両国間の課題だけでなく、世界やアジアの課題を乗り越えるために ~「第13回東京―北京フォーラム」にあたって~

2017年12月15日

2.jpg 「第13回東京―北京フォーラム」が明日16日から開幕します。私は、今回の対話は今までとは違う意味を持ったものになると考えています。この対話は日中間の困難を乗り越えるために2005年から始まったのですが、これからはそうした二国間の困難を乗り越えるためだけではなく、世界やアジアの課題解決や平和の実現に向けて、日中が協力していくことができるかどうか、ということも問われる対話になると私は考えています。

 自由な多国家間の協力に基づく国際秩序が不安定化したり、アジアの平和な環境が非常に不透明化したりする中で、そうした状況に向かい合うために両国がどう協力すべきか、ということを今回の対話のテーマに据えました。そうした状況の中で、台頭している中国と日本がその仕組みを守り、発展させる立場からどう協力すべきなのか、ということを考えたからです。

 特に、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮は、北東アジアの平和秩序をどう作ればよいのか、という難題を今まさに突きつけてきている。どうすればこの難題に対して両国が真剣に向き合い、協力できるか。それが今回の対話の核心であるわけです。

 明日からの対話には、日本から福田康夫元首相をはじめとして40人近い日本を代表する論者が参加します。中国からも50人ぐらいの論者が参加することになっています。今日、私は中国側の主催者である中国国際出版集団の張福海総裁と話をしたのですが、彼は「我々の対話というのはまさに志だ」と言いました。私も「両国がその困難を乗り越えながらアジアの未来にどう向かい合うか。そのための役割を果たしたい」ということを伝えたところ、彼も私と「同じ気持ちだ」と言ってくれました。

 私は、明日から始まる対話で、政府間が進めようとしている関係改善の動きをさらに一歩進めたいと思います。そして、協力を通じた両国関係の新たな展開の姿を描いていきたいと考えています。この対話は、2005年に両国関係が最も苦しい状況の時に我々が提案して実現した対話です。これが13年間も続いた最大の理由は、当事者として両国間の課題に向かい合い、その解決を目指して覚悟を決めてその対話に取り組んできたからです。そうした課題を共有して、そのために協力したいという人はかなり多い。私たちはこの対話を通じて分断されたアジアの未来を作るための作業に入りたいのです。今回の一番大きなテーマは北朝鮮問題で、私たちは核保有を北朝鮮に断念させるだけではなく、平和的な解決を目指せないかということを考えています。北朝鮮問題が解決しない限り、アジアの平和秩序の基本は作れないと思っています。

 こうした議論は全て公開して皆さんに提供していきたいと思っていますので、是非ご覧になって、こうした民間レベルの課題解決のための対話がアジアで動いているということを知っていただきたいと思います。


⇒「第13回日中共同世論調査」結果
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