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【毎日新聞】 「自民 VS 民主 対立軸を問う」

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2003/9/29 毎日新聞
総選挙で「小泉・自民」と「菅・民主」が、日本再生に向け有権者に示す「違い」は

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 私が代表を務める「言論NPO」は、この4月から「小泉改革」の評価を行ってきた。次期総選挙での対立軸、争点を浮き彫りにするだけでなく、マニフェスト評価をこれから本格的に行うための課題を明らかにする作業だった。

現時点で公表された民主党のマニフェストの一次案を見ると、表面的には政策目標とその達成手段が財源、期限も含めて示されているが、小泉マニフェストの骨格となる「骨太の方針」と比べ、必ずしも対立軸が鮮明ではない。

「小泉・自民」、「菅・民主」に共通するのは、デフレ経済への対応策、金融・産業の一体再生の出口への道筋、年金制度など社会保障制度の抜本改革の姿が具体的に示されていないことだ。小泉政権が描けていない以上、民主党には明確な対抗軸が期待されたはずだが、これら政策課題に共通する国民負担の説明を両党ともに明らかに意識的に避けている。

道路公団の改革も本質的に同じである。民主党は「公団廃止と高速道路の原則無料化」を打ち出したが、その実現には、過去の累積債務、不採算道路の問題を含め膨大な国民負担がいずれ必要になる。この点は「民営化」を志向する小泉内閣も同様である。

小泉改革から描き出されるべきもう一つの争点は、経済政策運営の基本的スタンスである。小泉政権は財政健全化に重点を置き、デフレの深刻化や景気悪化の中でも基本線で緊縮路線を貫いた。一方、民主党は公約で「強い経済」の再生を最優先課題とし、財政健全化の時期を5年以上遅らせるとした。しかし、再生策の中身は、ローン利子控除制度の創設を除き、小泉改革の経済活性化プランと大きな相違はなく、むしろ力負けしているようにみえる。経済対策の財源も公共事業の削減や予算の組み替えで捻出するとしているが、トータルの規模は明示されず、しかも、将来の財政健全化の道筋も見えない。

小泉改革の本質は、サプライサイドの強化による経済再生を目指すことにある。そのために、市場メカニズムの導入や競争阻害要因を取り除く方向は正しいにせよ、現実には政権誕生時に約束した不良債権問題の解決や財政健全化の実現は遠のく一方、規制改革や503万人雇用創出計画などミクロでの経済活性策の推進も遅れている。

民主党が改革政党を名乗るのならば、経済再生への出口を具体的な政策によって示すべきである。公約では中小企業、高齢者など「弱者」への配慮が目立つ一方で、経済の活力をいかに生み出すかの方策が示されていない。小泉公約との対立軸を鮮明にするためには、小泉改革がはまった陥穽に対する明快な処方箋を描くことが問われるはずである。しかし、国民に「痛み」を強いる年金改革の青写真と消費税の引き上げ、交付税改革や郵政民営化の是非など期待された中身は盛り込まれていない。現時点では国民に将来への希望と同時に「痛み」に耐える覚悟や自己責任意識を持たせるマニフェストは政党側から提示されていない。

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