「第4回 東京‐北京フォーラム」の準備状況について

2008年8月22日

「第4回 東京‐北京フォーラム」の準備状況について
(全 7分40秒 )

聞き手:
インターン 布施智恵(国際基督教大学)


「第4回 東京‐北京フォーラム」まで残り一ヶ月を切りましたが、準備の進行状況はいかがですか?

急ピッチで進めているところです。進行中の日中世論調査の分析に関しては、結果を9月8日に記者発表する予定です。今回の調査結果で明らかなのは、日本側の中国に対する認識があまり良くないこと。その原因も含め僕たちが責任を持って分析しています。非常に面白い内容ですので、ご期待頂きたいと思います。

もうひとつの大きな準備状況としては、日中のパネリストがしっかりと固まっていないという問題がありますが、中国側からは約50名の有識者が参加するという話がもう来ており、確定作業も大詰めの段階です。この2・3日で中国側のリストが完成するでしょう。日本側は今、約70名のパネリストが候補に挙がっていて、絞り込みの段階です。

今回僕が重視する試みの一つが「メディア対話」です。日中間の課題としてひとつ大きいのが、両国の報道のあり方です。オリンピック、食の安全など、中国関連のイシューがたくさんありましたが、それらに対する報道の在り方に関して色々疑問があって。これを世論調査の結果をふまえ、「メディア対話」という分科会できちんと議論しようと思っているのですね。このメディア対話では、インターネット会議方式を採り、色んな人たちが参加する仕組みを取り入れて、オープンな形で議論を展開するつもりです。

その他にも、今回はふたつの新しいテーマの下で議論を行います。ひとつ目は食料の対話。この前の食品の安全の問題、また世界的な食料の需給問題、これらの非常に大きな問題を、日中が本格的に議論するのはこのフォーラムが初めてです。ふたつ目は地方の対話。僕たちは国レベルの議論を民間の対話として行っている―つまり、お互いの国にとっての課題を乗り越えるため、日中関係を中心に色々な議論を作っている訳ですが、地方間の対話というのもあっていいじゃないかと思っていて、これを今回初めて設けます。中国からは市長が2名、日本からは知事が4名参加を表明していますし、かなり質の高い議論が期待できます。

また、僕たちが中国側に新たに提案したことがあります。現在、「オリンピック後の中国」がひとつのテーマとして世界の注目を浴びています。自国の経済なり政治を今後どう運営していくのか。ちょうど今年は「改革・解放」政策の30周年です。そこで中国の経済の歩みを―過去と現在、そして未来に向けて―中国が政府、党としてどう考えているか、これをきちんと説明してほしいと中国側に依頼したのです。しっかり説明のできる人を派遣するという話ですので、僕たちはその人との議論を中心に据えて講演会方式のフォーラムを行います。ここでの話をベースに、マクロ経済の議論が徹底的に行われます。

他にも環境問題、安全保障など、とにかく盛りだくさんのテーマの下で議論を準備しています。かなり大変ですが、オリンピックの直後に日中間でここまで大規模な民間対話が動き出すというのは、実は驚くべき話です。僕たちは日本だけではなく、世界が注目するレベルの議論を今作ろうとしているのです。

こうした議論を広く皆さんに伝えていくために、「第4回 東京‐北京フォーラム」の公式ホームページを立ち上げました。会議参加者の募集も公式ホームページ上で行っています。全体会議に分科会、いずれも席に限りがあります。全体会議に関しては色々な人たちを招待しようと思っていますので、言論NPOのホームページを見て「この議論を聞きたい!」と思った方はぜひ申し込んで頂きたい。また、実はもうひとつ、議論への参加方法があります。現在、メディア対話における世論調査をベースにした議論に関して、来場せずとも自宅で、僕たちの会議を見て議論に参加する仕組みを構築中です。さっきインターネット会議方式という形でご紹介しましたが、日中合わせて2000人の方を、登録者として募集しようという試みです。自宅、または職場で議論を聞きたい・議論に参加したいという人たちは、ぜひご登録ください。