民主主義を強くする

政治家を自分たちの「代表だと思わない」との回答が「代表だと思う」を上回る等、国民の政治不信が顕著で、特に若い層にその傾向が高まっている。

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2019年第2回目の「日本の民主主義に関する世論調査結果」公表

 言論NPOは11月13日、日本の民主主義の様々なシステムを診断し、そのシステムをどのように立て直せばいいのか、の作業を行うため参議院選挙後の9月に行った世論調査結果を公表した。この調査は参議院選前の6月に続き、今年で2回目の調査となる。


 政治家を自分たちの代表だと思うかを尋ねたところ、「代表だと思わない」という見方が45%となり、「代表だと思う」(41.5%)という見方を上回った。

 さらに、政党や政治家に日本が直面する課題の解決を期待できないと考えている人は70.9%と7割を超えるなど、参議院選前で「令和」への変更後に行った調査と比べて、政治に対する国民の信頼がさらに低下する結果となった。

 こうした政治不信の傾向は20代、30代の若い現役世代に特に目立っている。

 また、政党や国会など、選挙によって自らの代表を有権者が選ぶ代表制民主主義の仕組み自体を「信頼している人」は3割程度にとどまっている。

 さらに、現在の国会は「言論の府」と呼ぶに値すると「思う」という人は1割に達せず、「言論の府」だと「思わない」という人が61.2%と6割を超えるなど、国民の政治不信は高まっていることが明らかになった。

 この世論調査は言論NPOが今年9月に、全国の18歳以上を対象に訪問留置回収法で行ったもので、有効な標本は1000人である。


 この調査は、言論NPOが、現状の民主主義の傾向を把握するために世界のシンクタンクとも連携して行ったもので、今回の調査で4回目となる。世界の多くの国で民主主義が試練に直面する中で、それに対する国民の意識を把握することに目的がある。


日本の政治・民主主義に関する世論調査結果 2019年9月

【日本の将来をどのように見ているか】

 調査では最初に、日本の将来について予測をしてもらった。

 その結果、「悲観的である(「どちらかといえば」を含む)」という見方が57.3%と6割近くなり、「楽観的である(「どちらかといえば」を含む)」という見方の25.3%を大きく上回っている。「悲観的である」は今年5月~6月の調査時点の47.2%よりも10ポイント増加している。

あなたは、日本の将来に関してどのように感じていますか。(単数回答)

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【日本の諸課題についてどの程度不安を感じているか】

 次に、13の課題を挙げた上で日本の将来を考えた際にそれぞれどの程度不安を感じるかを答えてもらったところ、特に「不安である」が多かったのは、「年金・医療などの社会保障」(91.6%)、「異常気象」(91.5%)、「急速な高齢化と人口減少」(88.9%)の3つの課題で、それぞれ9割前後にのぼっている。

 以下、「犯罪」(77.9%)、「経済的不平等、格差の拡大」(76.8%)、「財政破綻」(73.3%)、「テロ」(72.3%)、「経済危機」(72.1%)の順となり、ここまでが7割を超え、残りの5つの課題についても、「不安である」との回答は5割を超えた。

日本のこれからを考えた場合、あなたは次の各課題に対して、それぞれどの程度不安を感じていますか。(単数回答)

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【政党・政治家に課題解決を期待できるか】

 日本の将来に対して不安が高まる中、現在の日本の政党や政治家は、日本が直面する課題を解決できると思うかを尋ねたところ、「期待できる(「あまり」を含む)」は20.6%に過ぎず、「期待できない(「あまり」を含む)」という回答が70.9%と7割を超えている。

 なお、設問に「政治家」を加えたため単純に比較はできないが、参議院選挙前の5月~6月に行った調査に比べて、15ポイントも「期待できない」が増加しており、政治に対する不信感が浮き彫りになる結果となった。

あなたは、日本の将来への不安や様々な課題を、現在の日本の政党や政治家が解決できると期待していますか。(単数回答)

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【日本の民主主義の状況に満足しているか】

 一方、日本の民主主義の状況に満足しているかどうかを質問したところ、「満足している(「どちらかといえば」を含む)」という回答が43.7%となり、「満足していない(「どちらかといえば」を含む)」の40.7%をわずかながら上回る結果となっている。

 この結果を世代別でみると、30代以下で「満足している」との回答が全世代平均の43.7%を下回っており、若い世代に日本の民主主義に満足していない傾向が見られた。

あなたは、現在の日本の民主主義の状況に満足していますか。(単数回答)

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【民主主義を構成する各機能をどの程度信頼しているか】

 次に、民主主義を構成する12の機能を挙げた上で、それらに対する信頼度を尋ねた。

 その結果、「信頼している(「とても」と「ある程度の合計」)」という評価が最も多かったのは、「司法」で61.1%の人が信頼を寄せている。次いで、「大学(高等教育機関)」(55.7%)、「新聞・テレビ」(53.9%)の順となり、ここまでが5割を超えている。

 逆に、「政治家」に対する信頼度は20.1%と2割にとどまり、これが最も低い。そして、その「政治家」が属する「政党」(29.6%)、「国会(議会)」(36.2%)の信頼度も2割から3割台にとどまっている。

 他に信頼度が低かったのは「インターネット、SNS」で30.2%だった。なお、「有権者」の自らに対する信頼度は38.3%だった。

日本の現在の民主主義は、様々な仕組みや人々によって構成されています。あなたは次の各機能の役割を、それぞれどの程度信頼していますか。(単数回答)

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【政治家は自分たちの代表なのか】

 政治家に対する人々の信頼の低さが浮き彫りとなる中、調査では次に政治家を自分たちの代表だと思うかを尋ねた。

 その結果、「代表だと思わない(「どちらかといえば」を含む)」という見方が45%となり、「代表だと思う(「どちらかといえば」を含む)」という見方の41.5%を上回っている。

 この結果を世代別でみると、30代以下で「代表だと思う」との回答が全世代平均の41.5%を下回っており、若い世代に政治家を自分たちの代表だと思っている人が少ない傾向が見られた。

あなたは、選挙で選ばれた現在の政治家を自らの代表だと思っていますか。(単数回答)

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【政治家を自分たちの代表だと思わない理由】

 政治家を自分たちの「代表だと思わない」と回答した450人にはその理由も聞いている。
その結果、最も多いのは「政治家が有権者を意識するのは、選挙の時だけだから」という理由で、37.8%だった。以下、「国会で真面目な議論が行われず、何をしているのか分からないから」(19.8%)、「政治家や政党をそもそも信頼していないから」(18.2%)の順となり、それぞれ2割近くいる。

(前問で「どちらかといえば代表だと思わない」、「全く代表だと思わない」と答えた方にお聞きします)その理由として、次の中からあなたの考えに一番近いものをお選びください。(単数回答)

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【国会は『言論の府』として機能しているか】

 現在の国会は「言論の府」と呼ぶに値すると「思う」という人は9%と1割に満たない。そして、「言論の府」だと「思わない」という人が61.2%と6割を超えている。

あなたは、国会は「言論の府」として、有権者の代表であるべき政治家の課題解決の場として機能していると思いますか。(単数回答)

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【民主主義を機能させるために何を改革すべきか】

 次に、民主主義を機能させるために改革や立て直しが必要な分野を選択してもらった。
その結果、「議会/国会の活性化」(41.5%)、「行政の能力と管理」(40.7%)、「政党の規律、能力」(38.8%)という3つの回答が4割前後で並んでいる。「有権者の主権者意識」を選択した人も32.7%と3割いる。

あなたは、日本の民主主義をより機能させ、その強靭性を高めるために、どういう分野の改革や立て直しが特に必要だと考えていますか。(3つ回答)

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【民主主義についての見方】

 民主主義の基本的な見方について質問した。

 その結果、「民主主義はほかのどんな政治形態より好ましい」という回答が39.8%で最も多く、「民主主義は望ましい政治形態ではない」は3%にすぎない。ただ、「国民が満足する統治のあり方こそが重要であり、民主主義かどうかはどうでもいい」という人も33.8%と3割いる。

民主主義についてのあなたの基本的な見方は次のうちどれに近いですか。(単数回答)

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【低投票率の問題をどう考えるか】

 日本では国政選挙・地方選挙問わず低投票率が常態化している。

 そこで、この低投票率の問題についての考え方を尋ねたところ、「一票の格差や民意を適切に反映できない現行の選挙制度自体を見直すべき」という回答が20.8%で最も多い。これと「低投票率の結果、選挙区によってはわずかな得票で政治家になれる可能性があり、最低投票率の上限を上げるなどの公職選挙法の改定を検討すべき」という回答が20.1%で並んでおり、この2つを合計すると、日本人の4割は現行法制度の何らかの見直しが必要だと考えていることになる。さらに、「この状況は望ましくなく、投票の義務化を検討すべき局面」とより踏み込んだ改革を求める人も16.8%いる。

 ただ、「よい候補者を立てることができない政治の問題であり、低投票率もやむを得ない」という人も19.9%いる。

日本の投票率は近年低い傾向にあり、国政選挙でも50%を下回ることがあります。あなたは、この低投票率の問題をどのように考えていますか。(単数回答)

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【政治改革をどう評価するか】

 1994年に行われた一連の政治改革を経て導入された小選挙区制と政党助成金は、その掲げる当初の目的を果たしていない状況にある。

 そこで、この評価について質問したところ、「小選挙区制導入自体が誤り。小選挙区制は止め、政党助成金も見直すべき」と改革自体を誤りだとみる回答が32.8%で最も多い。

 一方、「小選挙区制導入で始まった政治改革が、その後とん挫していることの方が問題。政党のガバナンス改革や政治資金、国会に関する改革などを徹底的に行うべき」が25.9%、「現在の小選挙区制などのシステム自体に問題はなく、運用がうまくいっていないだけ」が5.3%となり、改革の方向性自体は正しく、それが貫徹されていないことや、運用上の問題があるにすぎないとの見方も合計すれば3割ある。

 ただ、「わからない」と判断できていない人も35.7%いる。

日本の衆議院選挙では、政権交代が可能な二大政党制や、お金がかからない選挙を目指し、一選挙区ごとに一人の当選者を選ぶ小選挙区制が導入され、また政党(共産党は辞退)には政党助成金という膨大な税金が毎年投入されていますが、当初の目的は未だに達成していません。あなたは、この状況をどう考えていますか。(単数回答)

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日本の政治・民主主義に関する世論調査(9月)の概要

gaiyo.pngここでの数値は小数点第二位を四捨五入しており、また無回答を除いてあるため、合計が100.0%とならない場合がある

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