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【vol.99】 増田寛也×北川正恭『なぜ今、ローカルマニフェストなのか(4)』

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■■■■■言論NPOメールマガジン
■■■■■Vol.99
■■■■■2004/09/21
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●INDEX

■ 増田寛也×北川正恭『なぜ今、ローカルマニフェストなのか 第4回』
■ 10/13 (水)「言論NPOフォーラム」のご案内


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■ 対談『なぜ今、ローカルマニフェストなのか 第4回』
  増田寛也 (岩手県知事) 北川正恭 (早稲田大学大学院教授 (前三重県知事))
                       聞き手 工藤泰志・言論NPO代表
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工藤 増田知事のマニフェストを読むと、理念があり、ビジョンがあり、中心的な課
   題がありと、かなり形式が整っています。

増田 あまり時間がなかったのですが、あのように整えた形で書きたいという思いは
   ありました。最初につくるマニフェストだから、やはりあのような形で示さな
   ければマニフェストだと思われないのではないかという考えがあって、マニ
   フェストというのはこういうものだという形でつくらなければまずいなという
   思いはありました。

工藤 こういう宿題があるので、次はこう変えたいという点はありますか。

増田 一つは、実は過去2期分の検証が入っていない。なぜかというと、北川先生か
   らいつも怒られるんですが、1期目、2期目の公約がいかにもいい加減で、その
   検証といっても、数値目標も入れていない、検証のしようがないということが
   あった。

北川 2期8年間、彼はやっていなかったから(笑い)。

工藤 あと2、3期やらなきゃだめですね。

北川 だめだめ。マニフェストで絶えず問うていくというのは重要なポイントです。
   だから僕はロング政権には、反対。表明しておきます。

増田 それは最初から分かっていて、ちょっと検証がしようがなかった。だから、今
   回出したことは、次にきちんと検証を入れ込んだ形で出すというようにつなげ
   ていこう、それしかないと思っています。

北川 9月8日に私たちがローカルマニフェストの検証大会をやるのは、まず2回予算
   を経験していること。それと、総合計画との整合性、議会との予算編成、そう
   いったことを経験すれば、今が第一回の検証のタイミングだというのが9月8日
   なんです。4年間見ていかないとだめですが、途中経過としては、今まさに彼
   が言われた、検証ができる契約書ができ上がったということを、今度はそれを
   どの程度できたのかということも検証すべきです。その時期が今なんです。だ
   から、2回の予算を経験し、議会も経験して、職員とのオペレーションがどこ
   までうまくいっているかということが検証できるのではないかということで、
   この9月8日を選んだということです。

工藤 ローカルマニフェストが実質的な住民との契約になるためのもう一つの質問で
   す。いろんなマニフェストを読んでいてどうしても引っかかるのが、財政再建
   などと言うけれども、その目標というのは何を達成すれば実現なのかというと
   ころが全然見えてこない。目標設定も県によってはばらばらです。結局、これ
   は国と地方の構造的な依存のシステムの問題を温存しては答えが描けないとい
   う問題のように思えます。この点についてはどう考えますか。

増田 これは三位一体改革にも共通する非常に根源的な問いかけです。一言で言うと
   国と地方の役割というか、それぞれが果たすべき機能をどうするかというとこ
   ろに行き着くのですが、それは地方だけで議論できる問題ではありません。や
   はりここは国の方にも議論に乗ってもらう必要がある。もちろん国に丸投げす
   るつもりは全くありませんし、我々も考えを示していかなくてはいけないと思
   いますが、国もその議論に乗ってきてくれないと、一向に進まないと思いま
   す。

   ただ、国はその議論を全くする気はないし、する能力もない。というと語弊が
   ありますが、それだけの余裕がないのでしょう。国は今回の三位一体改革を単
   に「予算編成の中の一作業程度」にしか考えていないという感じです。来年度
   の予算をどう組むかという中での三位一体改革ですから、どの補助金をどうす
   るかというだけの話になっている。例えば公立保育所の運営費は一般財源化さ
   れたのですが、一方で公立保育所の運営の基準というのは残っていて、運営は
   国が握っている。公立保育所については地方に任せるというのであれば、合わ
   せて運営基準もすべてなくさなければいけないわけです。このこと一つとって
   も、国がこの議論をまともにしようとしていないかがわかると思います。こう
   したことが不十分である以上、今言ったような歯がゆさ、全体の落ち着く先が
   見えないということにつながっています。

工藤 そうした国と地方との関係があるから、経営者として経営できないシステムが
   ある、ローカルマニフェストがそうした限界を内在しています。

北川 増田さん、あなたの考えを聞きたい。ローカルマニフェストを書く場合、達成
   目標以前に、基本姿勢として自立度という分権度合いとか、住民に対する透明
   度合いとか、必要と考えますが、そういうものとの絡みをどう考えています
   か。

増田 少なくとも岩手のマニフェストについて言えば、最初に申し上げた地域経営と
   いうか、経営を自治体としてできるかどうかを問うています。そういうマニ
   フェストですから、今の北川さんの言葉で言えば自立度などが一番成果として
   問われる部分であり、検証の際の軸となると思います。先ほど工藤さんが言っ
   たように、そのことを問うということは、逆にいろんなところで国が自立を阻
   むようなことをいっぱいやっているわけですよ。そのようなものに対しどれだ
   け戦い、束縛に対してどれだけ抵抗しているか、あるいは対抗案を示せている
   かにかかってくるのではないかと思います。

工藤 僕は基本的にそれに賛成で、ロカールマニフェストを提示する意味を最終的に
   自立するという社会を目指す中でのプロセスだと思えば、それだけでも意義は
   ある。ただ、その場合、自立度を図る評価指標はどうしますか。

北川 これはそうは簡単にいかない。数値までいかなくて、その課題の立て方がいい
   かどうかは、これから何度も議論していかないとだめだと思う。それがはっき
   りしたら、さっきの保育園の設置基準がどうなっているかとか、省令がどう
   なっているかというところへ徐々に踏み込んでいくから、やがて検証ができて
   いくと思う。

増田 国が地方の自立を阻むやり方というのは、金の面もそうですし、そういった基
   準の面もたくさんあるわけです。だから政府がやろうとしている三位一体改革
   というのは、本当にわずかな部分、具体的に言えば金の面だけ手をつけようと
   している。知事会の三位一体改革と議論がかみ合わないのは、こちらはもっと
   広い分野の改革を、真の三位一体の名のもとにやろうということがあるからで
   す。

工藤 経営という場合、民間の経営者から見れば、例えばリストラというのは人を減
   らすことが柱ですが、公務員の場合、これは基本的に何もできない。あとは企
   業を誘致して税収を増やすということもあり得ますよね。こうした経営力とい
   うものも問われるが。

増田 今言われた経営力といったところは、トータルでの地力というか、地域力をど
   う捉えるかということがまず前提となる。リストラせずに自立させたいという
   のが本音なんですが、そうもいかない。しかし、それを考えるときに公務員シ
   ステムという制度論にぶつかってしまう。それから産業政策というと、今まで
   地域はほとんど関わりがなく、企業と経済産業省あたりで決めていた話でした
   が、企業誘致なども考えなくてはならなくなった。これは政策の具体的なツー
   ルがどうなのかという話にもつながってくると思います。

工藤 今の段階では、先ほどの政策のプライオリティーをはっきりさせ、有権者に対
   してガラス張りにした中で政策の順序づけをし、それを実行するという、ガバ
   ナンスをまず達成するというところがローカルマニフェスト運動のスタートに
   なりますね。

増田 そこが一番分かりやすいし、やはりこれまでは政府が公共事業を自治体を通じ
   てやらせていましたから、国との関係ではその公共事業を変えることが一番手
   をつけやすかったということもあります。

工藤 その次に出てくるのは、本当に自立して経営するときに、やはり制約が多すぎ
   る。これをしないと経営できないという地方分権の本当の意味がもっと具体的
   になっていく。そこを変えていった場合、こういうマニフェストができるとい
   うことを示せるという。

北川 そういうことになる。そのときにもう一歩進むと、そういった考え方とか立案
   がなされたら、今度はそれを運動として起こしてこないと、地方の自立は本当
   に勝ち取れない。スピードの問題もある。そういうところまで本当は行きたい
   と思う。


                          ──次号へつづく──

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■ 10/13 (水)「言論NPOフォーラム」のご案内
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言論NPOでは、皆様との意見交換の場としてその時々の話題にふさわしいゲストをス
ピーカーとしてお招きし議論を展開するフォーラム提供いたしております。

今回は、「ローカル・マニフェストと地方の自立」と題し、増田岩手県知事、穂坂埼
玉県志木市長、そしてマニフェスト推進者の北川早稲田大学大学院教授をお招きし、
議論を行っていただきます。今、国と地方の関係が問われているなかで、小泉政権が
進める三位一体改革の動きが始まっています。また地方では地方の先見的な自治体か
らは有権者との契約に基づき行政を行うローカル・マニフェストの運動も始まってい
ます。こうした中で、私たちは有権者本位の地方の自立を進めるための課題やその進
め方、さらに国と地方をめぐる新しい日本の再設計について議論を深めたいと思いま
す。

今回は、言論NPO会員以外の方もご参加いただけます。ぜひご参加下さい。

            - 記 -

◆日時       2004年10月13日(水) 午後 6:30~8:00(開場6:00)
◆場所       日本記者クラブ 10階Aホール (東京都千代田区内幸町2-2-1)
◆テーマ      「ローカル・マニフェストと地方の自立」
◆ゲストスピーカー 増田寛也(岩手県知事)
          穂坂邦夫(埼玉県志木市長)
          北川正恭(早稲田大学大学院教授)
◆コーディネーター イェスパー・コール
          (メリルリンチ日本証券株式会社マネージングディレクター)
◆参加費      言論NPO会員:お一人様 2,000円
              一般:お一人様 3,000円


◆詳細、お申込みはこちらからお願いいたします。
http://www.genron-npo.net/about/history/041013_forumanno.html


◆ゲストスピーカー紹介
http://www.genron-npo.net/about/history/041013_forumpro.html

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●TOPICS

■ 「第1回ローカル・マニフェスト検証大会」に参加
http://www.genron-npo.net/about/history/040908_localreport.html


■ 「ローカル・マニフェスト評価設問について」
http://www.genron-npo.net/forum/policy/040908_01.html


■ 「ローカル・マニフェスト評価設問表」
http://www.genron-npo.net/forum/policy/040908_02.html

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   言論NPOは、ウェブサイト以外に、出版、政策フォーラム、
   シンポジウムなど、多様な活動を展開しています。

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     クオリティの高い議論の形成
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   3. 議論の成果をアクションに結び付け、国の政策形成に影響を与える

   この活動は、多くの会員のご支援によって支えられています。
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