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2007年3月17日

講演録:「地域再生とパートナーシップ ~『公』の担い手とNPOの役割~」(その4)

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「言論NPO」の取組

〔当日配布資料〕

では、言論NPOは、何をしているNPOかという話ですが、これはたくさん、いろんなことをやっているので、ここでは二つだけ言います。

一つは、民間外交として「東京-北京フォーラム」をやっています。私たちが昨年の8月に東京で実現したフォーラム後、10月8日の日中首脳会談は再開したわけです。非営利セクターが日本の外交を動かしたというのは、多分あまり歴史的にもない事例だと思います。何故出来たのかというと、もちろん私達だけがやったわけではなくて、外務省なり政府ともいろんな形で非公式な打合せをしていました。個人的には日中関係、中国に対する思いはいろいろあるにしても、日中関係が非常に悪化し、最悪な局面で暴動まで起こっていったわけです。ところが、政府関係が悪化した時にそれを補うような仕組みが日中間に全く存在していないのです。これまでにも日中友好のいろんな運動があったのですが、閉鎖的で限られた人しか参加していないために、日中間の政府間関係が悪化するとほとんどの動きが中断・延期になってしまいました。これはまずいのでないかと私たちは考えたわけです。政府間が悪化したらそれで戦争になるのかという話ではなく、経済的にはアジアのダイナミックな連動、補完がもう始まっているわけですから、それに対して民が何かをしなくてはならなかったのです。それで僕達は中国に何度も行って中国政府を動かそうとしたのです。

結果として、中国のチャイナデイリーという中国の4大メディアの英字新聞があるのですが、そのメディアと私たちは提携し、歴史的な事業に取り組むことになったのです。そのメディアというのは1日800万アクセスもある巨大なメディアで、関係している会社を含めて一日何千万というすさまじいアクセスを持っている巨大なメディアです。言論NPOというのは小さな10人足らず、会員は500人ぐらいですが、チャイナデイリーと対等に提携しました。そして、この日中だけではなくてアジアに向けて議論を発信し、きちんとしたコミュニケーションを取ろうというチャネルを作ることになり、北京大学も加わり、人の輪が創られたわけです。中国でもNPOがたくさんありますが、政府型NPOしかないので、何だかよく分からない部分があります。中国の人達は、言論NPOのことを「何なんだ、でも何か有名人がいっぱいいるぞ」と思っているようです。

ただ、これは非営利組織だからこそできました。なぜできたかというと、その時同じようなことをやっている団体が、日本のメディアでした。営利的、ビジネスをやっている人達は、何かをして中国に印刷会社を造るとか、いろんなことを考えていましたが、純粋にコミュニケーションでつなごうと思った僕達との大きな違いがそこでした。その思いが発展し、中国を動かし、中国のメディアが加わり、日本のメディアである朝日新聞、毎日とかNHKなどの皆が僕達のプラットホームに入ってきました。非営利セクターのプラットホームに政府側から安倍前官房長官、自民党側からも中川政調会長や現職の閣僚、メディアの関係者、それから企業経営者が皆集まり、100人ぐらいの大きな会議が出来たのです。

その場で安倍前官房長官が、日中の関係改善に取り組みたいという話をし、それが中国・北京につながり、直後の首脳会談の再開につながって、まさににアジア外交が動き出したのです。これを民間のNPOが実現したのです。

あの局面において、コーテンで言えば第三か第四ぐらいの状況を私たちのNPOは生み出しました。もしあの時、私達が外務省から補助金をもらっていたら、多分この運動は出来なかったと思います。あくまでも外務省から頼まれてやった動きではなく、自発的に動いたから歴史を動かすことができたのです。外務省は最後になってこの重要性が分かって、レセプションだけ外務省がやりたいと言っていました。

もう一つの話は、さきほど北川さんのお話をしましたが、これもマニフェスト評価、政策の評価をやっております。政府の評価を先駆けて行い、それを継続的に実施しているのは私たちの団体だけです。政府の政策について全ての分野でやっています。少し前に、竹中平蔵さん(元経済財政政策担当大臣)から、地方分権について民主党に高い点をあげたのですが1週間前に怒られました。「お前、何で民主党がすごいんだ。」と言われました。つまり、私たちの評価は政府や政党の間でも無視できない存在になっているのです。

不思議なことに、この作業に霞ヶ関の中央官僚の方、課長以上の人達にたくさん協力をしていただいております。NPOに行政の人達がかなり自発的に個人の資格で参加しています。これを青森においてイメージすれば、県庁の人達が自発的にお手伝いをしている。委託しているのではなくて一緒にやっている、そういうイメージができているわけです。こういう形で今、僕達は運動をやっています。また地域の再生の議論と作業を北海道でもやっています。


ガバナンス

〔当日配布資料〕

次のページ(p15)で見ると、僕達がこの運動を行うにあたって最も強調をしているのはガバナンスの問題です。公益法人の問題で議論になったのは、公益性というのは誰が認定するのですかということです。公益法人では、今まではお上が認定し、民法34条もありますが、それが変わって、認定というよりは、有識者会議を作って、今基準を作っています。基準は僕も見ていて、そんなにおかしくはないのですが、公益性というのはこういう形で決めていくのは無理だと私は思っています。では、公益性のある仕事とは何ですかというと、公益性を評価できるのは市場しかないと僕は思っています。市場というのはお金だけではなくて多くの人がボランティアで参加をしたり、寄付をしたりしています。つまり、社会的なニーズ、担える人達の参加が多い、お金が集まる、これが多ければ多いほど公益性があると思うし、それしか公益性を判断できるものはないと思います。

そのためには、市場に開かれたガバナンスを構築しないといけないと思います。私達は三つの監事を持っています。会計・業務・言論の監事を持っていまして、会計と業務監事というのはほとんどのところにあると思いますが、言論監事というものを初めて導入しました。これはアドボカシー型のNPOということをどう社会が受け入れるかという話と連動しているのですが、これにアメリカの内国歳入庁(IRS)に準拠した自己評価システムを僕達は導入しているわけです。ここで私たちの活動が特定の政治や特定の宗教を応援しているものではないことを自ら立証する義務を課しているのです。これはものすごく厳しい基準です。僕は政治家の献金、励ます会、一切というか絶対行けません。特定の政治家などを応援することは許されませんし、それが間接的にも応援しないことに関して自分で証明しないといけないわけです。それを言論監事の二人がそれを評価して市場に公開します。この二人というのは、先般、こちらで講演した田中弥生さんと、この前事情があって政府税調の会長をお辞めになった本間正明さんのお二人に監事をやっていただいています。そういう形で公益的な概念を、市場で評価するという自立の問題をやっているわけです。

そういうことをしながら、僕達は様々な資金を集めています。僕達の財務諸表を見ると、「何でこんなの?」という感じになると思いますが、寄付の比率が約80%となっています。寄付を集めるためにガバナンスを強化し、それを説明し、自分達のミッションを行っている。活動内容は必ずこういう形で市場に公開していくというサイクルを繰り返しながら、市場に自らの評価を委ねているのです。

僕達は、先の中国の巨大メディアとの提携と同じように、一般の人達、一般の企業と協働することが行政よりも結構多いのです。いろんな形で助け合ってやった方がいいと思っており、それを今後も広げていきたいと思っています。


おわりに

最後にこれを言っておかなくてはダメだと思っています。

実を言うと言論NPOは、地方再生戦略会議というのがあって、具体的な地域再生に向けてのプランニングもやっています。また仲間には、かなりのお金を持っている、ファンドを持っているメンバーが結構います。そういうメンバーもいますから、意見交換をしたり、対案を作り出したりと、様々なことを協働でやったりしているのですが、各界の著名な有識者が皆ボランティアで参加してもらっているわけです。この現象を感覚で分かってほしいと思っています。

ドラッカーのNPO論に、今まで組織社会に忠誠心を尽くすということが一つの人間の生き方だったけれども、組織ではなくて個人に忠誠心を持つ人達が、組織を離れて横に動くという、横のネットワーク論が60年代、70年代から結構言われていました。多分、今、日本には、横のネットワーク、流動化知識ワーカー、こういう人達がすさまじく存在する社会だと思います。その人達は、非常に浮き上がってフワフワしているけれども、巨大なネットワークを持っていて、一旦何かがあれば迅速に動くんですね。

僕は夕張市が破綻するという発表後、北海道で会議をやっており、市長を含めて、様々な人が集まる北海道の自立のための民間会議をやったのですが、その時に夕張市に、もし子どもの1枚の写真、特に非常に困っている写真でもあれば、何か一つの物語を生み出すし、横の流動する知識ワーカーは一気に夕張に集まってくると言ったんです。同席していた北海道新聞の論説委員長が、「そんなことないよ、あれは人災だから誰も興味がないよ。」と言っていました。ところがどうでしょう。その後テレビで成人式に市からの助成が出ず、手作りで成人式を準備している話が出ました。それを見た多くの人が寄付をし始めた。つまり、そういう動きというのは結構あるんです。

僕もフラフラして東京でやっていますが、故郷のために何かしたいという気持ちはいつも持っているわけです。同じように、やっぱりそういう人達が青森県の外にもいるはずです。その人達を何かつないで協働していく、それをマネジメントしてプロデュースするのは地域の人でなければダメなんです。よそ者が来てもマネジメントできないんです。けれども、そういうことに参加して何かをすれば、多分今までにない単なる垂直的な地方分権ではなくて、横とつながって何か地方の再生なり地域再生に取り組む何かの一つのパワーが青森も得るのではないかと僕は感じているわけです。

その意味で、そういうことを是非つながるという枠組みを、行政とつながるというよりも、行政とはいろんな形でいい関係を作った方がいいのですが、横の、いわゆる知的な大きな人達とつながる仕組みを皆さんは考えるべきではないかというふうに思っています。そのためにはNPOはやはり自立をしなくてはなりません。社会には、別に悩みがあったわけでもないのに企業を辞めても、社会に貢献したいという人達というのはたくさんいます。僕だけじゃなく、いっぱいいます。そういう人達が何かをしたいと思っているのです。かなりレベルの高い専門性を持ったNPOがいっぱいできているということがあるわけです。

そういう形で協働ということを是非考えていただければ、次の、今後の地域の課題設定の答えを出すという作業でいろんなことが始まるのではないかと思っております。

今日は全体的な話になって恐縮でしたが、私が故郷に言いたいことを述べさせていただきました。

ちょうど時間になったみたいなので、これで終わらせていただきます。
どうも今日はありがとうございました。

投稿者 genron-npo : 12:22

2007年3月16日

講演録:「地域再生とパートナーシップ ~『公』の担い手とNPOの役割~」(その3)

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なぜNPOに自立が必要なのか

〔当日配布資料〕

次のページ(p9)ですが、つまり「自立」とは何なのかということです。さきほどのゴールドマン・サックスのレポートとかいろんなことを見ていくと、基本的に言えば、寄付だけ集めろと言っているわけではないんです。資金基盤を多様化しないとダメですねということを言っているわけです。それは一つだけの資金基盤を持っているNPOはかなり厳しくなります。それからガバナンスが機能しなければダメです。

資金を集めるということを考えれば、ガバナンスがしっかりしていないところにお金を誰も出さないと思いますので、このガバナンスが問われます。この前、認定NPO法人の要件緩和があって、政府の補助金なり政府のある意味でのお金の投入がその要件の一つに認められたのですが、これはよくないんですね。それを今の塩崎官房長官に言ったら、何か喧嘩になってしまったのです。

要するに、こうした要件緩和はガバナンスを弱めてしまうんです。私は編集者時代はずっと金融問題の専門家で、経営問題でもよく論争を作りましたが、銀行の資本規制のところのBIS規制の算定式があって、それはアメリカを巻き込んで大論争になったのです。実際日本は株の含み益を資本の部の中に入れて、それで図体を大きくしてどんどん貸し出し競争をしてアメリカの不動産を買いあさったという時期があったのですが、そのルールががらりと変わって、日本の金融はどんどん敗退を繰り返すんです。つまり、それと結構似ているなと感じます。今まで僕がずっと企業経営を見ていく中で、恣意的な操作を行ったり、ガバナンスを曖昧にしていくシステムというのは、必ず壊れていくのです。だから、ガバナンスはむしろ強化の方向を選ぶべきだと私は考えています。

下請けというのは、じゃあ逆に何でダメかと言ったら、それだけが目的になってしまったらダメだということなんです。世界ではもうそういう議論はされていまして、文献を今日は持ってきてないのですが、例えばイギリスでも、委託文化の中でいろんなNPO法人が行政の委託だらけになっていく中でガバナンスが弱まり行政だけを気にしていくような形で、非常にガバナンスなり組織力が崩れていくという状況が結構報告されているんです。だんだん、組織内でいがみ合うなど、自発性のあるボランティアが徐々に阻害されていくということが報告されています。

NPOというのは、まさに自発性・自主性から組織、動き始めた一つのエネルギーなので、これが機能しながら行政と本当の意味でのパートナーシップをやっていくという形にしていかないと、どこかで疲れてしまうという状況があるのだと思います。

〔当日配布資料〕

次と次のページ(p10,11)はイギリスで、まさにその話です。これはサッチャーとブレア政権ではかなり概念が変わっていっていまして、医療の問題のサービス提供についてNPOをかなり巻き込んでいくのですが、しかしそれが下請けという状況になっていってしまう。ブレア政権になり、コントラクト、契約を結んでいくという局面になって、NPOという大きな流れと政府が調印するのです。それぐらい大きな契約概念に入っていって、その時の状況というのは、NPOというのは社会における主要構成員の一つだという形に位置付けられるわけです。その中では自主性・専門性ということをかなり尊く考え、一方でNPOセクターの自立に向けて環境整備をどうすればいいかということに入っていくわけです。それが一つの教訓だと思うわけです。

私はNPOを6年前に立ち上げた時に、いろんな大学の先生方から意見をいただきました。その時に皆さんから言われたのは、「工藤、行政と政府から金を取ればいいんだよ。」と言われました。何でもいいから金を取れとか言って、それは国の金とか行政の金なんだから使えばいいということを言っていましたけれども、やっぱり僕はそれは間違っていると思っています。税金ですし、それを自分達の運動のために取るとか、そういう発想を持つべきではないと思っています。自立をするのであれば、あくまでも資金源を多様化し、ガバナンスも強化しなくてはならない。そうしたNPOだからこそ、行政と契約をし、担えるのであり、社会の主要構成員としてパートナーシップを担えるのだと考えます。そうした形のサイクルを動かさないと、どこかで無理が出てくると思うわけです。

〔当日配布資料〕

アメリカでもそういう傾向があります。ただ、アメリカは非常にイギリスとは違って、かなり自主独立ではないけれども自助でやるという形があります。レーガン政権の時にNPOに対する補助金がかなり崩されて大変になるんですね。分権とかを見ていますと、その後アメリカのNPOも寄付にかなり入っていくのですが、ただ面白い現象もあって、寄付も不安定だという概念が出てくるんです。寄付というのは、毎年もらうので大変な努力をしないといけないのですが、そこに彼らは資本ベースの事業という概念を入れていくわけです。だから、NPOの資金源は、さっきは行政委託、寄付、それが多様化していって、自主的な財源を得ていく、さらに作っていくという形が今一つ大きな流れになっています。それは社会的起業家が生み出される背景になっています。

ちなみに、年次は忘れましたけれども、この総括の後に確か公益目的株式会社のようなものがイギリスでも出来ているわけです。つまり、ミッションとしては公益目的なのですが、システムとして株式会社を入れているという形になっているわけです。それも、取りも直さず経営をしやすい制度設計にはどういう形であるのかということの試行錯誤が前提にあるわけです。


NPOはどこまでできるか

〔当日配布資料〕

次は、NPOはどこまでできるのかということの話です。私は何で出版社の編集長までを辞めてNPOを立ち上げたのか、それはNPOにはすごく可能性があると思ったからです。すごく今、重要なことをやっているなと実感しています。デビット・コーテンという人はNGOの研究家で、世界的な援助をやった人達を対象に50年くらいアメリカの中でいろんな事例を調査して、その中で体系化・類型化していくんです。この4つの世代について日本では、「あなたはどこなの?」というふうに皆で勉強会をやったのです。

ニーズ対応型というのは、例えばサービスに対して担い手になるという感じですが、例えば、援助型で言いますと、何か食糧を持っていって皆に配ったりとか、何かを届けたりとかです。阪神大震災の時に、いろんな人達が救助をしたり、直接的なサポートをしたりしていくわけです。ただ、それが段々、直接的なサポートはするんですけれども、その人達が本当に自分達が帰った後に崩れたらまずいので、自立できるメカニズム、そういう人達が自分達の中で、例えば農業なり、何でもいいんです産業・企業を作ったりすることを支援する形が出来るというステージに今度は上がっていくわけです。それが地域の自立に向けた支援という形です。コーテンか著書の中で発展途上国の農業の問題を作っていくという事例を出していました。段階のNPOは結構あって、ここのところがパートナーシップの対象になっていくと思うのです。このレベルでも段々限界が出てきます。例えば、いっぱい事例はあるのですが、たまたまデビット・コーテンの本とか、いろんなものを見ると、農業の生産物を売った時に、売ろうと思ったけれども、それがいろんな業界が価格の締め付けしたりしてなかなか売れないし、不等な何か価格上、利益上の差別を受けるという問題が出てくるわけです。そういうことに気付いた人達は、その大きな全体のシステムに対して、NPOやNGOがこれは何とかしなければいけないのではないかという段階に入っていくわけです。

最後にある段階が第四世代という状況で、これは国境を越えるという状況です。例えば、一国で何か物を作って販売をしようとしても、アメリカや中国に対する不当な何かがあるなど、よくWTOで反発しているというのがこういう状況なんです。グローバリズムの中で、かなり貧困が拡大していく状況に対して立ち向かうという段階に入ってきているわけです。

非営利セクターというのは、このくらい世界的に動き、進化しているわけです。言論NPOは多分この三と四の間ぐらいに今入っているというふうに自分で思っています。このゾーンのところに経営も自主的にできて、一方でそういう社会的なミッションを担えるというところが出てきている。だから、NPOは進化をしているのです。そうしたNPOが民の側にいてパブリックを担う仕組みとして動き出している、または大きく変わろうとしている段階ですから、その動きを御理解いただきたいと思っているわけです。

▼ 「講演録その4」へ続く

投稿者 genron-npo : 12:19

2007年3月15日

講演録:「地域再生とパートナーシップ ~『公』の担い手とNPOの役割~」(その2)

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地方に問われる4つの自立

〔当日配布資料〕

次のページ(p5)です。NPOということに関して、どうもいろんな人と話をしていると誤解があるなと思っています。NPOへの誤解は、NPOがあたかも1つの業界になっているというものです。実はさっき言った委員会で、大森彌という東大の先生(東大名誉教授)の、それに対してのコメントが非常に明確な説明だったのですが、NPOというのは、多くのボランティアが自発的に社会に参加するムーブメントに法人的な性格を持たせたということだけなのです。阪神大震災でその動きは大きくなりましたが、非営利的な活動を法人格、法人の資格を持たせることによって他といろんな交渉ができたり、契約関係を結んだりすることができるからです。


よくNPOじゃなくて他のところも非営利活動はあるじゃないかと言われます。確かにNPO団体のほかにNGOとか社会的企業家とか、公益法人とか非営利には様々な形があり、それらが業界化しているようにも見えます。NPO側にも自分たちだけでまとまればいいという間違った考えがあるのかもしれません。
それらがばらばらに考えられていることが本来はおかしいのです。私はNPOが、まさにそうした自発的に社会に参加しようとした大きなエネルギーに支えられ生まれたということを大切に考えるべきだと思います。

だからこそ、NPO法もそうしたエネルギーを背景に超党派の議員提案で法律となったのだし、NPOがこれからお話しする地方での協働でも本来は大きな可能性を持つ動きだということをまず理解していただきたいと思います。


私は今の地方に問われているのは、4つの自立だと考えています。

一番目の「中央からの自立」ということはよく言われている分権改革の議論ですが、今問われていることは、実はこれだけではないのです。これからお話をする3つの自立を加えて、地方の自立が問われているのです。

中央からの自立はそのまず前提となる発想ですが、これを貫くことは意外に難しいのです。地域の人の中でも本当に自立したいのか、と問われても結構悩んでしまう人がいると思います。以前、産業再生機構の斉藤社長と議論をしたときに、彼が地方は本当は自立を求めていないのではないか、と言っていました。地方の企業の再生で地方に行って、地元の企業と議論をすると、「私達は自立したい」とか、「自立して経営をしたい」という人は本当に少なかったそうです。これを私が、ブログで書いたところ、北海道の方からメールが来て、「私も同感だ。いろんなことを見ていると、本当に地方が自立したいというのが地方にいても疑問になる」と言う人がいました。

二つ目は「経営体としての自立」というのがあって、地方自治体は経営体として経営できなくてはいけないのです。ところが、自らが経営する意思を持って経営をしようとしている自治体が日本にどれくらいあるのかです。すでに破綻をしている自治体もあります。それから、三つ目として「市民の自立」があります。これは、「市民は受益者だけれども負担もする主体として自立をし、政治に参加していく、地域社会の中で担っていくというこの流れがないとダメです」ということを言っているのです。

もう一つは「地域経済としての自立」がないと、つまりエコノミクスで成り立たない分権論というのは無理ということです。経済的に成り立てない仕組みは、誰かがそれを負担しない限り持続性がないからです。

この四つの自立を連立方程式として、どのようにして答えを出すのかということが実は問われていまして、ただそこでは、全部答えを出すのではなくて、その一つ一つでいろんなアクションとかドラマが始まっていると思います。地域経済として、例えば地域で何かをしていく、町づくりから、それから市民が何か関わっていくなど、いろんなことが始まっていくわけです。そのつみ重ねが大切なわけです。これは自治体の経営でも同じです。経営体としての自立というのは、自ら経営するためには管理会計をもち、財政や人材のマネジメントをしなくてはなりません。また地域の課題に答えを出すための取り組みも必要です。それらを可能とする分権改革、道州制を含めた大きなデザインが必要になってくるだろうと思います。


自立のための4つの課題

〔当日配布資料〕

次のページ(p6)に、自立のための課題について書いてあります。一番はじめに「地方は本当に自立を求めているのか」ですが、先ほど言った話で、これは覚悟を決めないとなかなかできない、格好よく自立したいというのは分かるんですが、実を言うと、そう簡単にはできないというところもあるのです。本当に自立をしたいということが、地域社会の中で合意形成され、そのトップがそれを目指してさまざまなアクションのサイクルが始まっていないとなりません。そこの中にいろんな自治体の経営とか地域への規律を取り戻していかなくてはいけないなどの問題があります。

自立とは何か、皆さんも頭の中でいろんな問題が浮んでいると思いますが、自立に向かっての試行錯誤のプロセスが始まっているかどうかということが非常に大きいわけです。政府はやる気がある所を支援するとか打ち出していますけれども、とりあえずその循環が始まらない限り、地方が主役になって大きなシステムをダイナミックに変化を起こすということは難しいのです。その時にそれを担う役割として、まさにコミュニティーとして、地域社会ではNPOというものがあり、それが行政側と本当にある意味での対等的な形でのパートナーシップを組めるかということが問われているのだと思います。


NPOの現状と課題

〔当日配布資料〕

その次にですが、先月、こちらに田中弥生さん(独立行政法人大学評価・学位授与機構助教授)がいらして同じような話をしたということを聞きました。田中さんには私ども言論NPOの監事をやってもらっているのですが、その方と議論をすると、これはよく教科書に出ているような話で少なくとも公益法人が100年ぐらいで26,000ぐらいの数の団体ができたのですが、NPOは8年ぐらいでもう30,000を越している、すさまじく急増しているわけです。しかし、その実態はどうなのかということがあります。

自立したパートナーシップが行政との間で期待されているのですが、実態は行政などの下請け化が進行しているわけです。下請け化というのは委託の形態でもありますが、しかしそれだけが自己目的になってしまい、本来のミッションがきちんとできないということがあるわけです。そういう形がかなり多いという状況は問題だと思います。

この問題は皆分かっている話ですが、NPOとしてもなかなかお金、資金調達ができないなど、いろんなことがあるので、どうしても委託に頼ってしまうという問題もあります。多分NPOをやられている方は悩んでいる人がいっぱいいらっしゃると思います。

しかし、こうしたNPOの実態に対する問いかけそのものが政府の中でまだ少ないわけです。ようやく最近、この問題を皆さんが意識し始めました。国民生活審議会の佐々木毅会長(学習院大教授)は、言論NPOの発起人なのですが、彼にも言われまして、「このことについて内閣府と議論ができないか」と。本来、非営利組織に期待された自立・自発的な大きなダイナミックな動きが、何となくその基調は残ったとしても、少なくとも行政の下請け化みたいな形となり、かなり苦しい光景が今見えてきている。そこに今のNPOの問題があるように思えるわけです。

何故、私がここにこだわっているかというと、本当の行政とのパートナーシップを発展させていくためには、NPOが自立できるかがかなり重要だからです。今日は行政の人がかなり来ていますが、行政の人達がそうしたことも含めてきちんと制度設計できているかということが問われているのだと思います。ただ問われていても行政だけは責められなくて、実際に「では、どこにそんな自立したNPOがあるの」ということもあって、かなりここのゾーンについては、結果としては雇用の受け皿であり、それから行政の効率化という目的の中では、結構何となく皆がこうした委託文化に納得してしまうような状況があると思うわけです。だから、NPOの本来持っている可能性を十分活かしきれずに、実態の可能性の間でにらみ合っているのではないかというふうに私は思っているわけです。

後は、NPOそのものが未成熟で力不足だということです。これはNPO自身の力不足という問題もありますが、制度設計がなかなかNPOが経営できるような仕組みになっていないという問題もあって、これはNPO側にとってもかなり大変です。私自身言論NPOの経営そのものもすごく大変で、このNPOをどう持続させるかを毎月悩みながら自分たちが目指した活動をなんとか続けています。その背景の一つにはNPOの制度設計がまだ非常に不安定だということもあります。

これは現行の会社法とNPO法を比べるとよく分かります。株式会社の場合は、かなり長い歴史の中で、会社の存在の根拠を示す法律から、それがワークするようなビジネスモデルを背景とした法律体系にどんどん変わっていっているわけです。会社法の中味を見ると分かるように、資金調達面での緩和があり、一方でガバナンスの強化という形がかなり出ています。つまり、どんなに一つの動きを法律的な形にするとしても、そこの中はどんどん進化させていかないと実態と合わなくなってしまうだろうと思うのです。それが今のNPOの不安定な状況を招いている要因の一つだと私は考えています。

私がNPOを下請け型と自立型に、敢えて二つに分けて考えているのは、下請けが全然ダメだと言っているわけではなくて、ある意味で委託ということは必要だし、それに対して積極的にある程度担っているということも必要だと思っています。しかし経営としては持続性が非常に不安定になるわけです。その委託を受けることが自己目的化するために、それしかできなくなってしまうという問題があると思います。自立型というのは、まさに持続するということだけではなくて拡大の可能性があるということ、道を拓く可能性があるわけです。私は、日本のNPOは自立型を目指すべきだと思っているわけです。

こういう議論というのは私のNPOも日々問われているのですが、世界ではどうなのかということです。いろいろな文献を見ていたら、同じことで悩んでいる論文が見つかりました。ゴールドマン・サックスの人が書いた論文だったのですが、ゴールドマン・サックスの組織の中でかなり優秀な役職にいた人が辞めて非営利組織を創ったのです。創った時に「何でこんなに資金集めばかりで、毎日時間を使わなくてはならないのか。これでは何もできないじゃないか。」ということが書かれていました。彼らがそこで出した結論は、資本という概念だったわけです。つまり、安定した基盤を持つために、キャッシュフロー、収入と書いていますが、それでただ組織なり事業を行えるという流れはあまりにも不安定過ぎるだろうと。そうではなく、それが蓄積となって次の投資に向かえるという形を何かの形でできないだろうかということでした。

アメリカの最先端のNPOでも同じことで悩んでいるんだなと思いました。つまり、そこのゾーンが、まさに経営をするというところで、経営が出来ないと自立できないわけですから、結構大きな問題なんです。ここは、僕は敢えて制度設計の問題だと言っています。

ただ、田中先生がこの前出した「NPOが自立する日」を見ると、全国のNPOに対しアンケート調査をすると、寄付金を集めようとする人が少ないということが結構指摘されているわけです。僕達は、東京でNPOの研究会をやっていまして、そこには、いろんな先生達が入っているだけではなくてNGOの人達が入っているんです。オックスファームから始まって、いろんな発展途上国でやっているNGO団体の日本法人の代表にも参加してもらっているわけです。そういう人達の規模は何十億、何百億という、とてつもない全体的な資金規模を持っている人達ですが、僕の言っている話は全部皆さんの共通の理解を得られるわけですけど、そうは言ってもNPOは資金が集まらないという時に、どこかのNGOの代表が、「あんた、そういう愚痴を言う前に、寄付を集めようとしているのか。」と言ったんです。その場が、すごく「しらー」としてしまって、何か非常にまずい雰囲気を感じたことがあります。

つまり、やはり自立できるという仕組みにしなくてはいけないだろうし、それが何となく歯車があっていない状況の中で、今、数だけは30,000団体と大きくなったのですが、まだ一つのモデルを生み出すという点では試行錯誤という段階なのではないか思います。そこに行政とのパートナーシップという一つの地域社会だけではなくて、それは国政も含めて、冒頭に言いましたけれども、とても大きな課題が来ていると思っているわけです。

これは、そろそろ答えを出さなくてはダメだな、そういったことも含めてNPO法を私は改正すべきだと思っているわけです。

▼ 「講演録その3」へ続く

投稿者 genron-npo : 13:32

2007年3月14日

講演録:「地域再生とパートナーシップ ~『公』の担い手とNPOの役割~」(その1)

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2月19日(月)、青森県主催のパートナーシップ・フォーラム2007において、基調講演をさせていただきました。
そのときの内容を、今日から4回にわたって公開させていただきます。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「パートナーシップ・フォーラム2007」/主催:青森県
日時:平成19年2月19日(月)
場所:青森国際ホテル「孔雀の間」

演題:「地域再生とパートナーシップ ~『公』の担い手とNPOの役割~」
講師:認定NPO法人 言論NPO 代表 工藤泰志

はじめに

皆さん、こんにちは。「言論NPO」の工藤といいます。

「言論」というと何か政治団体のようだと間違われることもあって、最近、何となく「言論NPO」と言うのを躊躇していますが、中立性とか独立性にこだわっているNPOなので、安心して話を聞いて欲しいと思います。

私は青森市出身でして、今日も昔の友人にあって本当に嬉しく、懐かしいなと思っています。今は、ほとんど東京から離れられないのですが、今回、故郷のために何かできないかなと思っていたときにお話がありまして、それで今日の講演が実現したのだと思います。

私はNPOの研究者ではないのですが、私が作ったNPOが、今後の日本のNPOの在り方に対して、いろんな大きな問題提起をしているという自負を持っております。そういうことからも、私のNPOに関しての説明とか、私達がその中で悩んでいることを説明することが、一番NPOの今後やNPOと行政のパートナーシップの本来の意味の在り方について何かを伝えられるのではないかと思っています。

言論NPOとは何か

まず、私達の言論NPOとは何かということです。

言論NPOは、簡単に言えばアドボカシー型の政策提言とか、シンクタンク的な機能を持ったNPOであり、日本で初めて認定NPO法人として認定されたNPOです。つまり免税団体です。認定されたのは34番目で、社会教育という分野の中で入ったわけです。

実を言うと、私達NPOのメンバーの一人である加藤紘一さん(元自民党幹事長)に、ある時、「工藤、NPO法が成立した時には、言論NPOのように議論活動やメディアに近いNPOが出てくることは想定していなかったよ。」と言われました。

NPOに問われている課題も、社会の発展の中で変わり始めているんですね。NPO法成立当初は言論NPOのような活動内容のNPOが、出てくることさえ想定されなかったというのに、言論NPOがなぜ認定NPO法人として認められたかというと、私たちの活動が今の社会に対して広く公開され社会に支えられることで活動が運営されていることを理解していただいたからだと私は思っています。

日本のメディア、新聞社とかテレビとかありますが、本来メディアが「こんなことをやっていたらいいな」ということが現実的にはなされていない。そのことに対して私たちは、非営利組織で挑んでいるというふうに理解してもらったほうがいいと思います。

例えば、メディアとは何だろうか。それは有権者に対して政治や社会を判断するための材料を提供するとか、将来に対してきちんとした議論形成をし、その内容を公開していくとか。本来、メディアに問われていることはそういう役割だったと思います。

私は6年前まで石橋湛山(元内閣総理大臣(1956年))という総理大臣を出した出版社の中で、まさに石橋湛山の100周年の記念事業で創刊されたオピニオン誌の編集長をずっとやっていました。しかし、日本のメディアが高度成長後やバブル崩壊後に新しい社会に向けて建設的な議論をして取り組まなければいけない時に、対案も出せず傍観者のように批判だけを繰り返していたことに自戒の意味を持って、会社を辞めてこの非営利組織を創ったわけです。私の中には、メディアの持つ公共性が営利をベースにした組織原則との間で、非常に齟齬をきたしているという認識があるわけです。御存知だと思いますが、アメリカのNPOには、メディアの分野でもラジオ会社などのNPOが結構あるのです。寄付をベースにしているのですが、少なくとも専門性があって、ミッションをベースにしたメディアの経営が行われています。そのことが日本でも動き出したと理解してもらえればいいと思います。

私達は本来、日本のメディアがやらなければいけない日本の政治の政策の判断をするために、政策の評価をやっています。

元々、私が親しくさせていただいている北川正恭さん(前三重県知事)と一緒にマニフェストの運動を創ったのです。その時に北川さんはマニフェスト運動をやったのですが、私は評価をやるという話になりまして、私達は評価基準と体系を持って、まさに政策評価の上位概念である国民との約束を軸とした日本の政策評価の体系を構築しようとしたわけです。

つまり、そういう形で、有権者に判断材料を提供するということや、それからきちんとした議論を作るということが本来のメディアだったと思います。日本のメディアが全部そういうことをやっていないというわけではなくて、やっているところはたくさんあるのですが、そういうことだけに、その目標に絞って私達は議論をし、運動を展開しているということです。そこの背景には、きちんとした議論、しっかりとした議論が民主主義のためにも必要だという思いがあります。


地方自治とNPO

ここで今日話すことは、実を言うと地方6団体(全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会の6団体)が設置した新地方分権構想検討委員会(平成18.1.13~18.11.29)の中で私が説明した内容がほとんどです。この委員会の中で、NPOの役割についてきちんとした定式的な表現が書き込まれましたが、私が提案した内容がかなりの割合で入っています。

つまり、行政とNPOの協働という概念の前に、これからの地方自治、地方の再生という問題の設計をどういうふうに考えればいいだろうか、これが今問われているわけです。つまり、パブリックゾーン(公共)の担い手としての非営利組織を考えて、新しい公の設計ができるだろうかということが私の問題意識でした。

皆さんも御存知のように、これまでの分権改革は中途半端なものだったと思います。それは政府との間で権限なり財源なりの移転がきちっと行われていないということだけが不十分なのではなくて、団体自治にあたかも目標設定がなされているところに不十分さがあるわけです。地方分権というのは団体自治が目標ではなくて住民自治が目標です。だから、団体自治から住民自治へ移行するための仕組みが必要なわけです。その時に、国と地方という垂直的な構造だけではなく、公共と民間が担えるパブリックゾーンのところに民をどれだけ巻き込んでいくのかという水平的な議論が必要だと考えました。つまり、縦軸と横軸の2軸でこれからの分権と地方の自立を考えなければいけないだろうということです。 その横軸のところが今日のテーマになっている「行政とNPOとのパートナーシップ」の議論だと思います。

ただ、この時に私が言っているのは、行政とのパートナーシップというのは行政の仕事をアウトソーシングするという概念ではないということです。行政の財政が厳しい中で、ある程度効率化を考えなければいけないというのは当然だろうし、市民層がこれまで行政が行ってきたものを担っていくということは非常に尊い作業だと思うのですが、本来のパートナーシップというのは海外の例で見られるように、それを担うべき主体がまさに自立して独立していないと絶対パートナーにはなれないのです。だから、民がパブリックゾーンを自立して独立した形でどう担えばいいのかというところが重要なわけです。

新地方分権構想検討委員会の報告書は、多分きちんと読んでない方が多いと思いますが、結局、その中で地方自治体には、NPOに対する税の控除をしたらどうかという提案をしたのはそういう考え方によるんです。つまり、税をベースにした公共サービスという概念から、寄付をベースにした公共サービスという市民が選択をできるというシステムが、これからの分権にとって必要なのだろうと思っているわけです。

そういうふうに大きな日本のグランドデザインを考えてNPO論を構築するというのであれば、NPOの可能性について僕達はきちんと考えなければならないと思います。NPOというのはそもそも何なのかということを今日はきちんとお話ししたいと思っているわけです。


小さな政府と「公」の担い手

〔当日配布資料〕

小さな政府と公の担い手は、安倍さんが総理になる総裁選挙でも議論がされました。小さな政府という表現は具体的にはあまり使ってないのですが、効率的な政府と公の担い手という議論は、実を言うと小泉政権時からあったわけです。そのための議論として行革関連法案3法がありまして、公務員削減、政府系金融機関の問題があって、それから市場化テストとか公益法人改革とか指定管理者制度という話が出て来ているわけです。ここは私達のマニフェスト評価の関係では政府とかなりやりあったのですが、基本的には大きな政府部門をアウトソーシングしていく考えが背景にあるわけです。これは官と民という軸になっていますが、基本的に大きく肥大化したところはアウトソーシングしていきますよということであって、その大きな前提となったのは政府部門の効率化ということなります。

ただ、安倍さんが言っているように、公の担い手としてNPOとか公益法人、社会的起業家というのが入ってきたのは、「おお、なるほど」と思ったのです。とりあえず、そういう団体がある程度担い手になるという哲学を政府は打ち出したわけです。つまり、政府がやっている動きというのは、政府部門のリストラと同時に哲学として民のパブリックゾーンの担い手という議論は出しているのですが、その制度設計はまだ全然どこも出ていないんですね。これをもし実現するのであれば、公共部門の制度の設計、デザインが必要になってきますが、これが無いというのが今の状況を見えなくさせているわけです。

その下にあるのが、この前の分権推進委員会の中で言った話です。つまり、NPOを支援してくれと、行政から人材供給はどうですかということです。一部の都道府県ではNPOに人材を供給しているところもあります。あと税制的に支援をするような、つまり、NPOというものが自立するという仕組みをある程度作っていかないと、単なる委託が委託を生んでしまうという構造ではあまりにもNPOの先行きも厳しいなと思っているわけですが、そういうことをここで書かせてもらったわけです。

ここの中で一貫して言われていることは、公の担い手としてNPOの役割なんです。NPOなのか公益法人、社会的起業家、自治会とありますけれど、基本的に広義のNPO、つまり非営利活動ということがそれを担うということを言っているわけです。

▼ 「講演録その2」へ続く

投稿者 genron-npo : 15:29

竹中平蔵氏との対話の感想

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竹中平蔵元大臣との対話の感想を、言論NPOの工藤が語ります。

投稿者 genron-npo : 00:03 | コメント (0)

2007年3月 8日

言論ブログ新刊本「安倍政権の100日評価 」について その3

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本の後半にある質問「小泉総理は「自民党をぶっ壊す」と宣言して自民党総裁に就任しました。あなたは、安倍政権の100日を見て、どんなことをめざす政権か分かりましたか?」という質問に言論NPOの工藤が答えます。

[言論ブログ・ブックレット] 安倍政権の一〇〇日評価-有識者三五〇人の発言-

投稿者 genron-npo : 13:02 | コメント (0)

2007年3月 6日

言論ブログ新刊本「安倍政権の100日評価 」について その2

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本の後半にある2つの質問のうち、まずは「 安倍政権は誕生後100日を迎えます。現在まで の安倍政権は、あなたが発足時に抱いていた 期待と比べてどうでしたか?」という問いに、言 論NPO代表の工藤が答えます。

[言論ブログ・ブックレット] 安倍政権の一〇〇日評価-有識者三五〇人の発言-

投稿者 genron-npo : 00:01 | コメント (0)

2007年3月 3日

言論ブログ新刊本「安倍政権の100日評価 」について

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言論NPO代表工藤が、「安倍政権の100日評 価」の企画趣旨について語ります。


[言論ブログ・ブックレット] 安倍政権の一〇〇日評価-有識者三五〇人の発言-

投稿者 genron-npo : 00:59 | コメント (0)