言論外交の挑戦

日本自身の将来像、世界やアジアの中で日本はどのように生きていくのか議論を開始すべき ~「第15回 東京-北京フォーラム」を振り返って~

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明石康(元国連事務次長、「東京-北京フォーラム」日本側実行委員長)
宮本雄二(元駐中国大使、同副実行委員長)
山口廣秀(元日銀副総裁、同副実行委員長)

工藤泰志(言論NPO代表、同運営委員長)




kudo.png工藤:皆さん、こんにちは。「第15回 東京-北京フォーラム」が無事に終わり、多くの人から非常に達成感があったということを聞きました。議論が噛み合っただけではなく、まさに歴史的な局面の中で日中が協力をしあうということに関してかなり多くの人たちが知恵を出し合ったという評価を頂きました。皆さんは今回全体を見て、どんな手ごたえを感じましたでしょうか。明石さんどうでしょう。


一つ上の段階に発展したことを実感した今回のフォーラム

akashi.png明石:私も工藤さんと同じ、中国側も15回目の「東京-北京フォーラム」というものについて、今までにも増して、非常に正面から真面目に取り組んできたな、という印象を受けました。態度もお互いに正面から向き合おうという態度であったし、色んな問題も割と冷静に率直に話し合うことができたと思います。とにかくこのフォーラムに向き合う態度において、またギスギスした問題のみならず、より広い見地から複雑なグローバル化時代に置かれて、その中で一国主義、国家主義というものが激しくなっている中で、世界第二と第三のGDPを持つ国として、われわれの責任はどうなのだ、というような態度が、底流として流れていたのではないかと思います。

miyamoto.png宮本:日本側は、大きく世界が変わる中で、何かやらなくてはいけないし、当然隣の大きな国である中国との間で、きちんとした対話を行い、関係を作らなければいけないというのは、日本の有識者の中でのある意味でのコンセンサスということで、日本はしっかりした立場でこれまで臨んできたと思います。中国側は「果たしてこれでどれくらいの成果をあげるのか」ということなどについて、内部で色々議論があった形跡があって、それが今回吹っ切れたのだと感じました。すなわち、中国は全体として、このフォーラムを使って、日本と中国の関係を前に進めるということです。やはり我々が試みてきた「政府より一歩」、「半歩」でもいいですけど、とにかく「政府より先に色んなことを考えて、政府が色んなことをする際の参考材料にする」という点について、中国側も明確に「それで行こう」という感じになったのは、少なくとも私が参加した安全保障分科会では強く感じました。

 ですから、「東京-北京フォーラム」は愛氏から15年が経ち、新たな次の、別の次元の「発展」のチャンス、つまり「発展」の場面に直面しているのかなというのが私の感じです。

yamaguchi.png山口:私自身も2人と同じような感じなのですが、肩の力が抜けたというか、自然体でお互い接していこうではないかと、そしてお互いに学べるところがあれば学び取っていこうという風な感じでした。特に、中国側は今回の経済分科会でもそういう感じが非常に強かったと思いますし、それから全体会議での日本側の話も非常に視野が広く、要するに日中という領域を越えて地球規模で物事を考えようという感じがはっきりと出ていました。しかし、それに対する中国側は、どちらかというと視野狭窄な感じがあったのですが、ただ彼らもそこから何かを学ぼうという感じが非常に強くあって、なにか15回目を迎えて一つの大きな転換というか、お互いの立ち位置も意識しながら、お互いの"関係"というのを大事にしていこうという構えが明確になってきたという感じがしました。

工藤:世論調査をこの「東京-北京フォーラム」の前の日に発表したのですが、日本の国民感情が中国ほどに改善していなくて、ギャップが広がっているという状況でした。それで、恐らく来年習近平さんが日本に来られるので、色んな人たちがこの日本の状況を気にされるのかなと思いました。世論調査を発表する時も話したのですが、単なる首脳間が動くから何かが変わるのでなくて、「やっぱり民間も含めて本気で今議論をしなくてはならない」とこの世論調査が示しているのではないかと言ったところ、中国側が非常にそれを同意したわけです。

 つまり、今、こうした議論を始めることが日中関係をもう少し動かすために大事だということで、山口さんの言った「肩の力が抜けた」という表現とまったく同じ感じがして、皆さんが歩み寄って素直に聞けるような状況があるのだと思います。宮本さん、何故こういう素直な感じになったのですか。


日本との対話交流を進めることが、中国政府のコンセンサスとして確立された

宮本:やっぱりこの国は、上というか、指導者というか、政府というか、それらの対応が見極められないと、なかなかみんなが動けないというのがあるのです。非公開な会合ならいざ知らず、これは公開の会合ですから、そうなってくるとどうしてもその大きな枠の中でしか動けないということです。例えば、安全保障分科会では、今年の6月の大阪での安倍・習近平会談で建設的な安全保障関係を構築するということについて日中の両国首脳が合意しました。そうすると、それをどういうふうにしてやろうかということです。それから、王毅さんが「相手の関心・心配をお互いに理解しなくてはならない」という線を打ち出すと、彼らにそういうラインで色んなことをやる安心感があるのです。すなわち、中国側に関していえば、そういう感じで日本との対話交流を進めることは、中国の主導部、政府の中でコンセンサスができのだと思います。対米関係でコンセンサスができたかは分かりませんけど、日本に関してそういう姿勢で当たるというコンセンサスができたような感じがあります。ですから、皆さんがいう「肩の荷が下りた」とか、「一歩進んだ」とかいうのはそういう背景があるのだと思います。

工藤:私も政治分科会でかなり厳しい質問をしているのですが、あまりそれについて対立するというよりもやっぱり議論になるのです。話ができるなと思いましが、知恵を出し合わないといけない競争に入った気がしました。明石さんは政治対話に出られていかがでした。

明石:質問も多くて、若い人たちが熱心に聞いて、また彼ら自身の反応を示すという建設的な態度が至るところに見えたと思います。もちろん、意見の相違や対立点もあるにはあったので、「歴史の問題について日本は熱心に向き合っているか」という問いも依然としてありましたが、全体として「一緒に物を考えよう」「議論しよう」という風な態度が顕著でありました。

宮本:もちろん大きな点について、日本側から中国の軍事力の増大、中国軍の活動範囲の拡大、そういうものに対して我々は圧力を感じていた、日中間の非常に重要な安全保障の課題だという問題提起はするのです。それに対して、例えば中国側の出席者が言ったのは、中国側も大きなバランスと小さなバランスを考えなければいけないと言うのです。大きなバランスとは、基本的に米中なのです。だから今中国は、米中とのバランスを取ろうと思って色々やっているわけです。その米中のバランスをとっている結果として、日中という小さなバランスを失うような状況が出来上がっており、それについても「考えなくてはいけない」と中国側が言う訳です。

 ですから、非常に議論の出発点がまさに建設的な関係を作るということを意識したものになっていて、中国側からもかなり多くの具体的な提案をやった方が良いだろうということが出されました。とりわけ、北朝鮮の問題については、具体的にどうすべきだということも含めて、日中が積極的にやらなくてはいけないということについても色々議論がありました。そういう意味では、次の建設的な両国の安全保障関係と両国首脳が合意した具体的な中身は「こうあるべきだ」というものの議論がスタートしたのだと思います。

 ですから、そういう意味で、本当に一歩進んだという感じがしますね。

工藤:継続的に対話をしているということは大きいですよね。

宮本:間違いないですね。顔ぶれが大体同じですから。特に安全保障分科会は、5、6年同じ顔ぶれでやっていますから、自己紹介もいらないですし、どういう考え方を持っている方も知っていますから。

工藤:確かに今回の参加者は、長く対話に参加している人が多いのですが、参加するチームが中国社会で孤立していると、いうことはないのですか。

宮本:それはないと思います。我々がここで合意してきたことは、しかりとしたチャネルで上に伝わっているということは間違いないと感じました。


日本から学びたいという姿勢と、自国の立ち位置を客観的にみようとする姿勢を中国から感じ取ることができた

山口:今回も活発な議論はあったのですが、大きな変化は日本側がどういう問題意識を持っているのかということについて、積極的にそれを受け止めていこうという感じが中国側に強かったという印象を持ちました。

 もちろんWTO改革の在り方とか、具体論になると、同床異夢のようなところはあったのですが、それでも日本側が一生懸命言うことを一生懸命聞いていました。例えば、国有企業改革、金融開放、資本の自由の在り方についての議論もそうでした。そのあたりは、今までよりは一歩二歩、中国側の姿勢が変わってきたなというところはありました。その上に日本の過去の経験から学びたいというところは結構あって、1980年代後半の日本のバブルの膨張と、その後の日本の苦労、そこをどういう風に見ていったらいいのか。中国にとって参考になるところは何があるのだろうか。それから80年代の日米通商交渉の展開、あの中で日本はどういう対応をしながら、そこからどのようにしてサバイブしていったのか。そこはどういう戦略をとりながら、サバイバルを実現していったのか。そうした点を、ぜひ学びたいというようなところがありました。何か日本側の姿勢を批判する、あるいは日本側の考え方を批判するというよりは、むしろ積極的に日本の意見を聞いていく、日本の過去から学び取る、こういう構えが明確だったということです。

 それからもう一つは、自分たちが第三国から日本を含めて、どう見られているのか。要するに自己主張するということが大事ではなくて、自分たちがどう見られているのかということを十分わかった上で、その対応を考えていく。あるいは自分たちのビヘイビアを考えていくという点について、一歩二歩前進した感じがしました。

 そういう意味では、経済が大きくなり、世界から注目される度合いがどんどん高まる中で、自分の立ち位置をいつも客観的に見ていくということが必要なのだ、というところまでようやくきたなという感じを経済分科会の場で感じました。

工藤:私は休息中に、他の人に聞いたところ、経済分科会のレベルが非常に高くて、非常にいい形で動いているぞという話を聞きました。
確かに、今回山口さんも嶋田・前経済産業事務次官もいるから、学ぶという点では、ベストな日本人の陣容になっているのですが、なぜ中国はそこまで変わったのですかね。

山口:このバックグラウンドには、米中の対立があるのだと思います。要するに、自己主張するだけではダメだと。アメリカが中国をどう見ているのか、あるいは日本が中国をどう見ているのか、ということがきちっと認識できないと、実は対応も決まってこない。当たり前のことなのですが、それがようやく分かってきたというのが大きいのだと思います。

 日本も振り返ってみると、60年代、70年代、80年代と欧米から叩かれている時は、なぜそんなに叩かれるのだと。俺たち別に変なこと考えているわけではないじゃないかということだったのですが、それが意外にそうでもないのだと。僕らは僕らなりの力の増大の中で、我々自身がどう見られているのか、ということをわかっていないと実は対応は決まらない。欧米の理解は得られない、ということを時間の経過とともにだんだん到達していった。今、中国はそれに接近しているのではないでしょうか。

工藤:山口さんにもう一つ聞きたいのですが、いろいろなことを学びたいというところから、今度は協力するというステージまで上げていって、世界のルールとか、いう形で動くという方向の可能性は感じましたか。

山口:それはある種、感じました。自分たちのルールを押し付けて、例えば第三国市場で、自分たちのルールを押し付けてやっていくということは最早ダメだと。

 一帯一路というのは、立ち上がった頃と今とを比べると、ずいぶん変わってきているのは、その辺の中国側の意識の変化というのが現れているように思いました。そういう意味では、進んできているのですよ。

宮本:それは、五百旗頭先生が全体会議の中で言っていましたが、いいアドバイスだったと思います。自分一人でアメリカに立ち向かうのではなくて、自分のポジションに自身があったら、他の国と話をして、例えばヨーロッパにしろ、日本にしろ、東南アジアにしろ、これが我々のあるべき道ではないか、という風に主張することが、実は米中でアメリカに対して一番いい効果的なやり方かもしれないなと。こうしたことを、彼らも理解し始めたのだと思います。すなわち中国の立場なり方針なりを他の国に理解してもらって、その支持を得られない限り、米中で厳しい戦いを迫られているということだと思います。

工藤:去年までの議論では、余り状況が分からない人から見れば、アメリカの後ろに日本がいて、一緒にグルになって中国と向かい合っている、ということを言っている人が安全保障でもいたのですが、そうした感覚ではなくなっているのですか。

宮本:安全保障では、そういうところは残っています。したがって、全体会議で香田さんが言ったように、同盟であって属国ではないのだと。これは一番極端な考え方ですが、そういう風に思っている向きがないわけではない。それは、我々の安全保障分科会でも、特に強く強調して、日本という国は日本の利益のために、いろいろな政策を打ち出してきているわけで、アメリカと協調するというのも、いろいろな検討を経て、それが日本のためになると思っているから、アメリカと協力しているわけです。アメリカに首根っこを押さえられて、それでアメリカにくっついているわけではなないのだ、ということをできるだけ中国に理解してもらいたいと思いますし、そうした理解が広がってきていると思います。

工藤:これを聞いている人は、どのように中国が動いているのだろう、ということを考えながら聞いていると思います。

宮本:それから、一番大きな原因は米中対立ですが、これは中国の人たちの想定を超えて、本当に深刻な、構造的な対立構造に陥ってしまっているわけです。そこからどのようにして抜け出すかということを考えなければならなくて、もう一度謙虚に世界を眺め、世界の人の意見を聞いて、やることを考えようという形に中国がなった。同時に、彼らが国際社会の中で、とりわけ経済を中心にして、今の仕組みから多大な利益を得ていて、それをいかにして守っていくか、という意識も強まってきていますから、そうした流れの安価で、いろいろなものに対する見方とか、対応の仕方が変わってきている。そこで、もう一度目をこすって見直してみると日本の存在が大きいのです。

工藤:皆さんは議論に参加して、米中対立の行方や世界のこれからの未来に対して、どのような方向に向かっていると感じましたか。将来的に見れば、どのような状況になるかわからないにしても、議論してみて、中国の我々に対する議論のやりかたを見て、どのような世界の行方を感じました。


米中の新しい関係の再構築まで、世界は持ちこたえることができるか

明石:太平洋戦争で日本が負け、民主化は始まった。こういう時期から、世界は変わった。アメリカの世界における圧倒的な地位というものも、ハードパワーに加え、ソフトパワーという2面がありました。ハードパワーにおいてもアメリカに陰りが見え始めた。特に、アメリカのソフトパワーにもトランプという人が大統領になったということで、オーソドックスな民主主義国家の在り方、という疑問が見られてきた。かといって、そうした途上国のチャンピオン的な存在として、浮かびあがってきた中国の存在。これはまだ、波郷的なわからない面があるのですが、一面ではハードパワーにおいて、アメリカに匹敵しつつある中国。しかし、ソフトパワーという面では、アメリカという国が持つ強い伝統、人権や法の詩派など、隠然たる力に対する評価はありますが、アメリカの政治的なリーダーシップについては、これでいいのか、というところがあって、我々はついていけないなという見方が出てきている。今までの自由世界における色々な思考がある。

 それから、中国の側は、宮本さんや山口さんが言われたような、自分の大きくなった力、しかしながら圧倒的ではない。アメリカとの関係でも、新しいチャレンジが生まれてくる中で、お互いに自問するところがあるので、そのプロセスにおいて、相手が何を考えているか、何を学べるのかという、中国においては本当に真剣な半世紀、といいますか、立ち止まって考えざるをえないというところが出てきている。ある意味で、良い意味での過渡期に入ってきているのだと思います。そうした中において、日本の持つ責任というものもあるので、日本も中国もお互いに相手に聞いてみたいこと、確かめてみたいこと、学びたいことがそれぞれ出てきた。新しい学習の時期に来ているのだと思います。

宮本:先ほども申しましたように、米中が行動的な極めて強い対立関係に入ったと。しかし、日米にも貿易摩擦があったということですが、今回の米中は軍事安全保障の面があり、ある意味でイデオロギーの対立も入ってきている。そういう意味では、格段に厳しい状況だと思います。ただ、少し希望を抱かせてくれるのは、始まったばかりで我々は当初、アメリカが何を言っているのだと思い、後で振り返ってみれば、山口さんがおっしゃったように、アメリカが言っているということが一面の真理だったようなこともあるなと。中国もこのプロセスを経ると。同時にアメリカもそうなのです。ですから、アメリカが今、中国がこうだと言っていることを全部が正しいとは限らないし、現実から遊離している面もあるわけです。そのプロセスが始まったばかりなのです。

 したがって、米中共に変わる可能性がある。この大きな対立の構造は変わらないけど、しかし、どういう風に相手と付き合っていくのか、ということをいずれ、米中は真剣になって考える。それが新しい時代のアメリカと中国の関係の再構築になる。これはいずれ始まらざるを得ないと思います。ただ、そのきっかけとして中国が、本気でアメリカとの関係が自分たちの想像していたのと違うなということで考え始めた。それはグッドニュースだと思います。アメリカがどれぐらい対応できるのか、という限界はありますが、少なくとも中国ではその動きが出始めているだろうということなのです。長いプロセスの一時期なので、簡単に次の新しいフェーズが来るとは思いませんが、しかし、将来としてそういう可能性を秘めている。しかし、この間のプロセスのマネジメントを失敗すれば、米中が本当に衝突する可能氏がある。経済だけではなく、軍事、安全保障でもその可能性があるということを皆、認識している。ですから、いかにしてプロセスを上手に管理しながら、来るべき米中のさらなる新しい関係の再構築まで、世界は持ちこたえるかということだと思います。

山口:私も基本的には宮本さんがおっしゃるとおりだと思いますが、やはり覇権国たるアメリカの不安と、新興国である中国の強気というものの対立の図式というのは続くのだと思います。したがって、大きな破局になるということは何とか回避してもらわなければいけないし、避けるような努力を双方やるのだと思いますが、経済面だけとっても、厳しい状態が当面続くということを見ておいた方がいいと思います。

工藤:そういう状況の中で、来年は習近平さんが訪日し、このフォーラムは東京で開催されますが、この対話が果たすべき役割、責任とは何でしょうか。


来年の「東京-北京フォーラム」に向けて、今から準備を開始する

山口:経済対話の件に振り返ったように、両国が近づいたということです。お互いがお互いを理解しようというような、非常に柔軟な構えになってきた。ですから、これをどうやって進めていくか。それを進めながら、中国に変わってもらいたいこともあるし、日本もどこか変わらなければいけないこともあるのだと思います。それをどう実現していくのか。
そう意味では、より一歩、二歩と深みに入り込む形での議論を来年以降、もっとやっていくべきだし、そこから得られる成果というのは大きいのではないかと期待しています。

宮本:将来の建設的な安全保障関係ということに向けて、具体的な提案が始まってきました。これは単なる提案だけではなくて、実現可能性が高いものについては、個別に取り上げて、来年の「東京-北京フォーラム」で、具体的な提案ができるというところまで持っていくべき時期に来たのかなと。そうしないと、せっかくここでの大きな方向性が出て、その方向性が来年やるだけということであれば意味がない。せっかく具体的な提案を出すチャンスがあるにも関わらず、それが実現しないまま来年を迎えてしまうのはもったいない。

 やはり、フォローアップのメカニズムというか、さらに専門家の人たちに集まってもらって、具体的な提案を、この安全保障分科会を起点にして、言論NPOが、「東京-北京フォーラム」が、そういう役割を果たしていただければと思います。

明石:3つあると思います。日本がこれまで親しい国であるアメリカについて、基本的な点では変わっていないので、それをどういう風に微調整しながら、アメリカとの立ち位置を再検討する。それから、お隣の中国という新しい大国との付き合い方については、中国側が日本に歩み寄って学ぼうとするということもあるでしょうが、日本は中国に何を期待するか。期待しすぎてもいけないし、期待できるのにしないのもおかしいのですが、これを真剣に考えるということが1つ目です。

 2つ目に、日本が少子高齢化社会になり、人口減少が始まる。また、日本自身の成長力があまりにも近年低かった。これをどのようにして、日本に再び経済的な活力を芽生えさせることができるのか、という日本自身のチャレンジということです。

 そして3つ目に、日本と世界との在り方について、例えば、政治家たちから提起された国連安保理と日本との関係など、そういう考え方について、ずいぶん遅れている。2005年代にインド、ドイツ、ブラジルと組んで、安保理の新しい常任理事国になろうとした。今から見ると、非現実的な日本の一時的な野心だった。国際社会との在り方、建設的な在り方において、日本らしさをこれからも生かしていけるかという世界に対する責任、役割というものを真剣に考えていかなければいけない、大変古い宿題と新しい宿題という2つのものに直面して、大変な時代が始まりつつあるということではないかと思います。

工藤:わかりました。来年の対話に向けて今から準備しなければいけない。そのためにも、日本自身の将来像とか、日本が世界やアジアの中で、どのように生きていくのか、ということを同時に議論して、来年の対話に臨みたいと思います。

 また来年、東京でありますのでよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

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