言論NPOとは

言論NPO「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果に対する意見

言論監事 加藤 隆俊
長 有紀枝


1.言論NPO「非政治性・非宗教性評価」結果について

 言論NPOにとって中立性及び非政治性・非宗教性は決定的に重要である。そうした理解に基づいて、平成30(2018)年度、言論NPOの「非政治性・非宗教性」に係る自己評価結果に関して、言論監事の意見を次のとおり報告する。

 言論NPOは、別紙4に記載された規定の評価方法に基づいて自己評価を実施しており、言論監事として、その手法・プロセスに問題がないことを確認した。

 また、評価結果に関して、「非宗教性」については、言論NPOの活動の7分野を12の評価項目で評価した結果、全ての項目で「非宗教性」を完全に満たしていると判定した。「非政治性」については、言論NPOの7分野の活動を19の評価項目で評価したものの、5分野12項目についてはネガティブチェックリストで判断がつかないため、コンテンツ判定基準方式による評価を行った。その結果、全ての項目において「非政治性」基準を完全に満たしていると判定した。

 以上から言論監事として、手法・プロセスに加えて結果についても問題がないことを確認した。


2.今後の課題

 言論NPOが中立の立場から活動していくためには、資金源の多様化を進め、企業からの寄付、行政や助成財団からの資金の他、会員と個人寄附を拡大していく必要がある。

 この点に関し、平成30年度は、「ふるさと納税」を利用した寄附を実施し、昨年度以上の成果を集める努力を行っていること、また、こうした一般の寄附を継続的に集めていく姿勢を打ち出したことは、組織をより開かれたものに育てるきっかけになるという点で評価できるものである。しかし、まだまだ資金源の多様化への努力が組織として根付くには至っておらず、今後、さらなる取り組みが求められる。

 今年度、言論NPOはペンシルバニア大学のシンクタンクランキングで、アジアで52位に入り、創立18年目で初めてシンクタンクとして世界で認知されるに至ったことは、言論NPOの歴史においても非常に大きな出来事である。また、言論NPOは世界を代表するシンクタンクと幅広い連携を行っている。今後、言論NPOがアジアのみならず、世界でもより影響力を持つシンクタンクとして成長していくためには、こうした活動が、より多くの日本国民や市民に理解され、支えられるための基盤を確立させなくてはならない。と同時に、海外からの識者の招聘や海外オピニオンリーダー機関との協力・活動などを通じ、世界の多くの有識者と連携し、その声を世界に幅広く提供していくべきだと考える。

 そのためには、既に国内で実施している有識者アンケートを国内だけではなく、国外の有識者に対しても各国のシンクタンクを通じて実施する仕組みをつくりあげることができれば、世界でも類を見ないシンクタンクに成長できるのではないかと考える。こうした取り組みは、これまでも行ってきてはいるが、さらに基盤を充実させ、より多くの人たちの声を集めることに一層注力するべきと考える。

 既に言論NPOは、世界25カ国からなる世界シンクタンク会議(カウンシル・オブ・カウンシルズ)へ参加した2012年以来、世界のトップシンクタンクとの連携が進み、シンクタンクランキングにランキングされるまで至っているが、他方で財政基盤やスタッフの増員も含めた組織基盤の強化には至っていないのが現状である。今後は、各国シンクタンクの組織基盤や資金基盤の現状や取り組みなどから学び、言論NPOとして活用できる点を汲み取るように努める必要がある。

 さらに、助成金に関しては海外の助成財団への申請を行うなどの取り組みを一層進め、資金基盤の多様化を図っていく必要があると考える。そのためには、寄附や会員を募る際のメッセージやそれを発するタイミング、会員サービスの整備など、更なる工夫の余地がある。加えて、モーニングフォーラムの定期的な開催など、より多くの会員が参加しやすい仕組みを早急につくり上げる必要がある。

 言論NPOは設立以来、民主主義の強化をミッションとして掲げている。民主主義が世界中で危機に直面している今だからこそ、こうした努力を通して、名実ともに、設立時のミッションの実現に向けて、幅広い市民や有権者の支持を集める、日本を代表するシンクタンクへの成長を期待している。