【論文】政策決定プロセスの改革はどこまで進んだか

2003年11月07日

honma_m020515.jpg本間正明 (大阪大学教授(経済財政諮問会議議員)
ほんま・まさあき

1967年大阪大学経済学部卒。73年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。英国ウォーリック大学客員教授、ロンドン大学STICERD客員研究員、大阪大学副学長などを経て、現在大阪大学大学院経済学研究科教授。経済財政諮問会議議員、税制調査会委員などを兼任。主書に『租税の経済理論』『新・日本型経済システム』等。

概要

制度化された経済政策をどう破壊するのか。中長期的な論理的整合性の中でマクロ経済戦略をどう構築するのか。民間人メンバーとして経済財政諮問会議に参加してこの2つの問題に取り組んできた本間正明氏が、小泉改革の評価を行い、諮問会議の課題に迫る。同氏は、マニフェスト時代に向けて、政策評価の対象としての政策実行プロセスの重要性を指摘し、構造改革というまさに全面戦争の中で、従来の仕組みの非連続的な改革を評価するに際しての動態的な視点の必要性を強調する。

要約

マニフェスト型政治に向けて評価作業が民間から始まったことを歓迎するが、政策の実行過程の問題も含めて検討しなければ、公約は絵に描いた餅になる危険性がある。小泉改革の中で経済財政諮問会議に期待されたものは大きく、従来型の制度化された経済政策をどう崩し、総理が考える改革の方向を具体化して実行への道筋をつけるのかが私たちに課せられた課題である。そこには、体系的に破壊を進めるためのプロセスづくりと論理の構築が必要だった。最初の段階では、岩盤に水を注入して圧力をかける作業を体制内でやらざるを得ない。

もう1つの課題は経済政策の論理的整合性であり、短期的なケインズ政策の問題と中長期的な新しいマクロ経済政策との違いの中で、我々の戦略は、質の内容を変えて生産性を高め、需要誘発型にして潜在成長率を高めるシナリオの中で内生的な経済成長を実現するというものだ。90年代には公共投資を通じて生産性の低いところに資源を注入する経済政策が行われ、そこに政治問題があり、族としての制度化された経済政策に結びついていた。デフレ問題については、日銀は物価の下落は止めるところまでコミットしており、その次のステップの問題に対しマネタリーサイドの施策をいかに打ち出させるかが問われる。経済財政諮問会議の限界を克服するためには、トップダウン的なシステム作りが必要であり、マニフェストとは、行政の執行の部分も各々の役回りの中で全体の大目標に向かわせ、できなかった者には辞めてもらうという体制作りの問題なのである。小泉内閣は今までのどの内閣よりも大変多くの仕事をしている。中曽根内閣の行革にとはスケールが全く違う。構造改革とはまさに全面戦争なのだ。我々はマニフェストをニューパブリック・マネージメントと結び付けたいが、政策評価には内部評価とは別に外部評価が必要だ。今の仕組みを非連続的に変えていくためには、相当大きな初期エネルギーが必要である。現時点での状況をファイナルな評価とせず、動態的な視点から踏み込んで整理していく営みが、政策評価には求められてくるであろう。


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制度化された経済政策をどう破壊するのか。中長期的な論理的整合性の中でマクロ経済戦略をどう構築するのか。民間人メンバーとして経済財政諮問会議に参加してこの2つの問題に取り組んできた本間正明氏が、小泉改革の評価を行い、諮問会議の課題に迫る。