「ローカル・マニフェスト推進大会」に参加

2004年11月28日

040908_lobal.jpg2004/11/27 (土)
「ローカル・マニフェスト推進大会――ゲームを変えよう」に参加
主催:早稲田大学大学院公共経営研究科、早稲田大学マニフェスト研究所
場所:西早稲田キャンパス14号館2階201教室



工藤言論NPO代表がマニフェスト導入の市長らに注文
 「まだ目標があいまい、任期中の実現度などで説明責任が必要」

国レベルのマニフェスト(政権公約、政策公約)を地方の自治体首長レベルにまで広げ、この国の分権改革を一気に進めよう、という「ローカル・マニフェスト推進大会」が11月27日午後、東京の早稲田大学で開催されました。言論NPOは、かねてからマニフェストサイクルを国のみならず地方レベルにまで定着させることが必要、との観点からさまざまな取り組みをしているため、工藤泰志言論NPO代表が招かれ、大会に参加しました。

今回の大会は、マニフェスト推進に積極的な活動をしている北川正恭早稲田大学マニフェスト研究所長や同大学院公共経営研究科が主催する形で開かれました。

今年9月に、増田寛也岩手県知事や上田清埼玉県知事ら5県の知事のマニフェストの進捗状況を検証した「ローカル・マニフェスト検証大会」に続くもので、今回は、2003年の統一地方選で当選した全国の市長や東京都の区長のうち、マニフェストに積極的に取り組んだ市長らに政策取り組み姿勢を自己評価の形で報告してもらい、専門家がそれに評価を加え、また何が今後の課題かなどを話し合うといった形をとりました。

代表工藤は、「ローカル・マニフェスト評価設問」をつくった経緯があることから、4人の市長や区長の自らの政策評価、それに続く専門家評価を総括する形で、コメントしました。

まず、代表工藤は、マニフェスト評価について、「選挙立候補に際して提示した政策公約にあたるマニフェストが、当選後、県なり市などの自治体の施策にどう位置付けられ、またどこまで実現したか、首長はどう責任を果たしたか、ということをチェックする意味で極めて重要。首長は、有権者との政策の契約の実現に緊張感をもってあたり、有権者や市民、住民も実現度チェックを通じて、行政にプレッシャーをかけることが必要」と述べると同時に、言論NPOが独自のローカル・マニフェスト評価の設問表、採点基準などをつくったことをアピールしました。

このあと、代表工藤は、4人の市長や区長のマニフェスト自己評価について、コメントしました。

具体的には、代表工藤は「それぞれのマニフェスト、その政策評価については、まだ、目標の設定があいまいで、任期中に、どこまで持っていくのか、また実現できなければ、その実現のためにどうするか、何が課題となっているか、といった点について、有権者に対する説明責任が必要なのに、十分でなかった印象を受ける」と述べました。

また、代表工藤は、「マニフェスト型の自治体経営という発想や問題意識、取り組みが、これから必要になってくる。その意味では、4人の首長は、いずれも経営意識を持っておられるが、現状認識を公開し、課題解決に向けて、知的な競争をどう進めるか、そしてどう評価するか、といったことがますます重要になる」と述べ、さらに、言論NPOとしては、今後、一段と精緻な評価基準をつくっていくと約束しました。

ローカル・マニフェスト報告を行ったのは、山田宏・東京都杉並区長、土屋候保(きみやす)・大和市長、西寺雅也・多治見市長、中司宏・枚方市長の4首長です。

このうち、西寺・多治見市長は、大都市周辺の中小都市の宿命として、人口減少や高齢化などの問題を抱え、それに対する取り組みをどうするかが最大の課題になっていること、自らのマニフェストに関しては、抽象的な計画倒れに終わりかねないような総合計画の策定を止めることにし、策定に際しては市民参加、さらに市職員参加の方式をとったこと、計画の実施状況の評価についても市民の委員会に評価を託したことーーなどを挙げました。

そして、西寺市長は「これまでのような選挙公約とは違うマニフェストの評価という新しい枠組の導入によって、市の職員ばかりか、市民も選挙に対する考え方、また市の行政に対する考え方が変わってきた」と述べました。

この西寺市長に対する専門家評価は、名古屋大学大学院の後(うしろ)房雄教授が行いました。具体的には、言論NPOの設定した「ローカル・マニフェスト評価基準」に沿って1) マニフェストの形式用件と妥当性、2) マニフェストの実行過程、3) 進捗度、4) マニフェストへの政治姿勢などを経て、5) 総合評価を行いましたが、後教授の総合評価は、「現時点では、マニフェスト型政策運営システムの構築においては、最先進の事例と思われる。ただ、市民の関心を喚起し市民参加の動きを作り出すことについては、意識的な努力はなされているが、依然として十分とは言えない」というものでした。

このあと、大会は、北川教授をコーディネーターにして、浅野史郎宮城県知事、増田寛也岩手県知事、片山善博鳥取県知事、それに石田芳弘犬山市長、穂坂邦夫志木市長、逢坂誠二北海道ニセコ町長のパネリストで「自立・分権・マニフェスト」というテーマでパネルディスカッションを行いました。

そして、大会は、ローカル・マニフェスト推進首長連盟を結成しようという宣言を行い終了しました。

国レベルのマニフェスト(政権公約、政策公約)を地方の自治体首長レベルにまで広げ、この国の分権改革を一気に進めよう、という「ローカル・マニフェスト推進大会」が11月27日午後、東京の早稲田大学で開催されました。