中国に「相互主義」を迫ることなどで、世界10カ国のシンクタンクが合意しました ~「東京会議2020」未来宣言を採択~

2020年3月03日

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 言論NPOは2月28日から3日間にわたり、G7各国にインド、シンガポール、ブラジルを加えた世界10カ国のシンクタンクが参加する「東京会議2020」を開催しました。


 最終日の3月1日には、世界の主要国は協調してリベラル秩序を守るために、新しいルール策定を先導し、世界のシステムの安定や地球規模課題での多国間協力で強いリーダーシップを取ること、中国が世界市場に平等のアクセスを求めるならば、中国は世界との相互主義を受け入れる同時に、10カ国は中国に国内経済改革を迫る必要があること、代表制民主主義への市民の信頼を回復するために、独立のメディアやシンクタンクなどの知識層もその立ち位置から積極的な役割を果たすべきなど、5つの点で合意し「東京会議2020」未来宣言を採択し、閉幕しました。

 世界でも新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、感染防止に向けた様々な対応が進む中での開催には大きな困難がありました。しかし、こうした状況だからこそ、いま世界で起こっている課題に対する議論をきちんと行うべきだと考え、開催に踏み切りました。


HIR_2722.jpg 今回の「東京会議」での最も重要な成果は、世界のシンクタンクが、米中対立が厳しくなり世界経済の分断が否定できない中でも、リベラル秩序を守りぬくという決意を10カ国のシンクタンクが合意したことです。

 そして、10カ国のシンクタンクが合意した宣言文を、今年のG7議長国であるアメリカ政府を代表して、駐日米国大使の代理でニコラス・ヒル主席公使に手渡しました。


「東京会議2020」未来宣言のポイントは2つ

 今回、「東京会議」の参加者が米国政府に提案したこの宣言文で重要なポイントは2点あります。

 1つは、中国が自由市場へのアクセスを得たいのであれば、相互主義を受け入れるべきであり、これ以上曖昧にしないという明確なメッセージを打ち出したことです。ただそれは、中国の排除を目的としたものではなく、ルールに基づく国際秩序を守りぬくことがその目的であり、今後のルールメイキングには中国をきちんと巻き込んでいくという主張を入れ込みました。

 同時に民主主義国が協調してリベラル秩序を守り抜くためには、民主主義国の競争力を高めるためにそれぞれの国自体を強くし、民主主義そのものを強靭なものにするために努力を始めるということを申し合わせ、そのために協力し合うことを呼びかけました。

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「宣言文」は駐日米国公使を通じてホワイトハウスへ

 これに対してヒル主席公使は、「G7は首脳会議以外に、閣僚会合も重要。さらに、今日のような民間シンクタンク間の会議も極めて重要だ」と述べ、非公開議論も含めると3日間の対話を経て宣言をまとめた参加シンクタンクの努力に敬意を表しました。その上でヒル氏は、「今日の宣言はホワイトハウスに伝達する」と明言しました。
 

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 コロナウイルスの脅威や、オリンピックの開催など、まだまだ不透明な状況が今後も続きますが、今、日本の将来を考えるうえで、大きな岐路になっていると考えます。

 言論NPOは、これから民主主義を強くするためその仕組みや機能の検証や、国内の政策課題についての議論を始めていきます。この国に民主主義をきちんと機能させるための議論の舞台の役割を果たすと同時に、日本の将来や、アジアの平和、世界の課題解決に向けて、取り組みを本格化させます。