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会員交流会「リベラルデモクラシーの未来と日本の役割」

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 2月3日、言論NPOが入居するHSB鐡砲洲ビルにおいて、2017年の第1回会員交流会「リベラルデモクラシーの未来と日本の役割」が行われました。


今回の訪米の目的とは

IMG_1523.jpg 交流会の前半では、言論NPO代表の工藤泰志が今年1月上旬に行った訪米に関する報告が行われました。その中で工藤は、「リベラルデモクラシーという価値が大きなチャレンジを受けている状況下で言論NPOに何ができるのか」とした上で、今回の訪米の目的を、既存の価値や規範をベースとした議論を世界レベルで展開していくための準備だと説明しました。


アメリカの有識者はトランプ政権の行方をどうみているのか

 そして工藤は、ワシントンやニューヨークにおける約50名にも上る有識者との対話を振り返りつつ、多くの専門家やメディアが、既存の枠組みにとらわれないトランプ流のやり方に戸惑っていた様子を紹介。特に、いわゆる「フェイクニュース」への対応に苦慮しているメディアはその真価が問われる局面に入っていると指摘しました。

 同時に、多くの人が既存のリレーションで成り立っていた国際関係の「ゲームが変わってしまう」ことに懸念を示していたと語るとともに、「(変化の衝撃に耐えるために)シートベルトを締めておくべき」という日本に対する忠告を紹介しました。

 続いて工藤は、トランプ政権に対するアメリカ国内の見方を解説。まず、経済政策面では、NY株が一時、アメリカでも初めてとなる2万ドルを突破するなど「トランプ相場」が注目されているにもかかわらず、中長期だけではなく短期的にも厳しい見通しが多かったことを紹介。

 さらに、全体的な政権運営の見通しに関しても、支持率が就任直後にも関わらず既に4割台に入っていることに加え、例えば、TPPに関してトランプ大統領と異なる見方をしている閣僚がいるなど、新政権自体も一枚岩ではないことから、「早期退任するのではないか」という希望的観測も多く聞かれたと振り返りました。

 一方で、「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる米中西部・北東部地域に暮らす低中所得層など「取り残された人々」の中には、トランプ大統領への強固な支持者が存在しており、そうした人々をカバーしてこなかった有識者たちの自己反省も数多く耳にしたと述べました。


トランプ政権の外交政策の展開

IMG_1505.jpg 次に工藤は、トランプ政権の外交政策に関する議論を振り返りました。まず、対日外交における安全保障面に関しては、北朝鮮が暴発した際にトランプ大統領がどのような対応を取るのか不明な点があるものの、今回議論した人々も、そして政権内部も総じて日米同盟の重要性を認識しているため、大きな変化はないのではないか、と述べました。

 一方、通商面では、トランプ大統領がいまだに1980年代の日米貿易摩擦の頃の記憶に囚われているが、「(80年代とは状況が異なることを)周囲が説明しても理解しない」ため、今後難しい局面もあるのではないか、と語りました。

 現在、アメリカ国内の議論の大半を占めている対ロシア外交に関しては、トランプ大統領がロシアとの関係改善に力を入れているのは、ロシア情報当局に「不名誉な個人情報」を握られているからでも、中国を牽制するためでもなく、「白人、そしてキリスト教徒が連携して、異なる文明・宗教(特にイスラム教)との対立に臨むべき」というアメリカ国内で出始めた論調が背景にあるのではないか、と語るとともに、こうした見解に対しては懸念を示しました。

 対中外交に関しては、関税をめぐる争いは起こるとの認識では一致していたものの、全体的にはアメリカ国内でも意見が分かれていたと紹介。同時に、これまで中国との民間外交で大きな成果を挙げてきた言論NPOに仲介を期待する声が多かったと語りました。

 最後に工藤は、国際社会の既存のルールが破られそうになっている今、それを守るために日本、そして言論NPOに寄せられる期待が多かったと手応えを口にし、大きな変化の中、「責任ある自由」と「民主主義」の価値を守っていくための今後のチャレンジに向けた決意を述べて、報告を締めくくりました。


アメリカに関する3つの主要な言説に対する反論

IMG_1520.jpg 続いて、コメンテーターとして招かれた言論NPOのアドバイザリーボードでもある藤崎一郎氏(前駐米大使、上智大学特別招聘教授)は、「アメリカに関する3つの主要な言説に対する反論」についてコメントしました。

 まず、第1の「アメリカが内向きになった」という言説に対しては、大統領選においてヒラリー・クリントン候補が得票数では大差で勝っていたことや、同時に行われた下院選挙では9割が再選したことなどから、アメリカの大勢は変わっているわけではないと語りました。

 次に、第2の「不確実で先の見通せない時代に入った」という言説に対しては、大統領令を連発し、公約を即時に実行しているトランプ大統領の行動は「むしろこれ以上になく分かりやすい」と指摘。また、対ロ外交や、対中外交に関しては、制約が多いためこれまでの路線をそれほど大きく変えられないとの見通しを語りました。ただ、台湾、パレスチナ、イランに対する方針に関しては、公約通りなら大きな転換となるため、若干の危うさもあると指摘しました。

 最後に、「アメリカが変容することにより、これから世界はこれまで経験したことのない時代に突入する」という第3の言説に対しては、近年ではイラク戦争、古くは日系人収容など、これまでアメリカは一時的には過ちを犯しても、後には必ず省みて修正してきたと解説し、トランプ政権下で何か道を誤ることがあっても、いずれ必ず軌道修正すると期待を述べました。


様々なチャネルを構築すべき

IMG_1515.jpg さらに藤崎氏は、今後の日本の課題として、様々な想定外の事態に柔軟に対処できるように「頭の体操をしておくこと」や、今後予想される通商摩擦では、例えば港区の自動車の5割近くがドイツなどの外国車であることなど、こうした事実を丁寧に説明することで誤解を解いていくこと、無理難題は毅然として拒みながら、できる範囲の協力は進め、Win-Winの関係構築を進めることなどを挙げました。

 そして、そのために日本外交に求められる姿勢としては、安倍・トランプという個人的なラインだけではリスクがあるので、閣僚レベルから民間レベルに至るまで様々なチャネルをつくることや、これまでのように「保守本流」だけと付き合うのではなく、様々な人脈を構築することを挙げました。

 その後、会場からの活発な質疑応答を経て、訪米報告は終了しました。

IMG_1543.jpg 交流会の後半では、懇親会が行われ、和やかの雰囲気の中で今後の言論NPOの活動の展開について議論が交わされ、盛況のうちに今年最初の会員交流会は終了しました。

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