「アメリカ大統領選挙の行方と民主主義の現状」 に関する有識者調査

2019年9月09日

【トランプ氏は再選されるか】

 まず、2020年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ現大統領が再選されると思うかを聞いたところ、「そう思う」が41.1%となり、「そう思わない」の20.6%を上回っている。ただ、「現時点では判断できない」が35.5%ある。

あなたは、2020年のアメリカ大統領選挙において、ドナルド・トランプ現大統領が再選されると思いますか。(単数回答)

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【トランプ氏の再選を望むか】

 次に、トランプ氏の再選を望むかを尋ねたところ、「望まない(「全く」と「どちらかといえば」の合計)」が74.5%と7割を超えている。「望んでいる(「強く」と「どちらかといえば」の合計)」は22%だった。

あなたは、2020年のアメリカ大統領選挙において、ドナルド・トランプ現大統領が再選されることを望みますか。(単数回答)

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【民主党候補者に誰を望むか】

 続いて、米大統領選で民主党からの指名を目指している候補者のうち、誰の指名獲得を望むかについても質問した。

 その結果、前副大統領の「ジョー・バイデン」を選択した有識者が25.5%で最も多い。これに上院議員の「バーニー・サンダース」が19.2%で続き、その他の候補者はいずれも1割に満たない。また、「わからない」が35.5%ある。

下記は大統領選挙への出馬に向けて民主党からの指名を争っている主な候補者です。あなたは、次の中で誰に指名獲得してほしいと思いますか。(単数回答)

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【当選者と課題への影響】

 次に、(ア)から(カ)まで6つの課題を挙げた上で、トランプ氏再選、民主党候補者当選それぞれの場合に分けて、どのような影響があるかを予測してもらった。

 その結果、トランプ氏再選の方が課題解決に向けて「改善・進捗する(「大きく」と「やや」の合計、以後同様)」と有識者が判断したのは、「北朝鮮の非核化」のみだった。もっとも、トランプ氏再選(15.6%)、民主党候補者当選(12.1%)というように大きな差はない。

 その他の項目についてはすべて民主党候補者が当選した場合の方が「改善・進捗する」と有識者は予測している。特に、「気候変動問題」(民主党候補者:75.2%、トランプ氏:2.1%)、「TPP11など自由貿易に向けた取り組み」(民主党候補者:65.9%、トランプ氏:9.2%)、「イランの核問題への対応」(民主党候補者:65.2%、トランプ氏:11.3%)、「通商などをめぐる対中姿勢」(民主党候補者:59.6%、トランプ氏:11.3%)の4つの課題については、圧倒的多数の有識者が民主党候補者が大統領になった方が「改善・進捗する」とみている。

下記について、トランプ氏が再選された場合、民主党候補者が当選した場合、それぞれどのような影響があると思いますか。(単数回答) (ア)日米関係(イ)通商などをめぐる対中姿勢(ウ)TPP11など自由貿易に向けた取り組み(エ)気候変動問題(オ)北朝鮮の非核化(カ)イランの核問題への対応

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【大統領選後も"分断"は続くか】

 アメリカ社会に生じている"分断"について、大統領選後もこの「状況は変わらないと思う」と判断している有識者は49.7%と半数近い。また、「分断はさらに強まると思う」との見方も13.5%あり、この2つを合計すると、大統領選の結果に関わらず分断は解消されないとみている有識者は6割を超えている。

 「トランプ氏再選なら分断は続くが、民主党の大統領によっては分断の解消に向かう可能性があると思う」は27%と3割程度ある一方で、「民主党の大統領では分断は続くが、トランプ氏再選なら分断の解消に向かう可能性があると思う」は2.1%にすぎない。

現在のアメリカ社会には、共和、民主両党の対立を背景とした"分断"が生じています。あなたは、今回の大統領選挙後もこうした分断は続くと思いますか。(単数回答)

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【大統領選後、アメリカは世界のリーダーに復帰するか】

 今回の大統領選挙後、アメリカが世界の自由な秩序や民主主義を守るためのリーダーに復帰する可能性についても質問した。その結果、「トランプ氏再選なら復帰する可能性はないが、民主党の大統領なら可能性はあると思う」が46.1%で最も多い。ただ、「誰が大統領になっても復帰することはあり得ないと思う」との悲観的な見方も29.8%と3割ある。

あなたは、アメリカが今回の大統領選挙後、世界の自由な秩序や民主主義を守るためのリーダーに復帰することはあり得ると思いますか。(単数回答)

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【今後の日米関係】

 最後に、今後の日米関係のあり方についても質問した。

 その結果、「日本は多国間主義やルールベースの世界秩序の実現に向け、価値観を共有する他の先進諸国との関係を深めることを重視すべきだと思う」という回答が39%で最も多い。次いで、「アメリカとの関係は今後も大事だが、アメリカとの関係だけを重視するのは危険であるため、中国を含めた様々な大国との関係も深めるべきだと思う」の27.7%となり、「次期大統領にかかわらず、アメリカとの関係は日本の外交政策の基軸であり、今後も特別な関係として発展させるべきだと思う」というアメリカ最重視路線の継続を選択した有識者は25.5%で3番目だった。

あなたは、大統領選挙の動向を見ながら、今後の日本とアメリカの関係についてどのように考えていますか。(単数回答)

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「アメリカ大統領選挙の行方と民主主義の現状」に関する有識者調査の概要

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