震災後の政治の対応と復興のビジョン

2011年4月30日

第20回言論NPOメンバーフォーラム

 4月28日、都内ホテルにて、20回目となる言論NPOのメンバーフォーラムが開催されました。ゲストスピーカーとして、自由民主党政務調査会長の石破茂氏をお招きし、「震災後の政府・政治の対応や復興に向けた今後のビジョンについて」と題して議論が行われました。


 まず代表工藤は、「言論NPOはウェブサイトをリニューアルし、復興に向かうための議論を本格化させている。議論が大きく動き出しているということを日本社会や海外に知らせていきたい。今回、石破さんのお話を契機として、復興に向かう動きを改めて考える契機としたい」と述べ、今回のメンバーフォーラムの趣旨を説明しました。

 石破氏は、「財政破綻にしろ有事にしろ、これまで日本人は『自分達が生きている間は起こらないだろう』と思っていたのではないか。震災大津波を受け、日本人は、こうした本当はやらなければならないのにいままでずっと先送りをしてきたことに対して、答えを出さなければならない」と述べました。また、税財政改革が先送りされてきたことにも触れ、「政治家は勝手にこの話が受けないと思い込んできたのではないか。きちんと国民に対して語りかけてこなかったのではないか」と述べ、政治家が果たすべき使命について語りました。

 また、現在の民主党政権について、「今の政権の最も大きな問題点は、政府機構を全く使いこなせていないということ。国民みんなの財産である官僚機構をきちんと使いこなさなければ、為政者足りえないだろう」と述べるとともに、「政権交代は早くしなければならないが、だからといって今それをあまりにも声高に叫び、全ての機能を止めてしまうことがいいとは思わない」とも指摘しました。

 さらに、復興に向けた今後の体制づくりに関しては、「現在はたくさんの対策本部があるが、それが全く機能していない。いまからでも遅くないから、一度立ち止まって体制を立て直し、法定されている中央防災会議を機能させ、復興にかかる費用と財源をセットにしながらそこで計画を立案させるというのが、この国の取るべき仕組みだろう」と指摘しました。そして、「今こそ、東北に日本のあるべき姿を示す責任が我々にはある。復旧ではなく、21世紀の日本国、もっといえば地方と中央のあり方を構築しなければならない」と述べ、そのために、復興再生院など、強力な実施官庁の必要性を強く訴えました。

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 その後、言論NPOのメンバー間での活発な議論が行われました。「非常時だからこそ、正論が言えるのであり、この際、石破さんがビジョンを明確に示して、そこに多くの人が寄ってくるという流れを作ったほうがいいのではないか」「リーダーが復興のビジョンを描き、『日本はすごいことになるな』と思わせることができれば、海外の資金は自動的に日本に向かうことになる」など、たくさんの意見がなされ、石破氏も「私が復興再生院などの構想にこだわりを持っているのは、この復興に対して最大限民間の資金や知恵を活用したいと考えているから」と応じ、民間資源の活用に対する強い意欲を示しました。

 最後に工藤は、「石破さんは以前、言論NPOの活動に対して、『どんな権力とも距離を置きながら、責任ある言論を行う動きというものが、政治家にとって一番恐い』とおっしゃった。これは、言論NPOにとっては非常に大きな褒め言葉だ。これからも、民間の健全な議論のプラットフォームの役割を果たしていきたい」と述べ、本会を締めくくりました。

 次回のメンバーフォーラムは衆議院議員の渡部恒三氏をお招きし、5月に開催される予定です。

自由民主党政務調査会長の石破茂氏をお招きし、言論NPOのメンバーフォーラムを開催しました。