【座談会】「政策秘書座談会」官僚依存の政策決定システムを見直す ─政策秘書制度の問題点とは─

2002年3月16日

佐竹茂 (鎌田さゆり衆議院議員 政策秘書)
緒方功治 (高市早苗衆議院議員 政策担当秘書)
佐々木孝明 (東京財団研究員)
松崎豊 (保岡興治衆議院議員 秘書)

概要

社民党の辻元清美政審会長が、政策秘書の給与を不当に流用していた問題の責任を取り、議員を辞職した。鈴木宗男氏の件で問題になっている政と官の関係といい、政策秘書の問題といい、国会議員の政策立案システムは機能不全に陥っているようだ。永田町きっての政策通である政策秘書および経験者4人が集まり、現在クローズアップされている政策担当秘書制度の問題を中心に、政策立案システムの現状について話し合った。

要約

鈴木宗男代議士の問題で、政と官の相互依存体質がクローズアップされている。今回の座談会に集まった4人の政策担当秘書は、政と官の癒着は常態であったと口をそろえる。本来政策担当秘書が能力を発揮すべきフィールドである政策立案に際しても、専門分野以外は「丸投げ」することもままあるという。実質的な政策を議論する場と考えられている委員会も「族議員」の利害調整の場でしかなく、実際のところ政策立案システムは機能不全に陥っている。強いリーダーシップをもつ小泉首相の登場で変化が期待されるが、今のところ旧来の派閥の旗色をうかがいつつ、というのが現状だ。折しも、辻元清美代議士が政策担当秘書の給与を不正流用していた疑惑が明るみに出て、議員を辞職する事件に発展した。辻元代議士は政策担当秘書から電話でアドバイスを受けていたと会見で述べたが、佐々木氏は政策秘書の役割がそのように過小評価され、不要論が盛り上がるのを危惧している。政策秘書の給与がしばしば「ピンハネ」されていることも明らかになったが、この「ピンハネ」も常態であると政策秘書たちは口をそろえる。それ以前の問題で、実際の機能に対する評価としては、政策秘書の給与水準が高すぎるという意見があるのに対し、松崎氏は、悪い面ばかりに目を向けず、能力や業績に応じてさらに給与を上げることも含めた給与水準の見直しを主張する。問題の本質は、政策秘書が政策立案という本来の業務を遂行できるシステムが整っているかどうかということに尽きる。絶対数が足りていないとする緒方氏に対して、佐竹氏は、秘書経験が10年あるというだけで政策秘書になれる「研修制度」があるために、頭数ばかり増えてクオリティーが保たれていない現状をまず改善する必要があると主張する。結局、頭数を増やすための口実となる「プール制」の導入や政策秘書廃止論など、作業要員としての秘書数を増やすことに拘泥して、政策の質を高めるための議論がまったくなされていないのが実情。今こそ政策レベルを押し上げるための真剣な議論をすべき時だという点では全員が一致した。


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 社民党の辻元清美政審会長が、政策秘書の給与を不当に流用していた問題の責任を取り、議員を辞職した。鈴木宗男氏の件で問題になっている政と官の関係といい、政策秘書の問題といい、国会議員の政策立案システムは機能不全に陥っているようだ。永田町きっての政策通で