【インタビュー】日本の財政構造改革をどう進めるか

2001年10月10日

watanabe_h021000.jpg渡辺裕泰 (財務省財務総合政策研究所所長)
わたなべ・ひろやす

1945年生まれ、プリンストン大学大学院修了。 専攻、公共経済学。

概要

1. 今の日本の財政構造改革を考える場合に現状の経済認識をどう考えるかが問われます。日本の財政再建はそれだけを進められる状況ではなくて、日本経済の改革やマクロの適切な運営も含めて、短くても数十年のタームが必要ではないか。

2. 日本はまだ国際収支は黒字で、国債を国内の資金が吸収できるという状況にあります。となると国が信認を確立して金利環境を不安定にさせず、その中で経済の構造改革を急ぎ、その中で財政の立て直しを進めるというシナリオが描けるような気がしますが。

3. 論文では、三つの考え方を出している。つまり、一つは日本の財政負債をネットではなくてグロスで見ること、国債累増の環境では財政政策があまり効かないこと。さらに、財政債権を図るには、短くて一〇年、むしろそれ以上かかるということです。この考え方を説明していただきますか。

4. 財政再建を考える場合、プライマリーバランスの回復と調達金利の平均金利の安定化、名目成長率の引き上げの組み合わせが必要だと思います。その組み合わせをどう考えていますか。

5. 現状のマーケットは景気の落ち込みの中で国債枠三〇兆円を撤廃するだろうということを織り込み始めています。その中で日本の政治なり経済運営に対する信認がまた不安が出て、それが長期金利をじわじわと上昇させるという状況を招いています。まずここの安定感を取り戻すことが必要ではないかと思いますが。経済は確かに厳しいのですが、目先の状況に振り回されるのではなく、日本を建てなおすための中長期的なプログラムを明かにし、進める覚悟が政府側に問われているようにも思えますが。


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1. 今の日本の財政構造改革を考える場合に現状の経済認識をどう考えるかが問われます。日本の財政再建はそれだけを進められる状況ではなくて、日本経済の改革やマクロの適切な運営も含めて、短くても数十年のタームが必要ではないか。