼儀があり、マナーを重んじ、民度が高いから」(44.6%)までが4割を超えるなど、良い印象の理由は観光から日本の製品、国民性に至るまで多岐に渡っている。
 一方、日本人が中国に「良くない」印象を持つ最も大きな理由は、「尖閣諸島周辺の侵犯」の51.4%だが、昨年の58.6%からは減少した。ほとんどの選択肢で昨年からの減少が見られる中、「共産党の一党支配という政治体制に違和感を覚えるから」が、昨年の37%から43%へと6ポイント増加し、2番目に多い理由となっている。
 中国人が日本に「良くない」印象を持つ理由は、「侵略した歴史をきちんと謝罪し反省していないから」と「魚釣島国有化」の2つが、昨年同様に6割前後で突出している。

良い印象の理由.png
良い印象の理由2.png


よくない印象の理由1.png
よくない印象の理2.png


この一年間での相手国に対する印象の変化

 日本人の65.4%と6割超は、この一年間で中国に対する印象は「特に変化していない」と回答している。ただ、「悪くなった(「どちらかといえば」を含む)」が2割程度ある。
 中国人は、この一年間での日本に対する印象の変化について、53.7%と半数が「特に変化していない」と回答しているが、日本とは逆に「良くなった」(「どちらかといえば」を含むという回答(「どちらかといえば」を含むが29.6%と3割近くある。

この1年間での相手国に対する印象の変化1.png




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日中関係の現在と将来

 現在の日中関係を「悪い」と判断している日本人は、昨年調査では8年ぶりに4割を切る水準となったが、今年は再び悪化に転じ、6ポイント増の44.8%となった。中国人では「悪い」という判断が昨年からは10ポイント減少し、8年ぶりに4割を切る35.6%となるとともに、「良い」が34.3%と3割を超えている。
 この一年間の日中関係の変化については、両国民ともに「特に変化していない」がそれぞれ半数程度で最も多いが、「悪くなった」との見方は、日本人では13ポイント増加して31.8%と3割を超えている一方で、中国人では昨年からわずかながら減少しており、両国民の認識の違いが見られる。
 今後の日中関係の見通しについても、日本人では「悪くなっていく」と見ている人が、昨年から8ポイント増の25.8%となり、悲観的な見方がやや拡大している。中国人では今後は「良くなっていく」との見方が4割あるなど、日本人と比較すると楽観的な見通しを持っている。

現在の日中関係.png


日中関係の発展を妨げるもの

 日中関係の発展を妨げるものでは、依然として「領土をめぐる対立」を挙げる人が日中両国で半数を越え最も多いが、いずれも昨年を下回っている。中国人では、それに続くのは「経済摩擦」、「海洋資源などをめぐる紛争」、「国民間」や「政府間」に信頼関係がないこと」などだが、「中国国民のナショナリズムや反日感情」を選択した人が昨年の5.4%から20.4%へと15ポイント増加している。日本人では、「政府間」に信頼関係がないことを挙げる人が昨年から増加して4割を超えた他、「経済摩擦」「中国の軍事力増強」等が昨年よりも増加している。「国民間」に信頼関係がないことを挙げる人は昨年から8ポイント減少して3割を切っている。

日中関係の進展を妨げるもの.png




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日中関係向上のために有効なこと

 日本人は、日中関係向上のために最も有効だと考えているのは、「両国政府間の信頼向上」であり、43.6%と突出している。これに「首脳間交流の活発化」(17.9%)を加えると6割の人が政府レベルでの関係強化を期待していることになる。
 中国人でも同様の傾向があり、この2つを加えると61.6%で、特に13ポイント増となった「両国政府間の信頼向上」の効果に期待が高まっている。
 中国人では昨年同様に「歴史問題での和解」が40.3%で最も多いが、日本人でこれを選択した人は25.5%から16.8%へと8ポイントも減少している。また、「ホットラインなど安全保障分野の危機管理に向けた協力」を選択したのは、日本人では4.9%に過ぎないのに対し、中国人では、20.4%と2割を超えるなど両国民間で意識の違いも見られる。

日中関係向上のために肝心なこと日本.png
日中関係向上のために肝心なこと中国.png


日中は世界経済の安定した発展と東アジアの平和のため、新たな協力関係を構築すべきか

 日本人の5割、中国人の6割が、世界経済の安定した発展と東アジアの平和を実現するために、日中両国はより強い新たな協力関係を構築すべきだと考えている。

安定した平和な秩序のため.png




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日中関係の重要性をどう見ているか

 日中関係を「重要」だと考える人は両国で7割前後存在している。ただ、中国では「重要」と考える人が昨年から7ポイント減少している。
 「重要」と考える理由では、日本人で最も多いのは「重要な貿易相手だから」の56.8%である。中国でもこれが59.3%と最も多い回答となっている。ただ、日本人の53.8%が「アジアの平和と発展には日中両国の共同の協力が必要だから」を選んでいるが、中国ではこれを選択したのは27.2%と3割を切っている。

日中関係は現在重要か.png


日中関係と対米関係の重要性、親近感

 日中関係と対米関係の重要性を比較すると、日本人の48.2%、中国人の39.2%が「どちらも同程度に重要」と答え、それぞれ最も多い回答となった。ただ、中国人では「中米関係の方が重要」も35.8%と昨年の31.5%よりも上昇し、「どちらも同程度に重要」と同水準になっている。日中関係の方が対米関係よりも重要と考える人は日本人で4.2%、中国人で15.7%に過ぎず、昨年と比べ大きな変化はなかった。
 また日中双方に対する親近感と米国に対する親近感を比較すると、日本人では「米国により親近感」を覚える人が49.7%と半数近いが、中国人では日米の「どちらにも親近感を感じない」という人が半数近い。中国により親近感を感じる日本人は4.8%、日本により親近感を覚える中国人は昨年よりは増えたが12.3%にとどまっている。

日中関係と対米関係の重要性.png


日中関係と対韓関係の重要性、親近感

 日中関係と対韓関係の重要性を比較すると、両国民ともに「どちらも同程度に重要」が最も多いが、昨年と比べると日本人は10ポイント、中国人も約6ポイントとそれぞれ減少している。日本人では「日韓」関係よりも「日中」関係を重要だと考える人がこの一年で多くなっており、昨年よりも8ポイント増の31%となっている。中国人では「日中」をよ重要と考える人と「中韓」がより重要と考える人はいずれも20%台前半で同水準である。
 親近感の比較では、「どちらにも親近感を感じない」という人が両国民で4割程度で最も多く、昨年よりも増加している。ただ、日本人の韓国に対する意識の傾向は悪化しており、「韓国により親近感を感じる」という人が8ポイント減の17.1%になるとともに、「中国により親近感を感じる」という人が13.2%と、昨年比で2倍近くになっている。

日中関係と対韓関係の重要性.png


日中両国にとって世界の中で最も重要な国

 自国の将来を考える上で、世界の中で最も重要な国であると判断したのは、日本人では「アメリカ」が6割を超えて突出している。中国人は昨年最も多かった「ロシア」を「アメリカ」がわずかに上回っている。日本人で「中国」を選んだ人は6.8%、中国人でも「日本」を選んだ人は14.7%で、昨年同様に設問の選択国・地域の中では3番目になっている。

日中両国にとって世界で最も重要な国.png




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相手国の社会・政治体制に対する理解

 日本人では中国を依然として「社会主義・共産主義」と見ている人が52%で最も多く、これに「全体主義(一党独裁)」が34.1%と続いており、昨年よりもそうした見方がわずかだが増えている。
 中国人では、日本を「資本主義」と認識している人が32.3%で最も多いが、昨年からは17ポイント減少した。そして、「軍国主義」という認識が6ポイント増の32%となり、「資本主義」に並んでいる。日本を「覇権主義」「大国主義」と見る中国人はそれぞれ18.5%(昨年39.5%)、5.8%(同12.1%)と、昨年から大幅に減少している。代わって、「民族主義」が23.6%と、昨年から15ポイント増となっている。
 日本を「民主主義」の国と考える人は10.4%、「平和主義」と考える人は8.4%で、昨年よりはそれぞれわずかに増えたが、1割程度である。

相手国の社会政治体制.png


相手国の政治家の認知度

 日本人の中では依然として「毛沢東」が知名度が高く、87.8%と9割近くが知っているが、「習近平」が84.9%と並び、突出している。「李克強」は1割台にとどまっている。「安倍晋三」を知っている中国人は7割を超えている。

政治家のだれを.png




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相手国への訪問についての認識

 中国へ「行きたい」という日本人は昨年よりはわずかに増えたが、32.3%にすぎず、7割近くが「行きたくない」と回答しており、この傾向は昨年と同様である。これに対し、中国人は、昨年よりわずかに減少したが、44.1%が日本へ「行きたい」と答えている。
 訪問を希望する理由としては、日本人、中国人ともに「景勝地や観光地への訪問」など観光に関するものを挙げる人が最も多いが、中国人では「買い物」を挙げる人も昨年同様、半数を超えている。

相手国へ行きたいか.png


民間交流に関する日中両国民の意識

 この一年の日中の民間交流の評価について、中国人では「活発だった」と「活発ではなかった」という2つの見方がそれぞれ4割となり、見方が分かれている。日本人では昨年はこの2つの見方が拮抗していたが、今年は「活発ではなかった」の方が2倍近く多くなっている。ただ、半数が「わからない」と回答している。
 民間交流が日中関係の発展や改善にとって「重要である」と考える人は、日本人では6割を超え、中国人では7割を超えている。ただ、「どちらともいえない」と判断しかねている日本人も3割程度存在している。
 民間交流を進めるべき分野としては、日本人では「文化交流」、「留学生の相互受け入れ」「民間対話」の順となっている。中国人では「メディア間の交流」と「留学生の相互受け入れ」を選択した人が多い。

民間交流の重要性.png




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日中関係と歴史問題の関係

 日本人の6割、中国人の9割近くが、歴史問題は日中関係において今なお大きな問題だと考えている。ただ、その中でも、歴史問題は大きな問題だとしつつも、「ある程度解決」したとの見方を示す人は日本では35.7%、中国でも39.8%、存在する。
 解決すべき歴史問題として、日本人では「中国の反日教育や教科書」を問題視する人が6割近いが、29.4%が「侵略戦争に対する日本の認識」を選ぶなど、日本自身の問題を選択する人も少なくない。中国人では、日本側の「侵略戦争に対する認識」が60%と最も多く、これに、「日本の南京虐殺に対する認識」が51.2%で続いている。
 日中関係と歴史問題の関係について、日本人では「日中関係が発展するにつれ、歴史問題は徐々に解決する」という楽観的な見方と、「日中関係の状況に関わらず、歴史問題を解決することは困難」という悲観的な見方がそれぞれ3割台で拮抗している。
 中国人では、「歴史問題が解決しなければ、中日関係は発展しない」と考える人が43.6%で最も多いが、「中日関係が発展するにつれ、歴史問題も徐々に解決する」という楽観的な見方も4割近くある。

歴史は.png

歴史問題で解決すべき問題.png

日中関係と歴史問題.png




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軍事的脅威に関する認識

 自国にとっての軍事的脅威を感じる国が「ある」と感じている人は、日本人では74.7%と7割を超えている。一方、中国人では軍事的脅威を感じる国が「ある」と感じている人は55.5%と半数は超えているが、昨年からは13ポイントと大幅に減少している。
 軍事的脅威を感じている人にその具体的な国を挙げてもらうと、日本人の84.6%と8割超が依然として「北朝鮮」を挙げている。これに「中国」、「ロシア」が続くのは昨年と同様であるが、「韓国」が7.6%から23.3%へと3倍以上に増加しているのが目立つ。
 これに対し、中国人では「日本」を選択した人が75.3%で最も多く、これに「米国」が67.7%から74.2%へと増加して続いている。「北朝鮮」に脅威を感じている人は10.3%にすぎない。また、「ベトナム」と「ロシア」に軍事的脅威を感じている中国人が増加している。
 日本人が中国に対して軍事的脅威を感じる理由では、「日本の領海侵犯」が58.8%で最も多い。また、「南シナ海での強引な姿勢」、「尖閣諸島や海洋資源で紛争があること」、「中国の軍事力が強大」であることを挙げる人も5割前後存在している。中国人が日本に対して軍事的脅威を感じる理由では、「日本は米国と連携し軍事的に中国を包囲しているから」を挙げる人が65.5%で最も多い。

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軍事的な脅威だと感じる国地域.png


日中間での領土をめぐる軍事紛争の可能性

 日中間での尖閣諸島をめぐる軍事紛争について、日本人では「起こらないと思う」が昨年から5ポイント増の38.6%と4割近い。中国人では「起こると思う」が48.3%と半数近いが、昨年からは8ポイント減少し、「起こらないと思う」との見方が26.6%から34.3%に増加した。
 日中両国の領土をめぐる対立に関して、日本人では「両国間ですみやかに交渉して平和的解決を目指す」べきと考える人が41%で最も多い。一方、中国人では「領土を守るため、中国側の実質的なコントロールを強化すべき」と考える人が60.1%で昨年同様に最も多い。
 昨年6月から運用が開始された「海空連絡メカニズム」については、偶発的軍事衝突を避けるためにこの措置だけで「十分だと思う」と積極的な評価をしている人は日本では5.3%に過ぎず、「不十分だと思う」だという評価が36.2%と4割近い。ただ、日本人の6割は「わからない」と回答している。中国では「十分だと思う」と積極的な評価をしている人は43.7%と4割いるが、昨年の50%からは減少し、「不十分だと思う」が9ポイント増の34.6%となっている。

日中間で軍事紛争は起きるか.png

領土問題をどう解決するか.png


北東アジア安全保障の多国間枠組み

 北東アジアの安全保障を議論する多国間枠組みの必要性について、日本人の50%、中国人の65.7%が「必要である」と考えている。 その多国間枠組みの参加国については、日本人では「日中韓」が参加すべきと考えている人が8割以上いる。「米国」を選択した人は62%いるが、昨年からは13ポイント減少している。中国人では自国の「中国」以外では、「米日」が参加すべきと考える人が、それぞれ6割いる。

北東アジア安全保障の.png

北東アジアの安全保障の2か国比較.png


朝鮮半島非核化に向けた外交努力の評価

 朝鮮半島の完全な非核化に向けた関係各国の様々な外交努力について、日本人の52.4%と半数は「十分でない」と見ている。「十分な外交努力が行われている」という評価は2割程度にとどまっている。
 これに対し中国人では、「十分な外交努力が行われている」との評価は74.4%と7割を超え、「外交努力は十分でない」という評価は13.2%にすぎないなど、日本人とは真逆の評価をしている。

朝鮮半島非核化に向けた.png




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日中両国の経済関係について

 日本と中国の経済関係について、日本人では昨年と同様に中国と「win-winの関係を築くことは難しい」との見方が多い。逆に、中国人では日本と「win-winの関係を築くことができる」との見方が6割を超えている。
 日中の経済・貿易関係の今後については、日本人では今後も「増加する」との楽観的な見通しは27.2%だが、昨年からは9ポイント減少した。これに対して「減少する」との悲観的な見通しは16.8%だが、昨年から10ポイント増加した。中国人では、「増加する」との見方が59.3%と6割近くあるが、昨年の67.4%からは減少している。
 日中経済、貿易関係を発展させるために必要なことについては、日中ともに「政府間関係の改善」が最も多く、これが最優先課題であるという点で両国民の認識は一致している。中国人には「法律や規制などの安定性」、「民間企業による経済協力の強化」を上げる人も4割近い。
 日中が今後協力すべき自由貿易や経済連携の枠組みについては、中国人では、「TPP11への中国の参加」と「日中FTAの早期実現」が4割近く、ある。「日中韓FTAの早期実現」を選ぶ中国人も4割近いが、昨年からは10ポイント減少している。「一帯一路での協力」は15ポイント減の29.2%、「RCEPの早期妥結」は14ポイント減の24.9%だった。日本人では「わからない」が63.8%で突出している。日本人の中で「TPP11への中国参加」が19.4%、「RCEPの早期妥結」を目指すべきと考える人は13.3%と昨年よりも増加したが、1割台に過ぎない。「日中韓FTA」を目指すべきと考える人は8.4%に過ぎず、昨年より減少した。


日中の経済関係.png

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自由貿易や開かれた経済秩序、多国間主義とWTO改革

 日本人の7割、中国人の8割がルールに基づく自由貿易や開かれた経済秩序、多国間主義は、今後の世界経済にとって「重要」だと判断している。
 現在動き始めているWTO改革については、日本人の48.9%、中国人では78.5%と8割近くが支持している。ただ、日本人では「わからない」とその是非を判断できていない人も半数近く存在している。
 世界の経済秩序の今後については、日本人では34.8%が、一部の制限はあっても今後も世界の経済秩序においてはルールに基づく「自由で開かれた」秩序が基調になると考えている。ただ、「アメリカを中心とした経済圏と、中国を中心とした経済圏が世界を二分し対立するようになる」という悲観的な見通しが26.2%あり、「わからない」も38.3%ある。
 一方、中国人では、7割を超える人が、ルールに基づく自由貿易体制や自由経済秩序が今後も発展する、あるいは一部は制限されても「自由で開かれた」ことが基調になり続けると考えていることになる。

ルールに基づく貿易関係.png

WTO改革を支持するか.png


米中貿易戦争が日中関係に及ぼす影響

 現在、貿易やデジタル技術における米中両国間の摩擦が激化しているが、日本人の50.2%と半数がこの米中貿易紛争は「日中関係に悪い影響を与える」と懸念している。中国人でも、日中関係への悪い影響を懸念する見方が45.7%で最も多い。ただ、「日中関係に良い影響を与える」と考えている人も2割近くいる。

米中貿易戦争が.png




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東アジアが目指すべき価値観として最も重要なもの

 東アジアが目指すべき価値観として、日本人では6割が「平和」、4割近くが「協力発展」を重要であると考えている。中国人も昨年よりは減少したが、4割が「平和」と「協力発展」と回答しており、この2つの価値を重視する点で日中両国民の認識は一致している。また、中国人では、「基本的人権」や「法の支配」を重要視する人が昨年から増加している。

東アジアが目指すべき価値観.png


両国間やアジアの課題における協力関係の強化

 日中両国やアジア地域に存在する課題の解決に向けて、日中両国が協力を進めることについて、日本人の63.5%、中国人の69.3%が「賛成」している。
 その協力すべき分野では、日本人の70.2%が「北朝鮮と朝鮮半島の完全な非核化」、66.8%が「大気汚染や水質汚濁などの環境問題」を選び、この2つが昨年同様突出している。中国人では、協力する課題で突出した分野はなく、2割から3割の間に7分野が入っている。その中で最も多いのは、「日中韓・日中FTA、RCEPなどでの貿易・投資における協力関係の強化」の28.4%である。これと「北朝鮮と朝鮮半島の完全な非核化」が28.2%でほぼ並んでいるが、昨年の40.4%からは12ポイント減少している。昨年からの増加が目立ったのは、「大気汚染や水質汚濁などの環境問題」で12ポイント増の20.6%だった。
 世界の課題の中で特に懸念しているものとしては、日本人の56.1%、中国人の39%が「環境汚染・気候変動」を選択している。また、中国人では「世界の貧困」や「貧富の格差拡大」を懸念する人が日本人よりも相対的に多くなっている。

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協力すべき両国間日本.png

協力すべき中国.png


特に懸念している世界の課題.png




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今後10年間のアジアにおける各国の影響力の変化

 今後10年間のアジアにおける「日本」の影響力については、日本人、中国人共に半数程度が「変わらない」と見ているが、中国人では「増大する」という見方も31.7%と3割程度あり、日本人(19.5%)よりも日本の将来の影響力を高く見ている人が多い。
 「中国」のアジアでの影響力については、日本人の6割、中国人の9割近くが「増大する」と見ている。「米国」の影響力は、日本人では「増大する」と「変わらない」との見方が3割強で拮抗しているが、中国人では「変わらない」が46.9%で昨年よりも増えている。
 「韓国」の影響力は日本人では「減少する」との見方が18ポイント増の39.1%となり、「増加する」は8.8%に過ぎない。昨年調査では最も多かった影響力が「変わらない」と見る人は30.1%で昨年よりも15ポイント減少した。中国人では51.3%が「変わらない」と見ているが、「減少する」との見方も7ポイント増加している。
 両国民の見方が異なるのは「ロシア」と「インド」の影響力で、日本人は「ロシア」の影響力を「変わらない」とする見方が46%で最も多いが、中国人では4割以上が「増大する」と見ており、最も多い回答となっている。「インド」の影響力については日本人では「増大する」との見方が39.6%と4割近いが、中国人では「変わらない」が53.2%と半数を超えている。

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世界をリードすべき国や地域

 日本人の6割近くは「アメリカ」がこれからも世界をリードすべきだと考えている。中国人の7割超は「中国」が世界をリードすべきと考えている。

世界をリードすべき国.png




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日中関係とメディアの評価

 中国人の84.6%が、中国メディアは日中関係の改善や両国民間の相互理解を促進していくことに「貢献している」と考えている。一方、日本メディアが「貢献している」との見方は日本人では26.9%にすぎない。
 また、中国メディアの日中関係に関する報道を「客観的で公平」と感じている中国人は80.4%と8割を超える高水準である。これに対して、日本人で日本メディアの日中関係に関する報道を「客観的で公平」と感じている人は14.9%と1割程度である。「客観的で公平でとは思わない」は30.5%だった。

日中関係における.png


自国のメディア報道.png


ネット世論は民意を反映しているか

 日本人の36.1%は、日中関係に関するインターネット上の世論は民意を「適切に反映していない」と見ており、「適切に反映している」の24.7%を上回っている。ただ、「わからない」という人も4割いる。 これに対し、中国人では、「適切に反映している」という見方が80.3%と8割を超えている。ただ、昨年の86.9%からは減少した。

ネット世論.png




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日中両国民の交流の度合い

 日本人で中国への渡航経験が「ある」という人は14.4%となり、この数年大きな変化はない。一方、中国人では、日本への訪問経験が「ある」という人は20.2%と2割を超え、8年連続の増加となった。
 その渡航理由は両国民ともに「観光」が突出している。渡航時期については、日本人では「11年以上前」が最も多く、現在に近くになるほど少なくなるが、中国人では「最近5年以内」との回答が97.5%にものぼる。 相手国国民に知り合いがいるという人は、日本人では19.5%、中国人では8.1%にとどまるが、昨年からわずかに増加している。

相手国への渡航経験.png

相手国の知り合い.png


日中両国民の情報源

 日本人は、中国や日中関係に関する情報源として自国「日本のニュースメディア」を選ぶ人は圧倒的で、特に「テレビ」が突出している構造は例年と同様である。
 中国人の日本や日中関係に関する情報源も、自国の「中国のニュースメディア」を選ぶ人が8割を超えている。ただ、中国の場合、「中国のテレビドラマ・情報番組、映画作品」が10ポイント増の59.5%、「中国の書籍」が7ポイント増の35.9%となるなど、情報源の多様化が進んでいる。また、日本のニュースメディアなどのコンテンツから情報を得る人が一定数存在している点も日本人とは異なる傾向である。一方、「家族や知人・友人、ネット・SNSを通じた会話・情報」は23.1%から16.9%へと減少している。
 中国人では、自国のニュースメディアの中で、「テレビ」を選んでいる人が5割を超えて最も多い点は日本と同様である。ただ、「携帯機器からのインターネット」が4割近くあり、これが10.8%にすぎない日本とは異なる傾向を示している。

情報源.png


本件調査に関するお問い合わせは下記までお願いいたします
〒104-0043 東京都中央区湊1丁目1-12 HSB鐵砲洲4階
認定NPO法人 言論NPO
TEL:03-6262-8772
FAX:03-6262-8773
メール:info@genron-npo.net

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