「国家」という枠組みが問われる中、国際的な新しい秩序をどう作っていくか ~世界のシンクタンク会議を前に、ワシントンからの報告~

2015年5月11日

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「国家」という枠組みが問われる中、国際的な新しい秩序をどう作っていくか
~世界のシンクタンク会議を前に、ワシントンからの報告~

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工藤:言論NPOの工藤です。今、ワシントンにきています。
今日はこれから、アメリカの外交問題評議会(CFR)が主催した世界のシンクタンク会議(CoC)に参加します。私たちがワシントンを訪れるのは、今回で4回目になります。私は、日本も世界の地球規模的な課題に関して発言していくことが、非常に重要だと感じています。


日本国内で、世界的な課題に関する議論は不十分

世界は今、ウクライナの問題やテロの問題、シリアの問題、中国の様々な台頭に伴うパワーシフトの問題、経済の自由化を巡る動き、エボラ出血熱の対応に伴うWHOの問題など、様々なグローバルガバナンスの問題が問われています。一方で、こうした世界的な課題について、日本の社会の中で議論したり、世界に主張していくという流れが、まだまだ十分ではないと、私は考えています。私が参加しているCoCは、まさに世界の課題について取り組むためのシンクタンクの会議であって、こうした会議を通じながら、日本が国際的な課題に関して発言していく、というサイクルを作れないかと考えているところです。今回、CoCの会議に参加しながら、私たち日本が世界的な課題に関して発言していく取り組みを始めるための準備を始めようと考えています。


ウェストファリア体制が崩れる中、国際的な新しい秩序をどう作っていくか

今回のCoC会議には、世界23カ国のトップシンクタンクの代表が参加します。その中で、ウクライナの問題など、いろいろな議論が始まります。そうした問題に共通していることは、中国を含めて、世界的なパワーシフトという問題があると同時に、国家というガバナンスが脆弱な中で、大国が介入したり、テロの問題が起きているということが挙げられます。つまり、「国家」というものが問われる中で、様々なゆがみ、新しい脅威が動き始めている。こうした問題を、誰が解決するのか、ということが私たちの大きな問いかけなのです。ウェストファリアの体制は国家の主権や国境、内政不干渉ということを原則にしていますが、そうした原則がいろいろなところで破られているという現実があります。こうした状況の中、私たちは国際的な新しい秩序をどう作っていくのかが、今、問われているのです。

そうした点から、私たちの議論を開始して、日本に帰国後、こうした議論を日本の社会の中で作って、世界に発信していきたいと考えています。今回のアメリカ訪問では、CoCの会議に参加するだけではなくて、アメリカ政府やシンクタンクの有力者とも意見交換します。日米の安全保障問題や沖縄の問題、そしてアジアや世界の国家的な秩序をどのように考えていけばいいのか、という点について意見交換をして、日本に帰って新しい議論を開始したいと思っています。

ということで、これから議論が始まりますが、ホワイトハウスの近くから皆さんに報告させていただきました。ワシントン訪問の初日、工藤からの報告でした。



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