「第2回エクセレントNPO大賞」発表

2013年12月06日

第2回エクセレントNPO大賞 12月6日、毎日新聞社「毎日ホール」において第2回「エクセレントNPO大賞」の表彰式が行われ、約200人の方々が参加しました。


 2回目となる今回は、昨年と比較して3割増になる173団体から応募があり、予備審査・本審査など全6工程にわたる審査を経て、栄えある2013年のエクセレントNPO大賞は、「難民支援協会」に決定しました。(昨年は大賞の受賞団体はなし)

131206_02.jpg その他、市民賞では「プール・ボランティア」、課題解決力賞では「多文化共生センター東京」、組織力賞では「かものはしプロジェクト」及び「難民支援協会」の各団体が選ばれました。

 各賞のノミネート団体は以下の通りです。


(1)エクセレントNPO大賞

(2)市民賞

(3)課題解決力賞

(4)組織力賞


工藤泰志 表彰式ではまず、「『エクセレントNPO』をめざそう市民会議」の事務局長である工藤(言論NPO代表)が主催者を代表して挨拶を行いました。その中で工藤は、「このエクセレントNPO賞が社会に定着することで非営利セクターの間で課題解決に向けた競争が始まる」と述べ、「こうした非営利組織の取り組みが広く社会に知られるようになれば、多くの人材や資源がそこに向かって動く良循環が始まる。その結果、非営利組織が基盤となって日本の市民社会が強くなる」との期待を語り、このエクセレントNPO大賞の果たす役割について語りました。

小松浩・毎日新聞社論説委員長 続いて、共催社の毎日新聞社から小松浩・毎日新聞社論説委員長が挨拶を行いました。奇しくも今日の参院本会議で可決・成立が予定されている特定秘密保護法案に言及しながら、「情報が一元的に集中するなど、行政の力がますます増大する中、民主主義をしっかりとしたものにするためには、それを支える市民社会が強くならなければならない」とした上で、「市民社会の重要な担い手である非営利組織の成長の契機となるこのエクセレントNPO大賞の意義は大きい」と述べ、本賞に対する期待を語りました。

 その後、審査委員紹介と審査方針についての説明を経て、各賞の表彰に入りました。

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山岡義典氏 まず、市民賞は、この部門の主査を務めた山岡義典審査委員より講評がなされました。その中で、山岡氏は評価の視点として、「各団体の活動自体が多くの市民に開かれ、支えられているか、活動に参加することが参加者にとって意味のあるものか」と同時に、「Web上で財務状況などの情報公開時に積極的に取り組んでいるか」を挙げました。そして、このWeb上での情報開示についてはノミネート団体も含めた応募団体の多くが不十分であったことが指摘されました。

 その中でも、障害者や高齢者のプールでの運動をサポートする活動に携わる「プール・ボランティア」は、Webによる広報や財務情報の表示も工夫されており、この点で高く評価した旨を指摘しました。また、1200人もの市民がボランティアとして参加しており、参加者の成長を促す研修の仕組みも行き届いているなど、まさに市民賞にふさわしい団体の受賞となりました。

織田智子氏 「プール・ボランティア」の織田智子事務局長は、受賞者スピーチで、「高校生や高齢者もボランティアとして参加しているため、会計の分かりやすさには力を注いできた点を評価されてうれしい。まだまだ私たちを必要としている方は多く、今後も『泳ぐ社会貢献』に尽力していきたい」と喜びを語りました。

⇒市民賞の講評全文はこちら


田中弥生氏 課題解決力賞は、主査を務めた田中弥生審査委員は講評で、高い評価を得た団体の特徴として、「自らが取り組む課題を明確に把握していることは無論のこと、課題の認識を進化させ、それに伴い活動や事業を進化させ、一定の成果を上げている」ことをあげました。一方で、目標の設定と事業や計画の立案を体系的にできていない応募団体が少なくなかったことを課題として指摘しました。

 15歳を過ぎた外国籍の子供たちの教育の問題、不登校、ドロップアウトなどの問題に取り組んでいる「多文化共生センター東京」は、子供たちの学就状況や生活状況について実態調査を行い、彼らの問題を体系的に捉えようとしながら地道な教育支援活動を展開してきたことが高く評価され、課題解決力賞の受賞に至りました。

王慧槿氏 「多文化共生センター東京」の王慧槿氏は、受賞者スピーチで「今回の受賞によって、日本にも言葉が分からず学校に行けない子供たちがいる、という現実を一人でも多くの人々に知ってもらえたら」と期待を述べると同時に、「受賞を励みとしてこれからも行政への働きかけや政策提言を行っていきたい」と抱負を語りました。

⇒課題解決力賞の講評全文はこちら


武田晴人審査委員 組織力賞は、主査の武田晴人審査委員が講評で審査の視点について、「組織の使命や目的を示す文書によって組織の課題が明確になっているか、それらの方針や、その方針に基づく事業の成果がホームページなどで公開されているのかなど情報開示、資金調達の多様性や透明性などの点を中心に、審査を行った」と説明しました。
 さらに、「どうしても大規模な事業を展開している組織や、それなりの年輪を重ねた組織の方が、組織として優れているように見えてしまうというバイアスがある」と評価する側の課題を指摘し、今後改善していく意向を示しました。

 途上国等で強制的に子どもが売られてしまう問題を防止する活動に取り組んでいる「かものはしプロジェクト」は、資金調達のための事業活動を展開する一方で会費、寄付金の比率も高く収入基盤が安定していて、組織の持続性がある点が高く評価されました。また、日本に逃れてきた難民が自立した生活を安心して送れるように支援している「難民支援協会」は、組織基盤をしっかりと固めるだけでなく、組織の規律や資金調達のための規律について明確な方針を持っている点が優れていました。この2つの団体は、いずれも日本のNPOの模範となり得るものであり、甲乙つけがたかったため、組織力賞は同時受賞となりました。

村田早耶香氏 受賞者スピーチで、「かものはしプロジェクト」の村田早耶香理事長は、「11年前にたった3人の大学生が始めた活動が、現在は3000人の個人会員に支えられるようになった」と述べ、これまでの地道な活動が今回の栄えある受賞につながったことへの喜びを語りました。


石川えり氏 「難民支援協会」の石川えり事務局長は、「たとえボランティアでも責任を持って支援に取り組んでいくことを意識してきた。これからも、組織力賞受賞団体の栄誉に恥じないように、目の前にいる一人でも多くの難民を支援するべく組織の改善を図っていきたい」と今後の抱負を述べました。

⇒組織力賞の講評全文はこちら


 最後に、市民性、課題解決力、組織力の3部門において総合的に優れた団体を表彰する「エクセレントNPO大賞」には「難民支援協会」が決定しました。
 講評で審査委員の武田氏は、「『難民支援協会』は、組織力に秀でているだけではなく、日本に逃れてきた難民の支援という比較的注目されにくい社会的な課題の解決に地道に取り組んでおり、寄付やボランティアを通した市民参加の機会を作ることにおいても積極的で堅実な実績を積んでいる。そうした点で総合的に見て大賞に相応しいと判断した」と授賞理由について説明しました。

 その一方で、「大賞は、どのような意味でも『ゴール』ではない。この受賞を活動の何らかのプラスにすると同時に、『あとちょっと、もう少し』自己革新に取り組んで頂くことを期待している」と述べました。

 改めて受賞者スピーチに立った「難民支援協会」の石川事務局長は、武田審査委員長の言葉を受けて、「日本社会で『周辺化』されている外国籍の方々の状況は悪化しているため、やるべきことはまだまだ多い。この受賞をゴールと考えず、これからも組織や活動の改善をしていきたい」と力強く決意を述べました。

⇒「エクセレントNPO大賞」審査講評全文はこちら


小倉和夫審査委員長 表彰終了後、小倉和夫審査委員長は総評で、「『エクセレントNPO大賞』は、『エクセレントなNPO』を表彰するものではなく、『エクセレントなNPOになるために頑張っているNPO』を表彰するものである」と述べ、応募の際の自己評価を通じて自らの組織を見直すことで成長し、また一歩「エクセレントNPO」に近づいたすべての応募団体に対して「おめでとう」と祝福し、挨拶を締めくくりました。


 最後に閉会挨拶に立った工藤は、非営利セクターを取り巻く状況が厳しいにもかかわらず、「日本の市民社会に、これほどたくさんの課題解決に挑もうとしている人々がいることに熱い気持ちになった」と率直な感想を述べました。さらに、「この流れをさらに加速させ、社会全体に広げていくためにも、来年、必ず第3回『エクセレントNPO大賞』を開催する」と力強く宣言。会場から大きな拍手が巻き起こったところで、第2回「エクセレントNPO大賞」の表彰式は終了しました。


今回の審査方法、講評の詳細については下記で公開しておりますので、ぜひご覧ください。