言論NPOとは

平成25年度 言論NPO事業計画

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 平成25年度は、「3年計画」の2年目となります。この3年計画の目的は「3年以内に中立、独立、非営利のネットワーク型のシンクタンクを完成させる」ことにあります。この目標に向けて、今年度、私たちはまず①会員組織運営の見直し、②資金調達の拡大と多様化、③コンテンツ発信強化、さらには④事務局組織体制の整備、に取組みます。

Ⅰ.会員組織運営

1.新規入会者が次の入会者に繋がる「好循環」を作る

 私たちが、まず取りかかるべき課題は会員運営の「好循環」を作り出すことです。私たちが昨年度、外部のボランティア・コンサルタントと共同で、言論NPOの「メイト」登録者など約3000名を対象に行った調査では、回答者の6割が会員としての活動に興味を持っており、また活動やイベントに参加することへの期待が高いという結果が示されました。
 言論NPOの活動に関心があるにもかかわらず、会員の増加は昨年度も目標未達となりました。ここの問題を解消し、会員数を拡大し、運動全体の活性化と3年計画の達成を図るために、まず私たちはこれまで会員の皆様に提供してきた活動メニューをさらに充実させ、会員組織としての魅力を高める必要があると判断しました。
 私たちが目指す会員組織とは、言論NPOのミッションに賛同し入会した会員が、「言論NPOの会員であることを常に意識」し、「言論NPOの会員であることを誇りに思える」組織です。
 そのためには①「入会したら何ができるのか」を明確にし→②入会して実際に体験することで満足感や充実感を実感し→③知人・友人に言論NPOを紹介する、という「好循環」を実現する必要があります。


2.コア会員層の形成

 新規会員の拡大と合わせて、言論NPOの活動の核となる「コア会員層」を確実に形成することが必須です。コア会員層とは、言論NPOの活動に主体的にかかわり、フォーラム運営やコンテンツ発信などにも積極的にかかわる意志を持つ会員層を指します。このようなコア会員を作る仕組みとして、会員向けフォーラムの定期化と同時に、5年以上の継続会員などを中心とした新しい会員制度を検討します。また、7月中を目途に実施する言論NPOウェブサイトの刷新に合わせて、新たなID・パスワードを用いた会員認証システムを導入します。これによって、会員限定コンテンツの充実化を図ることが可能となり、例えば会員向けフォーラムの音声・ビデオを会員限定でウェブサイトから配信することが可能となります。また将来的には言論NPOのウェブサイトで会員が発言できる仕組みの導入も検討します。

<言論NPOの会員別提供メニュー:現行>

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<言論NPOの会員別提供メニュー:新規追加分>
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3.会員向けフォーラムの刷新

 従来の会員フォーラムの見直しを実施し、これまでの「次の日本を考える会」(仮称)を継続実施する一方で、「メンバーフォーラム」を「新政策研究会」(仮称)に、「会員交流会」を「モーニング・フォーラム」(仮称)にそれぞれ変更し、後者には会員特別価格を設定します。そして、これまでの反省を踏まえて定期的・継続的な実施体制を確立します。
 さらに、言論NPOのフォーラムを広く知る機会として、主に非会員を対象とした「オープンフォーラム」を定期開催することも検討します。フォーラムそれぞれの特徴は下記のとおりです。

<3つの会員向けフォーラムとオープンフォーラム>
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4.顧客基盤の確立-会員1500人体制を目指して

 7月中を目途に実施するウェブサイトの刷新により、言論NPOウェブサイトは限りなくニュース・サイトに近いかたちへと変貌し、英語での発信も強化します。こうした言論NPOの発信戦略と顧客基盤の拡大戦略を連動して一般会員の底上げをまず図ります。
これに対して、中核的な個人会員であるメンバー(基幹会員)は、既存のメンバーの紹介などを軸として、継続的に拡大を目指します。こうした拡大をキャンペーンとして行うことが、今年度の会員増加策となります。
 下の表のとおり、昨年度、言論NPOのウェブサイトには年間約13万人が訪問しています。しかし、この訪問者に対して積極的な発信ができない状態が続いたため、一人あたりのページビュー(PV)は最小限にとどまり、データベース(DB)登録数やメイト登録数、入会者数はきわめて限られています。
 私たちは今回のサイト刷新にあわせて、発信の頻度を上げ、より多くの情報をタイムリーに発信するなどの基本的な施策を着実に実施することで、訪問者数を約3倍に引き上げる計画を立案しています。コンテンツが定期的・継続的に配信されることで、訪問者一人あたりのPVは確実に増加することが見込まれます。この訪問者を私たちの顧客層として大切にし、これをDB登録→メイト登録→会員へと結びつける営業活動を展開します。その結果、下図のとおり、今年度中にメンバー/一般会員合わせて1500人を実現することを目指します。
 この数字は、私たちが「3年計画」の最終年度(平成26年度)の目標として掲げたものに合致するものであり(メンバー300人/一般会員1200人)、これにまず今年度中に挑戦することを意味しています。一見、大変野心的に見える目標ですが、前述のとおり会員組織に「好循環」を生み出し、同時にコンテンツ発信の頻度を拡大することで十分に可能性があるもの、と私たちは考えています。

<ウェブサイトへのアクセスと会員化の実績と目標(年間)>
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Ⅱ.資金基盤の拡大

 私たちは拡大する活動を確実に実施するための体制作りを目指し、「3年計画」の最終年の資金調達目標額を、2年目の本年度の目標に位置付けて挑戦することにします。
 その背景には、言論NPOが本年度も事業の柱の一つと位置付ける「強いパブリック・ディプロマシー」(Ⅴで詳述)に対して、外務省から補助金を得ることができたことがあります。
 今回の補助金交付に際して私たちは、外務省へのヒアリングなどを通じて、企画・実施の両面で独立性が担保されることを確認の上、独自企画を申請し、2年を上限とした交付が既に内定しています。しかし、政府資金に一定の資金を依存することは、言論NPOが本来望むものではなく、資金調達において特定のソースに過度に依存しない体制を堅持するためにも、また補助金が終了した後に同じ規模の事業を展開するためにも、十分な資金基盤を本年度から構築する必要があります。
 特に、個人寄付・法人寄付の拡大を図ることが急務となります。
 そのため、25年度は、個人会員はメンバー(基幹会員)を200人(24年度末92人)、一般会員400人(同118人)を確実な目標として達成するほか、さらなる上積みを目指して最終目標の1500人からなる個人会員組織(メンバー300人/一般会員1200人)の実現に向けて取組みます。
 これとは別に、法人寄付や法人会員を約90社(平成24年度は57社)まで増やすとともに、大口の寄付者の開拓に努めます。
 このなかでは特別目的寄付として、これまでの日中対話に加え、日韓対話、エクセレントNPO向け寄付を確保するほか、今後は海外を含めた助成団体からの資金比率を高める取組みを並行して進めます。


Ⅲ.発信力と言論NPOのブランディング強化

1.工藤ブログと言論スタジオを軸としたコンテンツ展開

 私たちが、3年以内にネットワーク型のシンクタンクを完成させるうえで、オリジナルコンテンツは不可欠の要素です。そして、言論NPOのオリジナルコンテンツは、これまで同様に「工藤ブログ」と「言論スタジオ」が二枚看板となります。そのうえで、今後の活動を通じて新たなコンテンツ・チャネルを追加することも検討しています。
 昨年度の「工藤ブログ」は、言論NPOの活動が重要な局面に差し掛かった時を中心に発信されており、定期性・継続性の観点から改善の余地がありました。今年度はウェブサイトの刷新とあわせて、毎週更新する計画を策定しています。
 また、「言論スタジオ」については、今後のコンテンツ発信の「ペースメーカー」と位置づけ、いま日本や世界が直面する課題をとりあげ毎週確実に実施することで、コンテンツ発信全体のペースや内容、さらには会員向けフォーラムの内容などに言論スタジオの議論を反映していきます。また、会員に提供するメニューの一つとして、毎回限定5~10名が、言論スタジオにおいて生の議論を傍聴し、ゲストコメンテーターと交流を図る場とします。
 言論NPOが目指すミッションを実現するためには、言論NPOと、その代表者であり、コンテンツ作成・発信の中心にある工藤泰志の認知度を一層高めていく必要があります。そのため、テレビなどのメディアへの露出や、書籍化の動きを進めます。

<オリジナルコンテンツの配信概要>
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2.会員やメイトへのメール/レター配信

 「言論NPOのメールが昔ほど届かなくなった」、との声が会員の方から寄せられています。言論NPOのブランディングは、常にコンテンツ作成・発信と連動するものであり、言論NPOのミッションと活動を会員・メイト・DB登録者、そして一般市民に絶え間なく届ける努力が不可欠です。私たちは、このような指摘を重く受けとめ、メール配信などの情報発信を根底から立て直し、下図の発信メニューを策定し、定期的で継続的な発信を目指します。
 特に新たな計画としては、メディア向けと海外向けに言論NPOの活動を定期的に配信する取り組みを始めます。

<会員・メイト・DB登録者への配信概要>
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Ⅳ. 組織体制の整備

1.部門制の確立とスタッフの拡充

 2013年6月現在、言論NPOは代表を含めた専従職員8名に、非常勤スタッフ(アルバイト)1名の9名で運営していますが、これまで述べてきた事業を確実に実施するには到底十分とは言えず、スタッフの拡充は焦眉の急となっています。
 私たちはまず、これまでやや曖昧であった部門制を確立し、それぞれの業務を整理し、今年度からの事業計画を進めるにあたって、いったい何人のスタッフが新規に必要かを割り出し、採用に着手しています。
 具体的には、①コンテンツ(+発信)部門、②国際部門、③会員組織運営部門、の三部門を確立し、くわえて①②と密接に連携する広報担当者を置くこととしました。個別の増員計画は次のとおりです。

◆ コンテンツ(+発信)部門: 3名
◆ 国際部門:3名
◆ 会員運営部門:1名
◆ 広報担当者:1名
◆ 合計:8名増員(既存と合わせて17名体制)

2.アドバイザリーボードの拡大とコンテンツ・ネットワークの深化

 私たちは、昨年度、組織基盤の立て直しのために、アドバイザリーボード会議を定例化し、卓越した見識を有するボード・メンバーの助言をより早く、かつ大きく運営に取り入れる体制を整備しました。あわせて、理事会の承認を得てボード・メンバーの拡大に着手し、今年度から12名体制へと移行しました(昨年度は9名)。今年度も、順次新たなボード・メンバーを迎えることで、可能な限り早期に20名体制を実現するよう引き続き取り組みます。
 私たちがアドバイザリーボード・メンバーの拡充に取り組む理由は、ボード・メンバーをリーダー格とし、そこにコンテンツ協力者など言論NPOのネットワークに加わる500名を超える有識者が参画する、「有識者ネットワーク」の拡大と深化を目指しているからです。このネットワークを完成させ、機能させることは、3年以内にネットワーク型シンクタンクの完成を目指す私たちにとって、不可欠の要素です。
 そのため、今年度は、アドバイザリーボード・メンバーが言論NPOの枠組みの中で発言・登場する機会を増やし、言論NPOの顔として活動していただくさまざまな企画を実施します。特に、後段で詳しく述べるとおり、私たちの活動の柱となる「強いパブリック・ディプロマシー」においては、外交・安全保障・国際経済などの分野で高い実績を有するボード・メンバーを中心とした「外交政策評議会(Foreign Policy Council, FPC)」(仮称)を設置し、私たちが取り組むパブリック・ディプロマシーにおいて中核的役割を担っていただきます。
 また、コンテンツ・ネットワークに参加する有識者には、今年から「客員研究員」制度を導入すると同時に、言論NPOのコンテンツに協力して頂いている有識者を対象に、年1回の「感謝の集い」を開催します。


Ⅴ.言論NPOが取り組む二つの柱 -「強い民主主義」と「言論外交」

 私たちの基本的な活動軸は、一貫して「4つの言論」、つまり「政治に向かい合う」「次の日本をつくる」「世界とつながる」「市民を強くする」ための言論領域において、ミッションを実現するため、活動の質の向上と規模の拡大を目指します。
 この「4つの言論」における取組みは、活動の性質から「強い民主主義を目指す議論」と「言論外交」の2つにまとめることができます。私たちは、「3年以内に中立、独立、非営利のネットワーク型のシンクタンクを完成させる」ために、これを「2つの柱」として今年度から重点的に取り組んでいきます。

<「強い民主主義」と「言論外交」>
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1.強い民主主義を目指す議論の活性化

 現在の日本では、ポピュリズムや偏狭なナショナリズムの雰囲気が強まっており、勇ましい言説が力を持つような危うい状況にあります。私たちは、こうした風潮に流されず、この国が直面する課題解決に向けた、冷静で適切な議論を継続的に発信することが不可欠です。
 言論NPOは、メディアの論調を吟味しながら適切に問題を提起する、「新たな論壇(プラットフォーム)」を日本につくり、有権者自ら日本の将来を考え選択する「強い民主主義」をめざします。この目標のもと、私たちは、有権者と政治との間に緊張感ある関係を実現し、健全な輿論づくりを促し、日本が直面する課題解決に向けて、これまで取り組んできた活動をより強化するとともに、強い市民社会・強い民主主義の実現に資する様々な提案を行っていきます。
 今年度の具体的な取り組みとしては、7月後半に予定されている第23回参議院議員通常選挙に合わせて、これまで同様に、「政権実績評価」「各党マニフェスト評価」「立候補者アンケート」の3つを実施します。このプロセスでは、言論NPOに参加する、専門機関、メディア、大学・研究機関などの専門家が、徹底した議論を行い、各メディアの協力のもと、評価結果をインターネットや新聞紙上で広く公開します。
 さらに、言論NPOが世界に先駆けて開発した独自の評価基準に基づく、「エクセレントNPO」事業を継続的に実施します。10月には第2回となる「エクセレントNPO大賞」の表彰を行い、強い市民社会を作る活動をさらに強化していきます。


1.強い民主主義を目指す議論の活性化

 「強いパブリック・ディプロマシー」とは、政府が行う対外文化外交を意味する「パブリック・ディプロマシー」とは異なり、民間が主体で実践する、日本の発信力を強化し国際合意形成をめざす「攻めの海外発信と対話」を意味しています。
 現在、東アジアにおいて、地域のガバナンスが非常に不安定化しており、また各国で排他的なナショナリズムが高まっています。そうしたなか、もはや、政府間協議だけでは、二国間や域内の課題を解決することが困難な状況が生まれています。
 このような判断のもと、現在の局面では、課題に関係する幅広い当事者(マルチ・ステークホルダー)が問題解決のために協議を開始し、対話の中身が可能な限り両国民に公開され、国民の健全な意見(輿論)に支えられる動きが必要だ、と私たちは考えています。私たちはこれを「強いパブリック・ディプロマシー」、いわゆる「言論外交」と表現することにします。
 言論NPOは、過去8年にわたり、中国との民間対話である「東京-北京フォーラム」を開催してきました。9回目を数える今年度のフォーラムは、日中平和友好条約締結から35周年の記念日となる8月12日を中心に前後3日間の予定で北京において開催します。今回のフォーラムでは、第8回フォーラムにおいて双方が合意した「東京コンセンサス」を土台として、特に日中関係の基盤となる安全保障面で明確なメッセージを発信することを目指しています。
 こうした日中の民間対話の取組みは、言論NPOと同じく「中立、独立、非営利」で活動する世界のシンクタンクから注目を集めており、外交問題評議会(CFR)が主宰するCoC(カウンシル・オブ・カウンシルズ)の創設メンバーとして、私たちが日本を代表して選ばれた大きな要素となりました。そして、このCoCを通じて交流をもった韓国のシンクタンク・東アジア研究院(EAI)からの打診を受け、私たちは平成25年5月11日に東京において「第1回日韓未来対話」を開催し、ここに200名を超える市民・有識者が参加しました。この対話は、私たちが日中間で継続的に実施してきた世論調査とフォーラムを連動させるスタイルをそのまま適用して開催したもので、「第1回日韓共同世論調査」の記者会見には内外から50名以上のメディア関係者が参加し、同日のNHKおよび韓国KBSが大々的に報じるなど、大きな注目を集めました。
 言論NPOは、こうした中国、韓国との民間対話の実績をもとに、昨年から設立メンバーとして加わったCoCの23カ国・24シンクタンクのネットワークをフルに活用しながら、世界やアジアの課題解決に積極的に関わり、日本の政策的な主張や考えを他国の世論や世界に幅広く訴え、同時に国際的な合意の形成を目指します。
 私たちは、この構想にもとづき、今後2年以内に言論NPOがこれまで培ってきた東アジアでの世論調査と連動した民間対話をさらに発展させると同時に、グローバルな問題や地域の政策課題についての日本での議論や主張を広く世界に発信し、日本が課題解決に寄与する環境を作っていきます。

<言論NPOが推進する「強いパブリック・ディプロマシー、言論外交」の概念図>
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