日本の政治、このままでいいのか ~私たちは政治を『白紙委任』したわけではない

2011年7月02日

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 6月30日、言論NPOのオープンフォーラムが開催されました。今回は、言論NPOアドバイザリーボードの佐々木毅氏(学習院大学教授)、宮本雄二氏(前駐中国特命全権大使)と、言論NPO理事の松井道夫氏(松井証券株式会社代表取締役社長)をゲストにお迎えし、「日本の政治、このままでいいのか ~私たちは政治を『白紙委任』したわけではない」をテーマに議論を行い、約50名が参加しました。


工藤泰志 まず代表工藤は、「統治や民主主義がここまで機能不全に陥っている中で、こんな状況になっても私たちは黙ってみているしか無いのかという強い思いがある。この状況を変えるために、選挙を求めるということを有権者側から出していかないといけないのではないか」と問題提起し、今の政治状況と、それをどのように変えることができるのかについて議論したいと述べました。

  佐々木氏は、現在の日本政治の状況について、「失敗から学び、次のステージにあがり、そして新しい課題に取り組むといった循環がうまくセットされておらず、同じことが繰り返されている」と述べ、それが常識化してしまうような現状に対して大きな懸念を示しました。


 宮本氏は、激変する国際情勢に触れながら、「国内で自分の問題を解決出来ていないばかりではなく、グローバルなメガコンペティションの時代に置いていかれている」と述べ、対外的な危機感が大きく高まっている状況を説明するとともに、「いまは、「国民の皆さんがもう少し政治に関与することによって、政治を立て直し、育てていく時期にあると思う」と述べました。

 松井氏は、市場の見方について、「臨界点間近」と指摘、「極めて暴力的な市場の反乱が起きるときに、政府は何もできず、自分たちがやるしかないという局面が2,3年後に来る」と述べ、それに備えて自助努力としてどういう対応を取るべきか、具体案を考え出す時期だとしました。

 また、工藤が「マーケットの調整が不可避的に起こってしまう前に、世論や有権者の判断で、この流れを変えていくことはできないのか」と問題提起すると、宮本氏は、「日本の民主主義を守っていく根本は、国権の最高機関として最も強い権限を与えられている国会が、憲法が想定している本来の役割を果たすことであるべきだ」と指摘、「その役割をはたすだけの人材、リーダーを我々自身が国会に送り込む努力をしなければならない」と述べ、有権者自身の役割を改めて考える必要があると強調しました。


 その後会場との議論では、「震災後に見られたように、この国には質の高い市民社会があるとすれば、それが質の高い有権者になるためには何が足りないのか」といった質問の他、「国より小さい行政の単位で、知識層や経済界がサポートすれば、本当にいま国民が何を求めているのかを知らしめることにもなるのではないか」といった意見もなされ、活発な意見交換がなされました。

 最後に、代表工藤は、「政治自体に変化を期待することが難しい以上、私たちがこの社会に変化を起こすために、政党のあり方や政策の選択肢を問うような議論を今後行っていきたい。これからの活動にもぜひ参加して欲しい」と述べ、多くの方の参加を呼びかけました。
 
 言論NPOでは、こうしたフォーラムや言論スタジオでの発信を中心に、変化を起こすための議論を行っていきます。イベントは開催時期が決定次第、本ウェブサイトで告知いたしますので、ぜひ、ご参加ください。

 6月30日、言論NPOのオープンフォーラムが開催されました。今回は、言論NPOアドバイザリーボードの佐々木毅氏(学習院大学教授)、宮本雄二氏(前駐中国特命全権大使)と、言論NPO理事の松井道夫氏(松井証券株式会社代表取締役社長)をゲストにお迎えし、「日本の政治、このままでいいのか ~私たちは政治を『白紙委任』したわけではない」をテーマに議論を行い、約50名が参加しました。