日本の政治をどう変えるか―30代政治家と語り合う

2011年7月06日

今回の「工藤泰志 言論のNPO」は民主党副幹事長・参議院議員の梅村聡さんをスタジオにお迎えして、混乱する政治の修復方法とはなにか?震災後の日本の政治はどうあるべきか?を議論しました。

ゲスト:梅村聡氏 (民主党副幹事長・参議院議員) 

(JFN系列「ON THE WAY ジャーナル『言論のNPO』」で2011年7月6日に放送されたものです)
ラジオ番組の詳細は、こちらをご覧ください。

日本の政治をどう変えるか―30代政治家と語り合う

工藤:おはようございます。言論NPO代表の工藤泰志です。毎朝、様々なジャンルで活躍するパーソナリティが、自分達の視点で世の中を語るON THE WAY ジャーナル、毎週水曜日は、私、言論NPO代表の工藤泰志が担当します。

 さて、先週、私は、今の日本の政治に対して、私の考え方をみなさんに説明しました。今の被災地の状況、そして日本の国会の混乱を見ると、もう国民に「信」を問うしかないのではないかと、私はこの前主張したのですね。この「信」を問うと言うことは、私たち有権者が、この政治をきちんと見よう、自分の頭で考えようということです。そうしないと大変なことになるぞ、ということを言ったつもりなのですね。

 もちろん、選挙を今すぐにやれと言っているわけではない。できるだけ早く「信」を問うことを有権者に約束して、それを目がけて政治が力を合わせて、被災地の問題に取り組む。有権者との間でそういう緊張関係を作ろうという流れを今こそ始めないと、日本の政治は厳しい段階になってしまうのではないかと私は思うのです。

 ただ、こういう議論は、私が1人で言ってもなかなか変わらないのですね。多くの人が、「そうだな、自分達も考えよう」となってくれないと。そのためにも、みなさんも私が問いかけていることについて、色々と考えていただき、ぜひ、ご意見などを寄せていただければと思います。
 
 さて、私は、いつも気になっていたのは、当の政治家は今の政治をどう考えているのか、という点です。しかし、日本の政治家の方は、党の宣伝だけする人が多くて、本音で今の政治状況を一緒に考える政治家の方がなかなかいない。しかし、この前、偶然にもそういう人を見つけたのですね。これは、震災の時の医療救援の作業で、自分も個人として加わって動きをされた若い政治家の方です。その人に、今日はスタジオに来ていただきました。。

 参議院議員で民主党の副幹事長でもあるのですが、内科医でもある梅村聡さんです。梅村先生、今日はよろしくお願いします。

梅村:ありがとうございます。

工藤:で、梅村先生にさっそく聞きたいのですが、今の国会を見ていると、菅総理が自分の権力だけにしがみついている感じで、凄い時間がかかって混乱している。この状況を、梅村さんはどのようにご覧になっているのでしょうか。


政治家は「暇」なのでしょう

梅村:菅さんという方の個人的な性格ですとか、今までの政治スタンスということも大いに関係しているのだと思うのですが、与党全体として言えば、はっきり言って暇なのでしょうね。政治家は基本的には個人で活動するものなのですね、基本は。それに対して、政党というもう1つ対等なパートナーがあって、必要であればそれを利用していくわけですね。これが政治家の本来の仕事のはずなのですが、何か民主党株式会社ではありませんが、そこの社員さんが、社内の人事で大騒ぎしている。

工藤:それだけですよね、この間ずっと。
梅村:はっきり言うと、それだけです。
工藤:何か他にやることはないのですか。

梅村:やはり、個人で課題を自分でみつけて、自分の力でまずぶつかっていく。そこで行政の壁に穴を開けないといけないとか、法律を変えないといけない、予算をつけないといけないとかが分かった時点で、党に持って行って、そのパワーを発揮していくと。それが政党なのですよ。

工藤:そうですね。それが政治家ですよね。
梅村:普通のことだと思いますよね。
工藤:それは、民主党であろうが自民党であろうが、みんな同じですよね。
梅村:それは一緒です。

工藤:そういう人たちがいなくなってきているということですか。それとも、政治ゲームが楽しいのですかね。

梅村:1つ言えば、初めて当選された方が多いので、はっきり言うと小泉チルドレンの時もそうでしたが、党が教育しますよね。だから、自分が党の社員だと思っているのですね。

工藤:新人研修を受けているプロセスだということですね。


政治家の「社員化」が進んでいる

梅村:はっきり言うと、そういうことだと思います。あるいは、今、小選挙区制度で政党交付金が下りてきていると。これは、政党にいないともらえません。だから、お金の面でも主従関係ができてしまっている。そこで、社員化が進んでいる。本来、政治家というのは政党と対等だと思いますし、自分の力、能力をまずぶつけてみて、それでダメなら次に、党という大きな力を使っていく。そのプロセスが逆になってしまっている。

工藤:確かにそうですね。今、被災地の問題を見ていると、本当に一人ひとりの力を発揮しないと、あまりにも色々な問題があって、追いつかないですよね。しかも、時間が限られていますよね。東北は、夏が終われば直ぐ冬になりますから。

梅村:本当にそうですよ。ですから、衆参合わせた国会議員は720人ですか。これだけの個人事業主というか、そのパワーがそれぞれ穴を開けだしたら、これは凄いことが沢山できるのに、残念ながら、自分がホームページで活動報告ができるとか、何か自分のネームバリューを上げることだと、それを党内で自分が何とか上にいこうという。だから、菅さんの権力争いと、今の党の中のメンタリティというのは、僕はそんなに変わらないのではないかと思いますね。だから、親の姿を背負って子どもが学校に行くみたいな話ですよね。

工藤:僕もね、今、日本橋に事務所があるのですが、永田町に近づけば近づくほど、感覚が変わっていくのですね。この前、首相官邸にある人を訪ねて行ったことがあるのですが、全然国民の方を見ていないですよね。政治の話だけしかしない。それで、こんなに国民ががっかりしているのに、みんな意外に元気なのですよ。これ、政治と国民との間に、何か情報の寸断があるのですかね。

梅村:私の場合は、前に別の世界にいたわけですね。医療界ですね。
工藤:お医者さんですよね。


個人としての覚悟がないと、組織に飲み込まれる

梅村:どこの世界でも一緒なのですが、どっぷり浸かってしまうと。で、政治の世界は、一番どっぷり浸かってはいけない分野なのですが、それも例外なくそうなっていると。つまり、先程の話に戻りますが、自分は個人でまずやるのだという意識がないと、直ぐに(組織に)飲み込まれます。それから、業界、その他色々なところに入ると、人間というものは、そもそも外の世界と隔絶するのだと。そのことを肝に銘じておかないと、必ずそういう状況に陥ります。ですから、そういう意味で広く言えば、政治家の覚悟というか、それを持たずに足を踏み入れてきている方が、非常に多いのではないかと思います。

工藤:僕は先週も言ったのですが、メディアの記事も何となく政局なのですね。何となくお互いに正義を言っているのですが、基本的には現状維持なのか、政権を代えた方がいいのかとか競っているに過ぎない。でも、国民はそういうことを気にしているのではなくて、震災でここまで困っているのだから、早く、数ヶ月ぐらいで解決してほしいというぐらいの気持ちなのに、何か違うのですね、発想が。だから、国民の側から政治を変えていくという動きをしていかないといけない。そして、政治は、そういう国民に支えられた形にならないとダメな時期に来ているような気がするのですが、そんな風に思いませんか。


なぜメディアは劣化したのか

梅村:まず、国民が知る情報というのは、ほとんどがマスコミを通じてですけど、マスコミにしてみたら政局の方が楽なのですよ。勉強しなくていいし、要人の後を追いかけていって現象を記事にすればいいだけですから。そういう意味で言えば、大手マスコミの劣化というものはもの凄く感じますよね。そこを通じてしか情報が手に入らない国民というものは、もっと不幸な状況だと思います。法律、予算、こんなものの取材は、ほとんどしに来ません。僕の隣の、隣の部屋が、輿石東(こしいしあずま)さんの部屋なのですが、そこには記者は床に座るなどして、山ほど人がいます。大手マスコミの人達も暇ですよね。そこは不幸だと。そういう意味で言えば、ルール作りですよね。

工藤:そうですね。そこのルール作りの問題についても聞きたいのですが、その前に、多くの人たちは、これまでの話を聞きながら、民主党という政党そのものはどうなのだろう、という疑問を持っていると思うのですね。先週も言ったのですが、梅村先生のような人はいらっしゃるのですが、しかし、党として見た場合に、何の政策を軸にしてまとまっているのかよく分からないし、綱領もないし、マニフェストだって寸断されてダメだし、でもそれを巡って党内が分裂しているような状況ですよね。それに対して、直そうと言ったって、政党の中でそれを直そうとする仕組みもないと。こうなると、党と言えるのだろうか。ある人が、「烏合の衆だ」と厳しいことを言っていたのですが、それに梅村さんはどう感じているのでしょうか。


政党としての統治機能がなくなっている

梅村:政権交代までは、自民党政権を倒すという、ある意味大きな目標があって、私は、それはそれで1つの意味のあることだと思いました。そこからが、発展途上にならないといけないのですね。例えば、さっきおっしゃったように、社会保障なのか、安全保障なのか。その軸をつくるという作業が、絶対に必要なのですね。私はこの2年間、発展途上なのだなと思って、自分も一員としてやってきましたし、早く本芽が出て、朝顔のつるが伸びてこないとダメなのですが、残念ながら発展しないまま、双葉のままでずっといると。この2年間、そういう意味で言えば、政治の停滞というのは、民主党が党としての体をなさなかった、そこに政治全体の停滞があると思いますね。

工藤:政党の機能として、例えば、色々なことのルール作りとか、たたずまいとか、色々な設計をしていかないと、集団は動かないじゃないですか。例えば、党の中でちゃんとした政策を決定して、それを政府に提案するとか。今は、そういう仕組みも無いわけですよね。何となく言いっぱなしとか、これでは体をなしていないと思うのですが、党をそういう風に改革するとか、直すというエネルギーは党内にないのでしょうか。分裂ばかりしていますよね。

梅村:私は今、36歳なのですが、今の党の幹部というのは、私らの親の世代なのですね。私が見ているところ、彼らは運動の世代なのです。統治という概念が非常に薄い。で、統治とは何かというと、全精力の8割位をルール作りに使うのです。そして、運動は残りの2割でいいのです。そのルールに基づいて、喧喧諤諤最後までやっていく。ところが、残念ながら、今の幹部の方というのは、運動が先にきますから、そういう意味で言えば、世代交代というのは、1つの大きな事なのでしょうけど、そうはしなくても、税と社会保障の議論もそうですけど、ルール作りに全然力を入れていないわけです。

 これは、他の国で社会保障改革をやろうとしたときに、政党間同士でルールを決めているのです。スウェーデンなどで年金改革をする時に、表に一切オープンにしないことになっています。政党同士が納得するまで話し合うのだと。で、全て合意したものについては、順次表に出していくというルール作りをやったのですね。しかし、日本はルール作りをやっていないですよ。だから、国会会期1つでも、あちこちいく。首相が辞めるのか、辞めないのか、こういうことで議論する際に、誰が最終的にまとめるのか。結局、そういう意味で言えば、統治でしょうね。統治機能が無くなっている。

工藤:僕も、統治の危機に日本はあると思います。ただ、非常に困ってしまったのは、病巣とか色々な状況は確かにそうなのですが、世界の中で、また時代の中で日本の課題もあって、それを早く直して、その課題に挑んでいくという流れを作っていかないと、大変なことになるような気がするのです。必要なのは、政治家の棚卸し。

梅村:工藤さんのお立場から言えば、国民に信を問うということですけど、私から言わせれば、国民に信を問うても、棚に並んでいる商品は一緒なのですよ。その中から選べという話ですよね。だから私は、もっと言えば、政治家の棚卸し。これにつきるのではないかと思います。おそらく、今日、聞いておられる方もほとんどがその意識だと思うのですよ。自民、民主で選べ、なんていうのはとんでも無い話で、政治家の棚卸しをこのルール作りの中で、どのようにやっていくのか、その1点につきますね。

工藤:私もその主張をしたときに、色々な意見が来ているのですが、その中の3分の1はそういう議論なのですよ。つまり、選挙は確かに重要だと。だから、それをやらないと変えられないと。しかし、選挙をやっても、同じような人が同じような形で出てきたら、どうすればいいのかと。ただ、政治家の棚卸しをする力が、日本の政党にあるのでしょうか。

梅村:本来、二大政党になったときに、小選挙区制を導入した時には、その裏打ちとして政党の人材育成機能ということが必要だったのです。これは、中選挙区制度の時には派閥がやっていました。だけど、小選挙区、例えばイギリスなどはそうですが、政党が若者を雇って、その方々をハーバードのロースクールや、海外に留学させる。経済が得意、政治が得意、環境問題が得意、これを全部揃えると。そして、完成した人をそれぞれの小選挙区に落としていく。これが、小選挙区、二大政党制の肝なのですね、実は。日本はその肝を抜いたまま、細川政権の時の政治改革の議論の中で、形だけを真似たと。だから、その育成機能を今の政党につくっていかなければいけない。そこをやらない限りは、国民に信を問うても、国民が迷惑なだけです。

工藤:僕もそう思うのですが、政党助成金で国民から税金が党に流れていて、その使い方を見直して、人材育成に当てればいいのに、結局、みんなに分配して選挙資金のために使ってしまう。これでは、何のために国民が税金を出しているのか、よくわからない状況なのですね。だったら、ある程度、政党改革とか、政党をこういう風にするという目標を定めて、お金に見合う形でここまで実行したという自己評価をやっていただく。そういう動きというのは、梅村さんが党内で提案しても無理ですか。


政党助成金は人材育成に使うべき

梅村:それは、国民の側が、そういう選択肢で政権を選ぶという大きなムーブメントが起これば。

工藤:起こらないとダメだということですね。

梅村:起これば、いけると思いますよ。つまり、政党交付金は人材育成だと。政治家は献金を受けても構わないのですよ。但し、入り部分をきちんとすればいいのです。今、出の部分だけを厳しくしているわけですね。だから、キャミソールがどうやとか、タバコを買ったとかいうことをやっていますが、そうではなくて、今、入の部分から言えば、パーティー券というのは、20万円以下なら公表しなくていいわけですよ。パーティー券は対価ですから、外国人の方も買えるわけですね。だけど、献金は前原さんのように少額でも、辞任までいくわけです。はっきり言って、アンバランスですね。だから、政治家は一般の方から浄財をいただいてもいいのだと。自分達で、きちんとやるのだと。そして政党は、次の人材を育てることに、政党交付金をきちんと使うのです、という仕組みをつくるのだというムーブメントをつくることは、僕は、言論NPOさんやったら、いけると思うのですよね。

工藤:政党助成金をこういう風に使えと。そうしないと、政党助成金は止めろ、という位の動きは必要ですね。

梅村:そうです。政治家の選挙活動をやるための交付金だったら、僕は止めた方がいいと思います。

工藤:そうですよね。
梅村:政党機能の強化に使うべきです。

工藤:そうですよ。組織として、そのためにお金を国民が出しているのに、非常に大甘すぎますよね。

梅村:そうですよ、本当に。


外から、政治家の棚卸を行う

工藤:あと、さっきの政治家の棚卸しの問題なのですが、僕たちもこれを凄く意識しているのですが、ただ、政党が何のための政党なのだろうかと。先程の政策を含めた形で、この問題について集まっているのがこの政党だということを、まず見えさせなければいけないし、その上で、政治家そのものがそういう意思の中で、政党に入らなければいけないじゃないですか。そこ辺りは、僕たちができることは政治家をチェックしたり、ヒアリングしたり、アンケートをとったりして、その結果とプロセスをどんどん公開していくという作業はできますし、政治家を評価するということはできるのですが、そういう外の動きを使わないと、やはり難しいですか。

梅村:政治家は生き残ることしか考えていません。選挙で落ちたら生活できない人ですから、その軸づくりは、外からやる時代だと思うのですよ。社会保障なのか、大きな政府か小さい政府か。あるいは、安全保障ですよね。

工藤:あとエネルギー政策ですよね。

梅村:そうですね。その軸づくりというのは、これだけネットを始めとする色々なツール、ツイッターなども発達していますから、僕は、軸づくりが国民に問われている1つのミッションなのかな、とそういう風に思います。

工藤:それは非常に共感できますね。今回、僕が選挙をするべきだと言っているのは、ただ選挙をすればいいという話ではなくて、選挙をすることによって、有権者がそれに参加すると。そして、最終的には政治は、政策の選択肢を軸に政党が集まって、それが機能するという社会に持っていかないと話にならないからです。僕は、そこのプロセス、ドラマにこれから入らなければいけないなと覚悟を固めています。多分、10年ぐらいかかるのではないですかね。もっとかかりますか。


日本の政治の立て直しは、動き出したら早い

梅村:私は、動き出したら早いと思いますよ。要は、国民が選挙しか参加する場がないのだという意識から脱却すれば、流れができれば一気に進むと思います。

工藤:なるほど。今日は、何となく言論NPOの中のメンバー間で話しているような感じになって、非常に共感というか、さっきから、その通り、と思いながら話を聞いていました。つまり、やはり日本の政治は変わらなければいけないという状況を、これから永田町の政党だけではなくて、国民が一緒に考えないと、多分、日本の政治は変わらない局面に来ているのではないかと。今の梅村さんも、まさにそういうことを国民側から考えるべき時期ではないかとおっしゃっていました。それに対して、私たちは、受けて立たなければいけないのではないか、という感じがしました。

 ということで、時間になりました。今日は、梅村さんに来ていただいたということで、僕も突っ込みが非常に甘くなってしまいました。やはり、こういう政治家の方がいらっしゃるということは非常に励みなのですが、ただ、基本は国民がこの日本の政治を変えていくという大きな動きをつくっていかなければいけない、という局面だと思います。さて、みなさんはどう思われたでしょうか。
 梅村先生、ありがとうございました。

梅村:ありがとうございました。


今回の「工藤泰志 言論のNPO」は民主党副幹事長・参議院議員の梅村聡さんをスタジオにお迎えして、混乱する政治の修復方法とはなにか?震災後の日本の政治はどうあるべきか?を議論しました。
ゲスト:梅村聡氏 (民主党副幹事長・参議院議員) 
(JFN系列「ON THE WAY ジャーナル『言論のNPO』」で2011年7月6日に放送されたものです)